宙畑 Sorabatake

特集

アジア太平洋地域で年に一度宇宙をアツく語れる2日間!世界各国から次世代を担う若者が集まるAP-SGWって?!

アジア太平洋地域の若者が集まり、宇宙の様々なトピックについてのワークショップを行うイベントが2019年11月23日,24日に名古屋で行われました。宇宙業界の次世代を担う若者がアツい議論を交わした2日間。

宇宙開発と聞くと、アメリカやヨーロッパが真っ先に思い浮かび、アジア地域の宇宙開発と聞いてもあまりイメージが湧かないかもしれません。

しかしながら、実は年に一度のペースで新しい宇宙機関が出来る一番ホットな地域なのです。

そんなアジア太平洋地域の若者が集まり、宇宙の様々なトピックについてのワークショップを行うイベント、Asia Pasific-Space Generation Workshop2019(以下、AP-SGW2019)が2019年11月23日,24日に名古屋で行われました。

宇宙業界の次世代を担う若者がアツい議論を交わした2日間。

「海外の人は日本の宇宙ビジネスにどんなことを期待しているの?」「実際どんな人が参加しているの?」

本記事はAP-SGW2019 Organizing Teamの渉外担当池田より、会場の雰囲気や参加者のインタビューも合わせてご紹介します。

(1)AP-SGWとは

AP-SGWは今から5年前、2014年当時Space Generation Advisory Counsil(以下、SGAC)のアジア太平洋地域の地域コーディネーターを務め、本職でもアジア太平洋地域の宇宙協力の推進を担当していた宇宙航空研究開発機構 (以下、JAXA)の研究開発員である村木が、アジア太平洋地域の学生およびヤングプロフェッショナル向けの地域協力を議論するイベントを開催したいと、元JAXAの研究開発員である慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、SDM)神武教授に共催をもちかけました。その結果村木氏の要請に、神武教授が応える形で最初のAP-SGWがSGACとSDM共催で、慶應義塾大学日吉キャンパスにて産声をあげました。

このSGACという団体は、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)への参加が認められている国際NGOであり、世界150ヶ国以上の国から約20000人のメンバーと共に毎年国際宇宙会議(IAC)に併せてSpace Generation Congress(SGC)を開催して宇宙機関や産業界に提言する活動をしています。

また、世界各地域で宇宙人材を増やす活動の一環として、アジア太平洋地域で初めて開催されたのがこのAP-SGWなのです。

第一回AP-SGWの様子

このイベントの目的は主に3つあります。

ひとつは専門家による情報提供の場を作ること。
アジア太平洋地域の35歳以下の学生と若手専門家を対象としたワークショップを開催し宇宙コミュニティが直面している重大な課題の分析・検討を行うと共に、同地域から著名な講演者を招待しています。
次に、現在、宇宙セクターにおける地域協力を牽引する世代から学ぶ機会を参加者に提供することで、同地域の学生や若手専門家間の地域的ネットワークの強化を行うこと。

最後に、アジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum: 以下、APRSAF)との協力を通じて、アジア太平洋地域の宇宙セクターにおける将来と現在のリーダーの交流機会の提供をすることです。

この3つの目的を達成すべく、第一回AP-SGWが開催され、以来、毎年アジア太平洋地域で開催し、6回目となる今年名古屋で行うことになりました。

(2)グローバルな縦横のつながりはここだけ

AP-SGWの魅力は何と言っても様々な国籍の人が一度に集まり、その年の重要な宇宙トピックについての議論を行うことでしょう。

参加者だけでも13ヶ国から、登壇者を合わせると同じ宇宙という志を持った約20ヶ国の国籍の人が一同に集います。国内外の様々な宇宙ビジネスのカンファレンスやイベントに参加している筆者も、このような参加型のイベントでアツい議論が体験できるのはここだけではないかと思います!

International Nightの様子
AP-SGW参加者内訳

OB,OGが国の宇宙機関に所属

また、過去のAP-SGW参加者がそれぞれの国の宇宙機関に所属し、日本の宇宙航空研究開発機構 (JAXA)をはじめとし、韓国航空宇宙研究院(KARI)やマレーシア国立宇宙局(ANGKASA)等で国の宇宙開発の一端を担っていることにも注目です。

数年前には参加者側で一緒に議論していた方が、宇宙機関の専門家として登壇し、新しい情報をインプットする。このようなサイクルが起こせるのもこの地域特有の団結力であると感じています。

各国の専門家によるPanel Sessionの様子

(3)日本がリードできるチャンス

参加者の狙い

世界各国から来る参加者はただワークショップを行うだけに来ているわけではありません。日本の宇宙関連の企業とのコネクションを作りたい、将来はエンジニアとして日本の宇宙関連企業で働きたい、等様々な思惑を持って参加しています。

そこまでして行きたい日本の宇宙関連企業の魅力は何なのでしょうか。
今回ワークショップで議論のトピックとなった「宇宙デブリ」「月面探査」「衛星利用ビジネス」「女性の宇宙業界進出」の4つから「衛星利用ビジネス」「女性の宇宙業界進出」の2つに絞って説明したいと思います。

①衛星利用ビジネス

日本の強みとして挙げられるのは、衛星データの産業利用です。今年2月にリリースした政府衛星データを利用したオープンプラットフォームであるTellus等、様々な取り組みが日本でなされています。この動きに敏感な海外からの参加者によるアイデアが出ました。アジア太平洋地域での衛星開発は日本の技術支援を受けていることが多く、そういった点でも日本がリードしている技術と言えます。

Workshop:Potential of Satellite Industry in Asia-Pacificの議論風景

②女性の宇宙業界進出

今回から今までトピックとして取り上げられていなかった宇宙業界における女性の活躍”Woman in Space”が盛り上がっていたので紹介したいと思います。これは、今年国際宇宙ステーション(ISS)で初めて女性宇宙飛行士だけで船外活動を行ったことがニュースにもなりましたが、近年宇宙業界における女性の活躍が顕著になってきています。

今回ゲストスピーカーとして登壇いただいた人工流れ星を開発中のALE岡島社長は、日本の宇宙産業が盛り上がる中、女性社長というマイノリティを改善していきたいと述べていたように、今後日本がリードしていくべき課題であると改めて感じられる機会でした。

Workshop:Woman in Spaceの議論風景

(4)Tellusの紹介と参加者の反応

そんなアツい議論が行われている合間を縫って、衛星データプラットフォームTellusの紹介が行われました。

経済産業省からの委託事業としてTellusを運営するさくらインターネット株式会社は、AP-SGWの理念に賛同しシルバースポンサーとして参加しており、衛星データの可能性と課題、Tellusの概要について、紹介がありました。

発表後の質疑応答では、会場から「データ解析コンテストにはどんな人が参加しているのか?」「日本の政府衛星の世界中の衛星画像が搭載されるということか?」「今プラットフォームにはどんな業種の人が集まっているのか?」など、多くの質問があり、アジア太平洋地域の若手メンバーの衛星データプラットフォームに対する関心の高さがうかがえました。

(5)Organization Teamで振り返るAP-SGW2019

冒頭の第一回AP-SGWでもお分かりいただけるように、アジア各国から参加者がくるAP-SGWは、例年運営も様々な国籍で構成されており、今年も例外ではありません。開催国日本はもちろん、フィリピンやタイ、スリランカ等10名のメンバーが開催の半年前から選抜され、会場の選定からワークショップの内容決め、そして協賛企業集めなど、0から企画をしていました。
今年は日本が5年ぶりの開催国となる年でもあったため、日本の宇宙技術をいかに広く伝えるかということに焦点を絞りました。
ワークショップでは、日本が世界を先導して進めている宇宙デブリ対策に関してのトピック。そして、協賛企業はいつも宇宙イベントで見るようなスポンサーだけでなく、高い技術を持ちながら地方にあるためにあまり宇宙関連事業を行っていることを知られていない企業や、宇宙分野に興味を持っていて宇宙ビジネスの知見を得たいと思っている企業の方々にお声掛けさせていただきました。そのために、東京から6時間かけて福岡県の久留米の本社まで伺い、社長の方と直接対話をすることで、お互いのアツい想いを共有してイベントに協賛していただくことが出来ました。このような体験もOrganization Teamでしかできないことだと思います。

各国から集まったOrganizing Teamメンバー。宇宙飛行士の大西さんを囲んで。

過去のイベントからのつながりや、様々な方のサポートにより開催できたAP-SGW2019
将来宇宙関係で仕事をしたい人にとっても、優秀な人材を探している企業の方にとっても良い出会いの場となり、宇宙ビジネス初心者だけどこれを機会に一歩を踏み出そうと思った方も多かったように思います。

このアジア太平洋の繋がりから新しい潮流が生まれていく、そのようなサイクルを作っていけたらと考えています。
興味がある人はぜひこちらからSGACへの扉を叩いて見てください。

AP-SGW2019参加者

(6)来年度のOrganization Teamへのすすめ

来年度も例年通りAPRSAFのサイドイベントとして開催予定ですが、現在企画運営チームに参画してくれるメンバーを募集中です!
今年1月18日にJAXAの協力で初の国産人工衛星「マイクロドラゴン」の打ち上げに成功したことにより、衛星技術分野において東南アジア地域のトップに立つようになったベトナムや宇宙法成立により、今年2019年に東南アジアで独自の宇宙庁を持つ6番目の国となったフィリピン等これからも東南アジア地域の宇宙開発から目が離せません!