NASAが月面・宇宙探査技術を開発する米企業11社を選定。Blue OriginとAstroboticに支援約50億円【宇宙ビジネスニュース】
【2023年7月31日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
7月25日、NASAは長期的な月面および宇宙探査を支援する技術を開発するアメリカ企業を選定しました。選定されたのはAstrobotic Technology、Big Metal Additive、Blue Origin、Freedom Photonics、Lockheed Martin、Redwire、Protoinnovations、Psionic、United Launch Alliance、Varda Space Industries、Zeno Power Systemsの11社です。
これは「Tipping Point」と呼ばれる取り組みの一環で、選定された企業は企業規模に基づいてプロジェクト総費用の最低割合を拠出して実施します。プロジェクトの実施期間は最長4年間です。また、今回のNASAの拠出予定総額は1億5,000万ドル(約212億円)となっています。
今回NASAからの予定支給額が最も高いのは、有人月面着陸システムの開発などを行うBlue Originの3470万ドル(約48.9億円)です。Blue Originは月面のレゴリス(土壌)から酸素や鉄、シリコン、アルミニウムを抽出し、抽出された物質を使用して太陽電池と電線を製造することができるシステムの開発を目指します。
次いで予定支給額が高いのは、Astrobotic Technologyの3460万ドル(約48.8億円)です。Astrobotic Technologyは2026年以降に予定されている同社の月面ランダーGriffinで月面にローバーを輸送する予定です。その際にGriffinから1km離れた場所にローバーが移動し、Griffinの太陽光パネルで発電した電力をケーブルで受信し、月面における電力伝送技術を実証します。
NASAのビル・ネルソン長官は「民間の宇宙産業と連携することで、NASAはアメリカのイノベーションと創意工夫の力を活用することができます」と述べています。
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参考
NASA Partners with American Companies on Key Moon, Exploration Tech