グランプリを受賞した「街の”未来”を描く地図」とは? PLATEAU AWARD 2024の結果と3Dモデル&衛星データの融合例
国土交通省が推進する3D都市データを扱うPLATEAUプロジェクト。PLATEAU AWARD 2024の結果と合わせて、地上データとの連携でより深い提案ができる衛星データの利用例とこれからの展望を紹介します。
はじめに
衛星データは、広範囲を、定期的に、人が現地に行かずとも均質なデータが取得できるとして近年注目が集まっています。しかしながら、衛星データのみで真価を発揮することは多くありません。多くの場合、衛星データと地上のさまざまなデータと掛け合わせることで新しい可能性を引き出すことができます。
今回は、2025年2月15日に開催された「PLATEAU AWARD 2024」の最終審査会の内容と合わせて、地上の3Dモデルを利用した例を紹介します。
3Dモデルとは、縦横高さの3次元で立体的に形状や物体を扱うことができるデータです。ゲームやアニメーションやシミュレーションに使用されています。この3Dデータがこれからの未来に一体どのように活用されて行くのでしょうか。
PLATEAU プロジェクトとは
PLATEAU(プラトー)は、国土交通省が推進する日本全国の都市を3Dモデル化するという壮大なプロジェクトです。2020年12月に始動し、都市の建物や街路の3次元形状をCGモデルで再現することで、まちづくりのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。驚くべきは、都市のデジタルツインを実現し、誰もが自由に利用できるオープンデータとして提供されているということです。

PLATEAUは、地理空間データを活用するプラットフォームとして、建物の名称や用途、建設年などの詳細な情報が付与された3D都市モデルを提供しています。これにより、都市計画や防災、観光、教育など、さまざまな分野での活用が期待されています。
例えば、PLATEAUのデータを活用して、都市の景観シミュレーションや災害時の避難経路の最適化、さらには観光案内のバーチャルツアーなど、多岐にわたるアプリケーションが開発されています。また、教育現場では、学生たちが実際の都市データを用いて学習することで、より実践的な知識を身につけることが可能となります。
さらに、PLATEAUはGIS(地理情報システム)やCityGMLといった最新の技術を活用しています。GISを利用することで、土地データや建築物データと3D都市モデル重ね合わせ、空間的な特性を分析することができます。CityGMLは、3D都市モデルを詳細なレベルで記述するためのデータ形式で、建築物の形状や詳細度を表現する際に使用されます(CityGMLについては、次章で詳述)。これらの技術により、PLATEAUのデータは高い精度と柔軟性を持っています。

また、PLATEAU VIEW 3.0というブラウザベースのWebGISも提供されており、ユーザーはウェブ上で3D都市モデルを簡単に閲覧・操作できます。このツールは、作図機能やGoogle Street Viewとの連携、太陽光シミュレーション、ヒートマップ表示など、多彩な機能を備えており、都市データの活用をさらに促進しています。以下のサイトで様々な例とともに紹介されています。
https://www.mlit.go.jp/plateau/plateau-view-app/
今後のPLATEAUの展望としては、2027年度までに約500都市の3Dモデル化を目指しており、将来的には全国の都市をカバーする計画です。この壮大なプロジェクトは、日本の都市づくりに革新をもたらし、新たな価値創造の基盤となることでしょう。都市の未来をデジタルで描くPLATEAUの取り組みから、ますます目が離せません。

CityGMLとは
CityGMLは、都市や景観の3Dモデルを標準化されたデータ形式で表現・交換するためのオープンな規格です。その誕生の背景には、都市計画や防災、交通シミュレーションなど、多岐にわたる分野で3D都市データの需要が高まる中、データの互換性や統一性の欠如が課題となっていました。この問題を解決し、異なるシステム間でのデータ共有や活用を円滑にするために開発されたのがCityGMLです。
https://www.ogc.org/publications/standard/citygml/
CityGMLの開発は、2002年にドイツのSpecial Interest Group 3D(SIG 3D)によって開始されました。その後、Open Geospatial Consortium(OGC)の標準規格として採用され、2008年8月にバージョン1.0.0が公式にリリースされました。以降、2012年4月にはバージョン2.0.0が、2023年9月には最新のバージョン3.0が公開され、今もなお継続的に改良されています。
CityGMLの大きな特徴は、都市オブジェクトの幾何学的情報だけでなく、セマンティクス(意味情報)やトポロジー(空間関係)、外観情報など、多面的な属性を統一的に表現できる点にあります。これにより、建物、道路、橋梁、植生、市街設備など、都市を構成するさまざまな要素を詳細かつ一貫性のある形でモデル化できます。さらに、異なる詳細度(Level of Detail、LOD)での表現が可能で、用途に応じたデータの活用が容易になります。

最新のCityGML 3.0では、従来のGML/XML形式だけでなく、JSONやデータベーススキーマなど、多様な技術での実装が可能となり、柔軟性が大幅に向上しました。また、BIM(Building Information Modeling)との統合が強化され、屋内空間の詳細なモデリングや、センサーやシミュレーションによる動的データのサポートなど、現代のスマートシティやデジタルツインのニーズに応える機能が追加されています。
CityGMLの存在意義は、都市データの標準化と相互運用性の確保にあります。統一されたデータモデルにより、異なるシステムやアプリケーション間でのデータ交換が容易になり、都市計画、防災、交通、エネルギー管理など、多様な分野でのデータ活用が促進されます。
CityGMLの導入により、都市の3Dモデルが単なるビジュアル表現を超えて、実際の都市問題の解決やシミュレーション、分析のための強力なツールとなります。例えば、災害時の避難シミュレーションやエネルギー効率の最適化、交通流の解析など、具体的な課題解決に直結する応用が期待されています。
繰り返しになりますが、PLATEAUはオープンスタンダードで、誰もが自由に利用・拡張できるため、研究機関や企業、行政など、多様な主体が協力して都市データのエコシステムを構築することが可能となります。
このように、CityGMLは都市のデジタル化とスマートシティの実現に不可欠な基盤として、今後ますますその重要性を増していくことでしょう。
PLATEAU AWARDの概要と過去の受賞作品
本章から、記事の本題でもあるPLATEAU AWARDについて紹介します。PLATEAU AWARDは、国土交通省が推進する3D都市モデルプロジェクト「PLATEAU」のデータを活用したサービスやアプリ、コンテンツ作品を対象としたコンテストです。2022年に初めて開催されて以降、毎年、多彩なアイデアと技術が結集した作品が集まっています。
PLATEAU AWARD 2022:初代グランプリと注目の作品

2022年のPLATEAU AWARDでは、初回ながら全国から70作品もの応募があり、非常に高い競争率でした。
その中で、北海道の学生チーム「シマエナガ」による『snow city』がグランプリとUI/UXデザイン賞をダブル受賞しました。 この作品は、実在の街をスノードームの中に再現するという斬新なコンセプトで、ユーザーはブラウザ上で街のスノードームを鑑賞したり、オリジナルのスノードームを作成することができます。

システムの完成度やデザインの美しさが高く評価され、観光分野への応用可能性も期待されています。また、エモーション賞を受賞した『VARAEMON』は、PLATEAUデータを活用したアプリで、その開発背景や技術的工夫が注目されました。
PLATEAU AWARD 2023:さらなる進化と多様な作品

2023年のPLATEAU AWARDでは、応募作品の質と多様性がさらに向上しました。グランプリを獲得したのは、『PlateauKit + PlateauLab』です。 この作品は、3D都市モデルの開発環境を構築し、開発者がより効率的に都市データを活用できるプラットフォームを提供しています。これにより、都市計画やシミュレーション、ゲーム開発など、さまざまな分野での応用が期待されています。

他にも、奨励賞を受賞した『でべごっこ』は、ユーザーが3D都市空間にビルを建設し、都市開発を体験できるアプリです。 建物の容積率や敷地面積の計算など、PLATEAUの属性データを活用したリアルなシミュレーションが特徴で、建築設計の教育ツールとしての活用も期待されています。
PLATEAU AWARD 2024とその受賞作品
そして、PLATEAU AWSRD 2024 ではこれまでの作品をベースに今まで以上に質の高い作品が集まっていました。56作品と競争率も非常に高く、奨励賞の作品も発表を聞いてみたいと思わせるようなものが多数ありました。現地の様子は程よく緊張感がありつつも、楽しんで自身のプレゼンを紹介するようなとても良い雰囲気でした。
公式による Winners Calls は以下です。
https://www.mlit.go.jp/plateau-next/award/#winners

それでは、各賞ごとに受賞された作品を以下より紹介します。
審査員特別賞
審査員特別賞を受賞したのは広島高校の情報部のお二人でした。作品は「PLATEAUを利用したコミュニケーション、情報共有ツール」です。現地で提供されている情報などでは、「ハザードマップの紛失」、「表現力に限界がある」、「災害時に情報収集が難しい」という課題があります。それらをユーザー目線で分析して、今何が必要なのかから表現力の高い3Dモデルを使用したコミュニケーション・情報共有ツールを開発しました。開発のデータフローなどから内部設計まで技術的にも参考になりました。
GISアプリの開発時のフロントエンドとバックエンドの処理を分担して、発表も上手に連携をとって笑いも取ってくれました。2人の高校生という若い芽のこれからが非常に楽しみになるペアでした。

イノベーション賞
イノベーション賞の受賞者は、自治医科大学 西村 智さんです。作品は「3D都市世界体験型リハビリ・トレーニング」です。
飽きてしまいがちなリハビリワークを楽しく乗り越えられないか?という考えからプラトー3D都市空間内でエアロバイクを漕いでインタラクティブにしてくれるアプリを搭載したハードデバイスを開発していました。
発表前の休憩時間から誰が見てもわかる「なんだか凄いもの」をセッティングして会場を魅了しました。自ら開発したデバイスに乗車して発表をして、ザ・魔改造という言葉がとても似合う技術っぷりです。イノベーション賞に選ばれるのは誰もが思ったのではないでしょうか。
実際のアプリもグラフィック処理をリアルタイムで処理するための低レイヤー実装から開発しています。音やポリゴンのような細部まで拘って丁寧に開発されているので本当に飽きずに操作できる工夫がされています。

エモーション賞
エモーション賞の受賞者は、うっぴーさんです。作品は「虎ノ門深海水族館」です。VRChat(メタバース空間)上に深海生物に焦点を当てた水族館を制作しました。ビルの上空から距離に合わせて暗くなるように工夫をしています。これは深海が200mという定義に合わせて、体感できるように構築されています。深海水族館では様々な深海生物に出会うことができます。
発表者の日頃のお仕事(アテンド)を活かした深海水族館案内できっとみんな、心を動かされたはずです。エモさは申し分なく、会場全体に溢れんばかりでした。

データ活用賞
データ活用賞の受賞者は、LociAIさんです。作品は「PLATEAU Agent」です。3D都市データを分析するだけではなく、議論やエビデンスとして記録して共有することで新たな価値を見出す活用方法です。既存の3Dモデルは、地理空間の知識が必要な点や人間の意見、発言と紐づけられていない課題に対して、AIや可視化を動的に連携させるエージェントを開発してソリューションを与えてくれました。流れるだけの対話ではなく、見返した人が地図を見てイメージを共有できるようになっています。
前年の「PLATEAU Hack Challenge 2024 in Tokyo」で決起したメンバーで構成されたエンジニアです。今回の2025年に受賞する素晴らしいストーリーです。LLMのような新しい側面での利用も期待ができる発表でした。

UI/UXデザイン賞
UI/UXデザイン賞の受賞者は、日本工営株式会社 ビジュアルコミュニケーションチームさんの「飛び出す避難場所マップ」です。この作品は、災害時に利用する3D避難マップです。立体感が直感的に可視化されている空間再現ディススレイを使用して、3D都市モデルを最大限に活用しています。
さらに、統一的なデザインやどのような言葉を使うかなど、サービスを直感的に利用できるようなUXの工夫が隠されていました。実用面を考えて、楽しんで触れるように飛び出す仕掛けがあるおかげで日頃から慣れることができるようになっています。
チームは多国籍なメンバーで構成されており、そのような背景もあって感覚的な操作や理解の必要性を考えられるようになったのかなと思いました。ぜひ実機を見る機会があれば触っていただければと思います。

PLATEAU賞
PLATEAU賞の受賞者は、スペースシフトさんです。作品は「Plateau3D 都市モデルを活用した衛星画像のシミュレーションでわかる災害状況と減災活用」です。PLATEAU 3D都市モデルの測量の正確さを活かして、物理シミュレーションに活用します。災害対応に適したSAR衛星画像を3Dモデルから生成することで、現在の災害状況把握や未来の減災に役立てる提案です。
いかに実利用で役に立つのかがしっかりと検討された提案で評価されたように思います。

PLATEAUユース賞
PLATEAUユース賞の受賞者は、ミヤタゲームズさんです。作品は「空傘散歩」です。傘を操作デバイスとして開発して、VR空間で傘を使って空を飛ぶ装置です。3D都市モデルの質を活かして、誰もが憧れる摩天楼を、傘を刺したままふわふわと遊泳する夢を体験できるゲームです。VRシステムやPython、デバイスの試行錯誤などのエンジニアリングについても紹介しています。
提案された利用シーンでは、展望台から見ている場所へ傘をさして向かえるのは怖くもありますが、やりたくなりますね。3D世界を体感できる作品でこのゲームをやってみたいと思わせる発表でした。

グランプリ
栄えあるグランプリを受賞したのはトグルホールディングスさんでした。作品は「街の”未来”を描く地図」です。不動産と建築、金融を統合して、未来の街づくりに必要な産業インフラと、その地図を作成する提案です。PLATEAU3D都市モデルの建物の詳細情報を活用して、太陽光シミュレーションや建築可能な建物で新しい街のイメージや空間そのものを構築してくれるサービスです。
実利用から技術的な工夫まで、新しい街を楽しくデザインできる発表だったと思います。
具体性や将来性も、非常にバランスが良くグランプリにふさわしい内容でした。

各賞を受賞された作品は質が高いだけではなく、その作品にどのような意味があるのかという問いに対して、しっかりとした回答があるものが多く感じられました。
当日の録画は Youtube で以下にて公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=sPHaCIjeip8
参加者の工夫とこれから参加したい方へのアドバイス
PLATEAU AWARD 2024 の発表者でもあった著者の私から、未来の参加者に少しメッセージを送りたいと思います。過去の受賞者は、PLATEAUの3D都市モデルデータを独自の視点で活用し、革新的な作品を生み出しています。これから参加を検討される方は、ぜひ以下のポイントを意識してみてください。
・独自性のあるアイデア:既存の概念にとらわれず、都市データの新たな活用方法を探求してみましょう。
・技術とデザインの融合:高い技術力だけでなく、ユーザーが直感的に楽しめるデザインやUI/UXも重要です。
・社会的意義の追求:防災、教育、観光など、社会課題の解決に寄与する作品は高く評価される傾向があります。
PLATEAU AWARDは、クリエイターや開発者が自身の才能を発揮し、都市データの可能性を広げる絶好の機会です。ぜひ挑戦して、新たな価値を創造してください。
PLATEAU を活用したリモートセンシングデータとの融合アイデア
PLATEAU AWARDでは、衛星データやドローンといったリモートセンシングデータと3D都市モデルを融合させた作品が注目を集めはじめています。
衛星データと3D都市モデルの融合:災害対策への新たなアプローチ
先述のPLATEAU AWARD 2024でPLATEAU賞を受賞したスペースシフトの「Plateau3D 都市モデルを活用した衛星画像のシミュレーションでわかる災害状況と減災活用」について、もう少し詳しくご紹介します。
このプロジェクトは、PLATEAUが提供する高精度な3D都市モデルと、スペースシフトが独自に解析した衛星データを組み合わせることで、災害時の被害状況を迅速かつ正確に把握し、減災対策に活用することを目的としています。
具体的には、災害直前のSAR衛星画像シミュレーションすることで地震の前後の地表の変化や被害箇所を検出します。測量が正確になり、3Dモデルが高精細になったために、シミュレータの精度も向上しました。衛星データがいつでも存在するとは限らない弱点を、3Dモデルの事前に準備ができる点で補った提案です。被害の程度や範囲を直感的に把握でき、迅速な初動対応や効果的な復旧計画の策定に寄与します。

3D都市モデルと衛星データの活用がもたらす未来の展開
3D都市モデルと衛星データの融合は、災害対策以外にも多くの可能性を秘めています。例えば、都市の環境モニタリングやインフラ管理、さらにはスマートシティの実現に向けた基盤としての活用が期待されています。
・環境モニタリング:衛星データで取得した大気汚染や温度分布などの環境情報を3D都市モデルに統合することで、都市環境の変化を詳細に追跡できます。これにより、ヒートアイランド現象の対策や緑化計画の効果検証など、環境政策の立案に役立ちます。
・インフラ管理:衛星データを活用して橋梁や道路の変位や劣化を検出し、3D都市モデル上で管理することで、インフラの維持管理を効率化できます。これにより、老朽化した構造物の早期発見や適切なメンテナンス計画の策定が可能となります。
・スマートシティの推進:リアルタイムの衛星データと3D都市モデルを組み合わせることで、交通量のモニタリングや人の流れの解析など、都市の動態をリアルタイムで把握できます。これにより、交通渋滞の緩和や公共サービスの最適化など、スマートシティの実現に向けた施策が推進されます。
また、衛星データではありませんが、航空機やドローンによる画像形式のラスターデータの利用は過去のPLATEAU AWARD では提案されています。
ドローンリアルタイム・ナビゲーションシステム
2022年に国土交通省が株式会社A.L.I. Technologiesと「ドローンリアルタイム・ナビゲーションシステム」の開発に取組みました。こちらは、3D都市モデルを活用したSLAM技術により、ドローンの高精度な自律飛行を実現するものです。
具体的には、3D都市モデルを基にドローンの自己位置を高精度に推定し、エッジデバイスの演算負荷を低減するためのストリーミング技術も検証しています。これにより、ドローンのレベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)の安全性向上と社会実装が期待されています。

長距離無人航空機による広域デジタルツイン
2023年のPLATEAU STARTUP Pitchでは、株式会社テラ・ラボが「長距離無人航空機による広域デジタルツイン」で審査員特別賞を受賞しました。このプロジェクトは、災害発生時に長距離無人航空機を用いて広域の地理空間情報を迅速に収集し、3D都市モデルと組み合わせることで、被災状況の詳細な把握と効果的な復旧支援を目指しています。従来の観測手法では計測が難しい広範囲のデータ収集を可能とし、災害対応の新たな手法として注目されています。
3D都市モデルとドローン・航空機データの融合による未来の展開
3D都市モデルとドローンや航空機から取得したデータの融合は、都市計画や防災、インフラ管理など多岐にわたる分野で革新的な展開をもたらします。例えば、災害時には迅速な被害状況の把握が求められますが、ドローンや無人航空機を活用することで、被災地の詳細な3Dモデルを短時間で作成し、救助活動や復旧計画に役立てることができます。また、都市部のインフラ点検では、ドローンによる高精度なデータ収集と3D都市モデルの組み合わせにより、老朽化した建造物の劣化状況を効率的に監視し、メンテナンスの最適化が可能となります。
さらに、スマートシティの実現に向けて、リアルタイムで取得したドローンデータを3D都市モデルに反映させることで、交通量のモニタリングや人の流れの解析など、都市の動態を詳細に把握できます。これにより、交通渋滞の緩和や公共サービスの最適化など、住民の生活品質向上に直結する施策の立案が期待されます。
PLATEAU AWARDは、3D都市モデルと多様なデータソースを組み合わせた革新的なアイデアを発表する場として、クリエイターや技術者にとって絶好の機会を提供しています。今後も、ドローンや航空機データの活用を含め、新たな可能性を追求する作品の登場が期待されます。
3D都市モデルと他のデータソースの融合のヒント
スペースシフト株式会社の発表が示すように、PLATEAU AWARDでは3D都市モデルと他のデータソースを組み合わせることで、新たな価値を創出する作品が高く評価されます。これから参加を目指す方は、以下のポイントを意識してみてはいかがでしょうか。
・データの融合:3D都市モデルに衛星データやセンサーデータ、さらにはソーシャルメディアの情報など、多様なデータを組み合わせることで、より豊かな情報提供が可能となります。
・社会課題の解決:防災や環境問題、インフラ老朽化など、現代社会が直面する課題に対して、3D都市モデルと衛星データの融合がどのように貢献できるかを考えることが重要です。
・ユーザー視点のデザイン:技術的な革新だけでなく、ユーザーが使いやすく、直感的に理解できるデザインやインターフェースを追求することで、作品の価値が一層高まります。
PLATEAU AWARDは、3D都市モデルと多様なデータを活用した新たなアイデアを発信する絶好の場です。ぜひ挑戦して、未来の都市づくりに貢献する革新的な作品を生み出してください。
PLATEAU を利用した宙畑記事
宙畑では、PLATEAUの3D都市モデルを活用した記事を数本公開しています。
衛星データの利用の有無に関わらずこちらも楽しく読んでもらえると幸いです。
例えば、衛星画像から検知した桜の表示方法でPLATEAU VIEWを使用しています。3Dモデルだからこその見え方などに使用しています。
衛星データから桜の開花検知によるお花見スポット探索の実装と3Dでの表現【MAXARの衛星データでやってみた】
以下は衛星データを使わない例です。
PLATEAU の利用方法としては定番のゲーム利用例が記載されています。コードと共に勉強したい方にはおすすめです。
自分のいる場所を当てる!PLATEAUを使って位置情報ゲームを作った
地理空間データを使ってまだ見ぬCanSatの投下場所を探せ!!~UNISEC×宙畑コラボ企画 10年越しの課題への挑戦~
また、公開データセット(オープンデータの紹介)としても紹介しています。
オープンデータ活用事例28選とおすすめのデータセット、都道府県別サイト一覧【オープンデータの基本から解説】
まとめ
本記事では、PLATEAU プロジェクトとPLATEAU AWARDの受賞作品、衛星データとの掛け合わせについてまとめて紹介しました。
このような衛星データの具体的な活用方法についてより詳しくお届けしますので宙畑を今後とも、ご覧いただけますと幸いです。