宙畑 Sorabatake

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衛星故障により株価大暴落のMaxar、保険金支払いにより回復傾向【週刊宇宙ビジネスニュース 4/29~5/5】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

2019年1月7日に、世界最高性能の光学衛星であるWorldView-4(WV-4)が故障したことを発表したMaxar。

Maxarの株価の推移とイベントを以下のようにまとめてみました。

■Maxarの株価は現在回復傾向

発表前後(①-②)で株価は大暴落し、50%ほど株価が落ちていました。

その後、WV-4代替機の発表をするなどにより、③から④の期間で株価は回復の傾向を見せていましたが、決算説明会後に株価は下落。200-250名の解雇を発表後(⑤)は長らく低い推移を見せていました。

しかし、5/3に要求していた200億円の保険金支払いが一か月以内に行われると発表(⑥)した後には株価が回復傾向を示しています。このまま右肩上がりに回復を示していくのか、注目です。

■大型衛星のビジネスモデル確立も宇宙ビジネス発展の重要なキーファクター

大型衛星を運用する場合には、衛星自体非常に高性能なものの、今回のように故障した際の対応が非常に難しい、というのが課題です。

保険により補填することは可能でも、200億円以内の予算で同等性能のものをすぐに打ち上げられるか、というとやはり難しく、ある程度の時間を要し、何かしら自己投資(や融資)が必要になってしまう、というのが実際のところ。

※身近なところだと、気象衛星ひまわりは、8号機をメイン、9号機をバックアップとして2機体制で運用しています。運用中の8号機に不具合があったとしても、9号機をメインに代替することで、私たちへの気象情報の提供が途切れないようにしています。故障してから、数年かけて代替機を打ち上げる(つまり数年間独自に気象予報できなくなる)わけにもいきませんものね。

宇宙業界にも、Maxar社のように、高性能な人工衛星を少数保有する「少数精鋭なタイプ」と、Planet社のように、そこそこの高性能で多数保有する「量で攻めるタイプ」と、様々な企業があります。
※MaxarはWV-4の代替機として、2021年前半までに、2機編成の従来よりは小型の地球観測衛星の打ち上げを検討しているようです。気になる方は文末の参考リンクからMaxar CEOのインタビューをご覧ください。

近頃は小型衛星が何かと話題にあがっていますが、やはり分解能や撮影頻度の面など、性能が良いのは依然と大型衛星です。
衛星データ利活用普及が大前提ではありますが、(中型から)大型衛星ならではの持続可能なビジネスモデルが確立することも、宇宙ビジネスの発展に重要なキーの一つのように感じられます。また、たびたび話題にあげていますが、このビジネスモデルを成立させる上で、非常に重要となるのは保険の在り方。両社折り合いのつく条件をさぐりながら、どのように協調していくことができるか、も気になるところです。

今週の週刊宇宙ビジネスニュース

参考記事

参考

Maxar Technologies To Receive Full Insurance Payout for WorldView-4 Satellite Loss

Maxar’s path to growth runs through Worldview Legion