進む海外の衛星データ利用促進のしかけ作り【週刊宇宙ビジネスニュース9/10~9/16】
毎週宇宙ビジネスの気になる話題をピックアップする本連載! 今週は2018/9/10~9/16までの話題です。
進む海外の衛星データ利用促進のしかけ作り【週刊宇宙ビジネスニュース9/10~9/16】
一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!
今週は海外の衛星データプラットフォームの話題が相次いでニュースになっていました。
また、今週から始まった経済産業省(METI)が運営する「METI Journal」のテーマが宇宙でした。とても分かりやすく、さくっと読めますので、ぜひご覧ください。
1.ルクセンブルク政府がスタートアップを後押し
Luxembourg launches €100m fund to back space technology start-ups -financialtimes
ルクセンブルク政府が、位置情報なども含めた宇宙分野のスタートアップ向けに約130億円の投資を決めたというニュースです。
ルクセンブルグは2017年、アメリカに次いで世界で2番目に宇宙資源の民間活用を法律で規定した国でもあり、民間の宇宙開発を後押しする国として有名です。
そのため、宇宙資源探査系ベンチャーが集まっています。身近な資源探査系ベンチャーですと、ハクトプロジェクトを進めていたiSpaceさんと連携した、という話題がありました。
ispace、ルクセンブルク政府と月の資源開発で連携 宇宙資源開発分野で外国政府と連携する日本初の事例 -iSpaceのプレスリリースより
“We are creating a microcosm of this activity in Luxembourg,”と言うルクセンブルク副首相のSchneider氏の発言もあり、宇宙への力を今後も入れていくのであろうということがうかがえます。
2.センチネルアジア:災害時の国際協力
災害時に各国の衛星が協力して被災地の様子を撮影する枠組みSentinel Asiaにおいて、各国が北海道の写真を撮影し、先日発生した地震に関する衛星画像を提供してくれています。
下記リンクより、インドや台湾が提供している画像をご覧になれます。
Sentinel Asiaのダウンロードサイト
センチネルアジアについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
センチネルアジアは、宇宙技術によるアジア太平洋地域の災害管理への貢献を目的として立ち上げられた国際協力プロジェクトです。
地球観測衛星画像などの災害関連情報をインターネット上で共有し、自然災害による被害を軽減することを目指しています。
(APRSAFホームページより引用)
3.相次ぐ海外の衛星データ利用促進のしかけ
Maxar Technologies’ DigitalGlobe Announces the Availability of MDA RADARSAT-2 Data in SecureWatch -maxar.com
Building a Geospatial Analytics Marketplace with DARPA -DescartesLabs
Airbus, Orbital Insight forge alliance – SpaceNews.com
衛星データプラットフォームに関連する話題が3つありました。
1つ目は高解像度な光学系の衛星データ情報を保有するデジタルグローブが、高分解能なSAR衛星データもプラットフォームに追加するよ、という話題です。SAR衛星データを利用することで、天候や夜間など光学画像では確認できない時の地表の状態変化があることを捉えやすくなります。
2つ目は、つい先日にエアバスと提携する、ということで話題となったデカルトラボがDARPAと組んだ、という話題です。防衛・軍事よりな技術発展に向けた提携のように思われます。
3つ目は、オービタルインサイトが、同じく高分解能な衛星データを取り扱うエアバスと手を組むよ、という話題です。衛星データを保有する各社ともに、データ利用者を増やすべく動き始めています。
日本の衛星メーカも、何かしら提携の動きを見せていかないと、世界に遅れを取り、市場から取り残されることとなってしまいそうなことが懸念されます。