Astraがスコットランドの射場からの打ち上げ契約のほか、新型ロケットRocket 4.0の詳細を発表【宇宙ビジネスニュース】
【2022年5月16日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
Astraがスコットランドの射場からの打ち上げ契約のほか、新型ロケットRocket 4.0の詳細を発表
小型ロケット企業のAstra(Nasdaq:ASTR)が、イギリスのスコットランドに射場を所有するSaxaVord UK Spaceportと契約を締結し、2023年以降にスコットランドからの打ち上げを実施すると発表しました。SaxaVord UK Spaceportの射場は、スコットランドの北東のシェトランド諸島のアンスト島にあり、約北緯60度に位置しています。
Astraはこれまで、アラスカのコディアックの射場とケープカナベラル基地から打ち上げを実施しており、今回の打ち上げ契約はAstraが米国外から打ち上げる最初の契約となる予定です。Astraは、小型ロケットだけでなく可動式の打ち上げシステムも開発しています。小型ロケットの打ち上げに必要な全てのシステムをコンテナに格納し、離れた場所にある射場への容易な輸送や様々な射場への対応し易さを実現しています。
スコットランドの経済貿易観光担当大臣であるIvan McKee氏は、以下のコメントを発表しています。
This agreement between SaxaVord Spaceport and Astra is great news for Shetland and represents another step towards our shared ambition of bringing vertical launch satellite capability to Scotland.
(訳:SaxaVord SpaceportとAstraの合意は、シェトランド諸島にとって素晴らしいニュースであり、スコットランドに衛星打ち上げ能力をもたらすという我々の野心に向けた新たな一歩となります。)
スコットランドには、SaxaVord UK Spaceportのほか、スコットランド本島南西部に位置するエアローンチ方式の射場Prestwick Spaceportや、スコットランド北部に位置する垂直打ち上げ方式の射場The Space Hub Sutherlandといった射場があります。
また、Astraは5月12日に、Spacetech Day2022と題して、今後の戦略をwebcastにて発表しました。その中で、同社の新型ロケットRocket 4.0を発表しました。
既存のRocket 3.3は100~150kgのペイロードを地球低軌道に投入可能ですが、Rocket 4.0では300kgのペイロードを地球低軌道に投入可能とのことです。そのほかRocket 3.3はバッテリー駆動のポンプを使用していますが、Rocket 4.0ではターボポンプを使用すると発表しています。
Webcastの様子は以下の動画から視聴可能です。
市場の競争がより激しくなってきている小型ロケット業界ですが、Astraがどのように独自色を出していけるか注目です。
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