【宇宙産業は”夢”なのか】宇宙産業の今と2050年を予測する3つの文献
「『宇宙開発やってます』と言うと未だに『夢があっていいね』と言われます」というツイートが話題になったことをきっかけとして、宇宙産業の今とよくある勘違い、また、これからの予測をまとめました。
2021年1月11日、宇宙産業についてのとあるツイートがTwitter上で話題となりました。
日本で「宇宙開発やってます」と言うと未だに「夢があっていいね」と言われますが、ヤバい認識だなと。
宇宙市場は37兆円規模で20年後には100兆円を超える超成長市場。
日本のお家芸のものづくりやITでも後塵を拝しつつある今。宇宙は日本の未来のためにも重要な全力で育てるべき産業だと思います。
— Yoshitaka Yanagida?柳田 佳孝 (@yoshi_yanagida)January 11, 2021
このツイートは「普通の人が集まって宇宙開発しよう」をメッセージとして発信し続ける一般社団法人リーマンサットスペーシズの理事を務める柳田 佳孝さんによるもので、現在8,000RT、36,000いいねを超え、多くの方の目に届きました。
たしかに、30年も前であればまだ毛利衛さんも宇宙を訪れておらず、民間企業が独自で宇宙産業に参入するということはほとんどない時代でした。
しかし、今は2021年。SpaceXを筆頭に民間企業から宇宙産業に参入し、実績を挙げる企業が続々と出てきており、多くの投資も集まっています。
では、宇宙産業とはそもそもどのようなビジネスで成り立っているのか。また、話題になったツイートのように今後2倍、3倍に成長するのはどのような背景からか。
宇宙産業のよくある勘違いから紐解いてご説明します。
※宇宙ビジネスの概要や具体的な企業名は「宇宙ビジネスとは~業界マップ、ビジネスモデル、注目企業、市場規模~」でも紹介しています
(1)宇宙産業って何? ロケット製造・打ち上げの市場規模は1.3% 38兆円の内訳は
1.宇宙産業=ロケットではない。宇宙産業38兆円の内訳
宇宙産業というと「ロケット」や「はやぶさ2」は知っているけれど、実際にどのようなビジネスで成り立っているかはあまり知られていません。
実は、ロケットのイメージが強い宇宙産業の市場規模約38兆円のうち、ロケットの製造・打ち上げ企業が占める割合はわずか1.34%です。また、宇宙産業は国が主体的に進めているもので、人々の生活にはあまり関係ないと思われているかもしれませんが、宇宙産業全体に占める国の予算は約1/4程度で半分もありません。
※Bryce Space and Technologyの「2019 Global Space Economy at a Glance」より数値を抜粋
しかし、私たちの生活にあまり関係ないと思われているのも納得です。なぜならば、あまりに私たちの生活に馴染み過ぎていて、その恩恵が気づきにくいサービスが宇宙産業の大部分を占めているからです。
2.私たちの生活に馴染み過ぎた「宇宙利用」
宇宙産業の市場規模を示した上記の円グラフを見ると「衛星サービス」というカテゴリが宇宙産業の約1/3以上を占めています。
そして、「衛星サービス」こそ、私たちの生活に今や必要不可欠なものとなっており、宙畑では「宇宙利用」と分類し、業界マップを作成しています。
では、具体的にどのようなサービスなのかを見ていきましょう。人工衛星を利用したサービスは大まかに「通信サービス」「測位サービス」「地球観測サービス」の3つに分類できます。
通信サービス
インターネットが利用できるのは通信環境がきちんと整備されているからこそ。日本の場合は地上局が他国と比較して日本中隅々まで整備されているため、日本に住んでいるとあまり気にならないかもしれませんが、他の国では地上局が整備されていなかったり、日本の場合でも災害によって地上局が被災するとインターネットを利用できなくなってしまいます。
そこで地上局がなかったり、何か問題があったとしても利用できるのが、通信衛星を介したインターネット接続です。宇宙空間にあるため、自然災害に遭うこともなく、時と場所を選ばず安定してインターネットを利用する環境を提供してくれます。
飛行機や船舶でのインターネットを利用も通信衛星により提供されているサービスのひとつです。
飛行機でインターネット利用したことがある方は分かるかもしれませんが、現状の通信衛星によるインターネットは地上36,000kmにある静止衛星から提供されており、地上で利用する4G回線と比較すると速度が劣ります。
しかし、現在SpaceX社を筆頭に低軌道での通信衛星サービス提供を狙う企業が現れており、速度の改善にも期待が高まっています。
また、衛星放送、衛星ラジオも通信衛星によって実現できているサービスです。日本でもスカパーJSAT株式会社が衛星放送事業を行っています。
測位サービス
今から約30年前の1993年、米国国防省が軍事目的として開発を進めていた人工衛星による測位システムを民間に開放しました。それがGPSです。
GPSを利用したサービス例を挙げると
・カーナビ
・Google Map
・GPS腕時計
・ポケモンGO
など、今や生活に不可欠なものから娯楽として定着しているものまで、私たちの生活とは切っても切り離せない関係になっているサービスが産まれていると言っても過言ではないでしょう。
また、現在は日本でも「みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)プロジェクト」がGPSの使い勝手をより良くし、次世代の衛星測位技術を国内で確立するために開発・運用が進められています。
さらに、今後は農機の自動運転やドローンによる自動配達など、測位衛星を利用したサービスは今後も続々と定着することが期待されます。
地球観測サービス
最後に紹介する「地球観測サービス」の代表例は何と言っても天気予報でしょう。毎朝起きたら天気を確認するという生活は多く人の生活に自然と溶け込んでいるかと思いますが、天気予報にも衛星が用いられています。
また、人工衛星が観測しているのは天気だけではありません。森林の伐採状況から違法伐採を検出したり、自然災害があった際にその被災状況をいち早くマクロな視点から観測したり、海水面温度から漁場の当てをつけたり、二酸化炭素濃度を見て地球温暖化の現状を把握したり……と様々な産業で、様々な目的で利用されています。
人工衛星による地球観測も元々は軍事・防衛目的が発端となったもので国主導での地球観測衛星がメインでしたが、今では民間による地球観測衛星の打ち上げも増えています。
今後ますます地球観測衛星の機数が増え、ハード面の性能の向上により、観測頻度、観測できる解像度、観測できるデータの種類も増えることで、より多様な産業課題の解決が期待されます。
3.宇宙産業を支える「宇宙製造・インフラ」
次に紹介するのが「宇宙製造・インフラ」です。「宇宙製造・インフラ」は「宇宙利用」が実現するまで、そして運用をするために不可欠のサービスとして宙畑が分類しているものです。こちらも宙畑では業界マップを作成しています。
では、具体的にどのようなサービスなのかを見ていきましょう。「宇宙製造・インフラ」は大まかに「輸送」「衛星製造」「地上システム」「軌道上サービス」の4つに分類できます。
輸送
まずは宇宙!と言えば真っ先に思い浮かぶだろう「ロケット」をはじめとする輸送事業です。
宇宙産業におけるサービスのほとんどは人工衛星の利用により提供されているもので、ロケットはあくまで人工衛星を宇宙へ運ぶための”手段”です。地上で例えるならばネットショッピングの商品が人工衛星によるサービスで、宅配業者がロケット産業といったところでしょうか。
しかし、地上と大きく異なるのはその輸送料金と打ち上げ頻度です。日本国内では1通のハガキを指定の住所に送るためにかかる費用は63円で、ポストにいれれば早ければ翌日には宛先に到着していますが、宇宙の場合はそう簡単ではありません。
現在、指定の場所に人工衛星を届けるためには少なくとも数億円、ある程度の大きさになれば50~100億円もの費用がかかり、打ち上げ機会も契約して翌日にというわけにはいきません。
そこで2000年代になってから続々と産まれているのがSpaceXや、日本ではインタステラテクノロジズをはじめとするロケット製造ベンチャーです。
各社、輸送における低価格化、打ち上げ機会の増加を目論み、これからの宇宙産業の発展を支える重要な基盤を築こうとしています。
衛星製造
衛星製造はその名の通り、上述で紹介した「通信衛星」「測位衛星」「地球観測衛星」を製造する産業です。
これまでは国主導で人工衛星の製造が進められてきましたが、直近ではサービス展開までを視野に入れて民間企業が独自に衛星を製造し、打ち上げ、サービス提供を行っている事例が増えています。
注目企業としては自社で150機以上の地球観測衛星を打ち上げプラットフォームを自社でも整備しているPlanet Lab社や、自社独自のロケット製造技術を持ちながら通信衛星産業にも参入し、続々と自社衛星を打ち上げているSpaceX社があります。
地上システム
地上システムは人工衛星を用いた「宇宙利用サービス」を運用するためになくてはならない縁の下の力持ちです。
人工衛星は宇宙に運んだら自律的に動いているわけではなく、地上から指示を出して所定の軌道を維持したり、地上を撮影しています。
今後ますます人工衛星の機数が増えることが見込まれる中で、より効率的に、より安全に宇宙を利用するためのサービスを担うのが「地上システム」です。
「地上システム」は「Upstream/インフラ」「Midstream/運用」「Downstream/データ利用」の3つのバリューチェーンに分けることができます。
・Upstream/インフラ
必要な地上システムのハードウェアとソフトウェアを開発するパートです。
最もイメージしやすいのはアンテナやモデムなどの地上局の開発でしょうか。その他、地上局のメンテナンス、また地上局や衛星自体のミッション計画を行うシステム、それらを繋ぎ合わせるネットワークの構築などが含まれます。
・Midstream/運用
Upstreamで開発・メンテナンスしているシステムを動かし、衛星を運用するパートです。
地上局を制御し、衛星と通信を行うことで、衛星にコマンドを送ったり、衛星の内部の状態を表す信号(テレメトリ)や衛星が撮影したデータを受信したりします。もしこれらの運用ができなければ人工衛星がどこにいるかの管理もできず、知らず知らずのうちに衛星同士がぶつかってゴミが増殖するといったリスクが生じます。
・Downstream/データ利用
Midstreamで地上に持ってきたデータのそれ以降のフェーズにおけるサービスです。
衛星から取得されたデータは、適切な場所に保管されます。衛星データはユーザーが使える形になるように前処置(エラー訂正やタイムスタンプの付与等)され、さらにデータ解析までサービスが提供される場合もあります。
軌道上サービス
これから「宇宙製造・インフラ」と言えるだろう宇宙産業で、今まさに着々と準備が進んでいるのが「軌道上サービス」です。
今は地上システムから人工衛星に指示ができるとはいえ、宇宙空間に人工衛星を運んだ後は修理をしたり、推進器をドッキングして寿命を伸ばしたりということはできませんでした。また、衛星同士が衝突したり、ロケットが衛星を打ち上げた際に出る宇宙ゴミの処理も自然落下を待つのみでただその場所を把握するのみで直接ゴミ処理を行うことはできていません。
これらの課題に対して、宇宙上にガソリンスタンドを作ったり、直接推進剤が切れかけた衛星とドッキングして延命したり、壊れた人工衛星を修理したり、宇宙ゴミを捕まえて自然落下を早めるための衛星開発が進んでいます。
実際に2020年2月にはミッション延命機「Mission Extension Vehicle-1(MEV-1)」と、燃料が不足しているが機能として不足がないIntelsatの衛星「Intelsat 901(IS-901)」のドッキングが商用衛星同士の軌道上で成功し、世界初の快挙を成し遂げています。
4.人間の物理的・精神的生活領域を拡げる「宇宙探査」
最後に紹介する宇宙産業はまだまだ国の予算が投資されている部分であり、これからどのように発展するのか未知数でありながらも好奇心を刺激される「宇宙探査」です。
この分野こそ宇宙産業を「夢がある」「ロマンだ」と思われる大きな要因だと推測されますが、「宇宙探査」も今後私たちの生活の当たり前となっていくでしょう。
直近では「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから目標値以上の粒子を持ち帰ることが話題になり、過去を振り返れば1969年に人間が月面に着陸したことは人が宇宙開発に興味を持つ契機となりました。
そして人類初の月面着陸から50年経過した今になって進んでいるのが、2024年に有人月面着陸を目指し、2028年までに月面基地の建設を開始するというNASAのプロジェクト「アルテミス計画」です。
これからの宇宙は地球から「眺める場所」ではなく「住む場所」へと変化していくでしょう。「住む場所」になると、そこで生活する人も現れ、旅行する人も増え、ひとつの経済圏が形成されます。
詳しくは後述しますが、2050年には月面に100名が住んでいるだろうという予測もあり、出身地は月面ですという人が誕生するのもそう遠くない未来でしょう。
(2)宇宙産業を予測する3つの文献
ここでは、国内外で2040-2050年の見通しについて触れている文献をご紹介していきたいと思います。
1.モルガン・スタンレーによる宇宙ビジネスの市場規模予測(2017)
宇宙ビジネス全体の市場規模について触れているのは、モルガン・スタンレーによる予測です。
これによると、宇宙ビジネスは2040年までに現在の37兆円から約3倍の100兆円規模になると予測しています。
内訳としてもっとも多い4割を占めるのは「インターネット」で40兆円を越える予想です。SpaceXやOneWeb Amazonなどが進める衛星通信によるインターネットの利用が進むとの見立てのようです。
また、全体に占める割合としては減るものの、政府予算も金額としては2016年の8.4兆円から倍以上の18兆円になるとの見立てです。
その他の予測としては、Bank of America Merrill Lynchという会社が次の30年で300兆円規模になるとの予想を出しています。
2.The Global Exploration Roadmap/International Space Exploration Coordination Group(2018)
宇宙探査に関しては、各国が協力して行う必要性が高いため、国際機関が大きなロードマップを策定しています。
NASAやESA、そしてもちろん日本のJAXAを含む14の宇宙機関が共同で発表したロードマップでは、2020-2030年にかけての無人の月面探査および2030年移行の有人月面探査や月のゲートウェイとしての運用が記載されています。
さらに2030-2040年には火星の無人探査を行い、最終的には有人の火星探査へと向かっていく計画です。
3.JSASS宇宙ビジョン2050/日本航空宇宙学会
https://www.jsass.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/e2c8955d9607b55e5e22ad43bfde3cf1.pdf
日本では2050年までの宇宙ビジョンとして、日本航空宇宙学会が「JSASS宇宙ビジョン2050」を策定しています。
文書の中では、まず2050年にどこで誰が宇宙活動をおこなっているかが定義され、宇宙活動が何をもたらしているかが予想されています。
そして、それぞれの分野毎に2020年から2050年までの発展マップが描かれています。
4.アストロスケールCOOが見る2050年の世界
元NASAアジア代表で、現在アストロスケールのCOOを務めるChris Blackerby氏は発表資料の中で、2050年の宇宙ベンチャーについて、以下のような点を上げています。
・官民ともに複数の月面基地と有人の宇宙ステーションが存在
・科学とビジネス目的の火星、月その他惑星の採掘と資源の抽出
・地球低軌道は科学とサービス利用で数千もの衛星で活気づく
・デブリ除去や軌道変更、衛星の寿命延長で頻繁に衛星へのサービスが提供される
・日々、低軌道や月への観光、科学探査、ビジネス、政府系の業務で打上げが行われる
(3)宇宙産業100兆円時代、私たちの生活はどうなっているのか
さて、モルガン・スタンレーの予測によると2050年には100兆円に達している宇宙産業。それにより私たちの生活はどのように変わっているのでしょうか。上述した文献を参考にしながら宙畑編集部の予想と合わせて以下にまとめてみました。
1.「宇宙利用」
通信サービス
SpaceXなどが推し進める衛星によるインターネットサービスの提供が一般化し、世界中の誰もがどこにいてもつながる世界が実現しているでしょう。
これにより、自動車はもちろんのこと、飛行機や船舶の自動運転も行われ、モノの流通が発展していくでしょう。
どんな環境で生まれ育っても、インターネットにつながる端末さえあれば、教育の機会があり、誰でもチャレンジできる世界が来るとよいですね(願望)。
測位サービス・ 地球観測サービス
地球観測領域では、ありとあらゆる場所を人工衛星が撮影し、ほぼリアルタイムに確認できる、いわば「リアルタイム”Google Earth”」のような世界「デジタルツイン」が誕生しているでしょう。
また、ただ私たちが航空機から見たままの情報が更新されるだけでなく、解析された情報の更新も同時に行われ、地球全体で把握したいあらゆる産業、あらゆる人のための情報が蓄積されていくでしょう。
地球の持続可能性の選択肢を「デジタルツイン」を用いて探求したり、個人や法人単位では適切な時期に適切な場所で適切なものが用意されるなど、DXの究極系のような世界が広がっていることが期待されます。
2.「宇宙製造・インフラ」
輸送
ロケット打上げサービスを行う主体が政府から民間に移行し、大幅なコストダウンが実施され、宇宙へのアクセス性は格段に上がっているでしょう。
人工衛星を載せて飛ばす無人ロケットだけではなく、有人(宇宙飛行士だけでなく一般人も)ロケットの打上げも盛んになります。
世界各地には宇宙港が開港し、日々宇宙船が離発着を行っています。国際線に乗るくらいの感覚で、私たちが宇宙旅行に出かけています。
地球近傍はもちろんのこと、月や火星へのアクセスも始まっていることでしょう。
衛星製造
衛星の機数はさらに増加していると考えられます。
オーダーメイドで個々に製造していた時代は終わり、量産体制に入っているでしょう。現在のパソコンのように、インターネット上で簡単にカスタマイズして発注ができ、製造は自動化され、次々に衛星が組み立てられ試験されて出荷されていくかもしれません。
衛星の数は増えるため、ますますデブリの問題は深刻化します。各衛星の厳密な位置情報の把握と各衛星の回避技術の搭載が義務付けられているかもしれません。
また、打上げコストを最小化するため、宇宙空間での衛星製造や修理も一般化していくでしょう。
地上システム
前述の地球観測サービスを実現するため、世界中いたるところに衛星からの電波を受信する地上局が存在します。衛星からのデータを格納・展開するデータセンターもすぐ近くに存在するでしょう(AWS GSやAzure Spaceがすでに発表していますね)。
3.「宇宙探査」
現在の宇宙ステーションのように、常に月面基地やゲートウェイに人が複数人いる状態で、宇宙探査が進められています。
月面の資源開発が進み、さらに多くの人が居住するためのインフラ整備が進んでいます。
人類はさらに火星の開発を進めるため、無人・有人での探査を進めています。
(4)まとめ
以上、話題になった宇宙産業にまつわるツイートをきっかけとして宇宙産業の今とこれから宇宙産業に起こりうるだろう展開を、すでにある予測をもとに宙畑編集部でまとめてみました。
この記事をきっかけに宇宙産業の理解が深まるきっかけを作れましたら幸いです。
ツイートの紹介をご快諾いただいた柳田さん(@yoshi_yanagida)、この度は貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。
柳田さんが所属するリーマンサットでは、有志で宇宙開発を行い、実際に人工衛星の打上も成功させています。人工衛星以外にもローバー開発や宇宙服開発など幅広い領域の宇宙開発を行っているので、文系・理系問わず、宇宙開発に興味があるという方はぜひHPを訪れてみてください。
最後に柳田さんより本記事執筆にあたっていただいたコメントを紹介して本記事の結びと変えさせていただきます。
「宇宙開発やってます」「人工衛星打ち上げてるんですよ」といった話を誰かにする時、相手の反応は大きく分けると以下の2パターンが多いという印象を持っています。
「具体的にどんなことをやっているのか?宇宙産業はどうなっているのか?どんな意義や将来性があるのか?」といった話を前のめりで色々聞かれて盛り上がるパターンか、「珍しいことやってますね」「(私にはよくわかりませんが)夢があっていいですね」といった言葉とともに「この人、謎だな」と思われるパターンです(笑)
どうすれば前のめりな反応や、宇宙開発は日本において将来性のある産業の一つであるという認知・認識を作ることができるんだろうか……と物思いにふけりながら、ほろ酔い気分で何の気なしに放ったのが今回の記事のきっかけとなったツイートでした。
独り言的なツイートだったので「10いいね」ぐらいついたらいいなと思っていたところ、想定外にバズってしまい驚きました(笑)
いいね数やRT数は本記事の冒頭の通りですが、同時にとても多くのリプライや引用リツイートもいただきました。その中で一番意外だったのは、日本は宇宙開発にも力を入れるべきだという私の意見について、ポジティブな反応をされた方が非常に多かったということです。
たった140字の個人の発信をきっかけに、これだけ多くの方が宇宙開発に対して前向きな意見を述べてくれたという事実を前にして、日本の宇宙開発のプレゼンスはまだまだ高めることができる可能性に満ちていたんだな、と改めて気づくことができました。
もちろん、宇宙産業を育てていくためには、投資をはじめとした様々な支援も必要ですし、支援を受ける側も着実な成果を出していくことが重要なことは言うまでもありません。
その上で、宇宙ビジネス自体の敷居を下げて、もっと多くの人に「宇宙は成長産業」であり「日本は世界で戦えるポテンシャルを持っていて」「自分でも宇宙開発に関われる」と思ってもらえるような仕組みを作ることも大切だと信じて、私はリーマンサット・プロジェクトの運営に携わっています。
本記事や今回のツイートをきっかけに、宇宙開発に少しだけでも関わってみようと思われる方が一人でも増えれば幸いですし、その中で「リーマンサット・プロジェクトの活動に参加してみよう」という方がいらっしゃれば、これ以上に嬉しいことはありません。
ぜひ、この記事を読まれている皆さんと一緒に、日本の宇宙開発、さらには日本のものづくりを盛り上げていければと思っています。
最後に、普段から素晴らしい発信活動を続けられている宙畑編集部の皆さんに感謝申し上げます。このような機会をいただき本当にありがとうございました!