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アクセルスペース、衛星部品等の宇宙での実証を支援する新サービスを発表。第一号案件は26年に打ち上げ【宇宙ビジネスニュース】

【2024年7月22日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

7月17日、アクセルスペースは軌道上での宇宙用コンポーネントの実証に特化した新サービス「AxelLiner Laboratory」を発表しました。同サービスは、企業や商品のPR・エンターテインメント分野等での活用も視野に入れているといいます。

Credit : アクセルスペース

AxelLiner Laboratoryが誕生した経緯

衛星の打ち上げ機数が増えるなか、軌道上での実証の需要も増しています。日本ではJAXAが機器や部品を衛星に搭載して打ち上げ、得られたデータを提供する「革新的衛星技術実証プログラム」を2016年から実施しており、定期的に軌道上実証機会を提供しています。

アクセルスペースは革新的衛星技術実証プログラムで2019年に打ち上げられた「小型衛星1号機「RAPIS-1」の開発を担当し、実証を希望する事業者の生の声を聞く機会があったといいます。その際に、軌道上実証ミッションは実施頻度が低く、また、採択から打ち上げまでに数年かかってしまうことから、タイムリーな実証が難しいことが課題となっていることがわかったといいます。

また、AxelLiner Laboratoryを立ち上げた背景には、AxelLiner事業を発表して以来宇宙用コンポーネントを開発している企業、ミッション機器を開発している企業からも同事業への強い関心が寄せられたことや、宇宙戦略基金の経済産業省計上分の実施テーマに「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」が含まれており、早期の軌道上実証サービスに対する需要は今後ますます増大していくと考えられていることもあったといいます。

第一号案件は2026年に打ち上げ

AxelLiner Laboratoryの発表と同時に、小型精密モーターなどの開発を手掛けるASPINA シナノケンシと共同で開発しているリアクションホイールをサービス適用第一号として2026年中に打ち上げ、軌道上実証を実施することに合意したことも発表されました。

宙畑メモ:リアクションホイール
リアクションホイールは衛星の姿勢制御装置の一つ。アクセルスペースは、ASPINA シナノケンシとの共同開発を発表した際に、超小型衛星向けのリアクションホイールは価格・納期の面で課題があるほか、供給メーカーが限られるために需要に応えられない場合があり、調達先の多様化が求められていることを説明していました。

参考:次世代超小型人工衛星の量産化を見据えた基幹搭載機器の新規開発のお知らせ

ASPINA シナノケンシは、100㎏級・200㎏級・300㎏級の衛星向けリアクションホイールを開発中で、順次ラインナップを揃えて宇宙実証を行う予定だといいます。

アクセルスペースの代表取締役CEO中村友哉さんは「こうしたニーズ(軌道上実証の需要)にタイムリーに応えていくことは、宇宙産業全体のさらなる活性化につながると考えています」と述べています。

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参考

アクセルスペース、AxelLiner事業の新サービス「AxelLiner Laboratory (AL Lab)」を発表 〜急拡大する宇宙用コンポーネントの軌道上実証ニーズに対応〜