韓国が液体燃料ロケット「Nuri」を打ち上げ。ロケット第一・第二段の分離まで成功するも軌道投入はならず【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/10/18〜10/24】
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韓国が液体燃料ロケット「Nuri」を打ち上げ。ロケット第一・第二段の分離まで成功するも軌道投入はならず
韓国の宇宙機関であるKARI(Korea Aerospace Research Institute)が、自国開発した液体燃料ロケットKSLV-Ⅱ(通称:Nuri)を打ち上げました。韓国の国産技術で開発されたNuriは、高度100kmを超えて宇宙空間へ達し、第一段と第二段の分離まで成功しましたが、1.5tの模擬衛星を高度700kmの地球周回軌道へ投入させることはできませんでした。
KARIは、Nuri第三段の液体エンジンの燃焼時間は512秒のところ、475秒で終了してしまったことが今回の失敗の原因と発表しています。エンジンの燃焼が予定より早く終了してしまった原因について、今後詳細な調査が行われる予定です。
Nuriのロケットエンジンは、燃料にRP-1(ケロシン)・酸化剤に液体酸素を使用しています。世界で最も価格競争力のあるロケットエンジンの一つと言われているSpaceXのFalcon 9に搭載されているマーリンエンジンも、同様の燃料を使用しています。
Nuriの第一段には、推力75tのロケットエンジンが搭載されています。(参考までに、SpaceXのマーリンエンジンの推力は845kN[約86.2t]です。)ロケット自体の重量をはじめ、様々な条件が異なるため単純比較はできませんが、Nuriの軌道投入が成功すれば、世界で充分に価格競争力のあるロケットとなるでしょう。
1t以上の衛星を打ち上げることができる国は、現在ロシア・米国・フランス・日本・中国・インドの6ヶ国のみです。KARIは、2022年5月に再度Nuriの打ち上げに挑戦する予定です。韓国の宇宙開発に引き続き注目です。
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