NASAと米エネルギー省、月の原子力発電のシステム設計を実施する3社を選定【宇宙ビジネスニュース】
【2022年6月27日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
月面開発の本格化を前に、月面における電力の確保に向けた検討が始まっています。
6月21日、NASAと米国エネルギー省(通称DOE)は、10年以内に月面へ打ち上げが可能な核分裂を利用した原子力発電(Fission surface power)のシステム設計を実施する企業を選定したと発表しました。選ばれたのは、以下の3社です。
Lockheed Martin(総合エンジニアリング企業のBWXT社と冷却技術などの技術を持つCreare社と提携予定)
Westinghouse Electric Corporation(SLSロケットに搭載されるエンジンの製造を手掛けるAerojet Rocketdyneと提携予定)
IX(IXは月面着陸船を打ち上げ予定のIntuitive Machinesと、高温ガス炉とその燃料の開発を手掛けるX-energyの合弁会社。MAXARとBoeingと提携予定)
まずは、月の環境下で少なくとも10年間、40kWe級の電力を発電できる原子力発電の初期設計を実施します。契約金はそれぞれ約500万ドル(約6億8000万円)です。X-energyはプレスリリースで、2028年までに原子力発電を月に供給すると記載しています。
また、プロジェクトを通してNASAが得る原子力発電の情報や知見は、NASAの原子力推進システムの研究開発に役立てられ、深宇宙探査に使用する可能性もあるとのことです。
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参考
NASA Announces Artemis Concept Awards for Nuclear Power on Moon
Fission System to Power Exploration on the Moon’s Surface and Beyond