SpaceX・Starcloud・Blue Originに続く4社目。米Cowboy Spaceが最大20,000機の宇宙データセンター「Stampede」構想を発表【宇宙ビジネスニュース】
数万機規模の宇宙データセンター構想がわずか半年で4社目に。Cowboy Spaceが最大20,000機の衛星群「Stampede」計画を打ち出しました。
2026年5月11日、米国の宇宙インフラ企業Cowboy Spaceは、最大20,000機の衛星で構築されるAI向けの宇宙データセンター「Stampede」のライセンス取得をFCCに申請しました。
宙畑メモ:FCC(米連邦通信委員会)へのライセンスとは
FCCは米国の通信分野を管轄する独立規制機関で、電波の周波数割り当てや通信事業の許認可を担っています。衛星通信事業者が米国で電波を使ってサービスを提供するには、FCCからライセンスを取得する必要があります。
Cowboy Spaceは、米国の手数料無料株式取引アプリ「Robinhood」の共同創業者バイジュ・バット氏が2024年に設立した米国の宇宙インフラ系スタートアップです。もとは『Aetherflux』という社名で、2026年5月にCowboy Spaceへ社名変更しました。
近年、AI向けの宇宙データセンターに関する発表が続いています。先行各社のFCC申請機数は、SpaceXが最大100万機、Blue Origin (Project Sunrise) が51,600機、Starcloudが88,000機にのぼります。宇宙データセンター構想は2026年の宇宙産業におけるトレンドキーワードのひとつと言っても過言ではないでしょう。
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以下、Cowboy Spaceの申請書類から見える特徴と、先行各社との違いを紹介します。
(1)Stampedeの特徴と段階的な実証計画
Stampedeの最大の特徴は、データセンター衛星と打ち上げロケットを一体で設計している点にあります。
同社CEOのバイジュ・バット氏はシリーズB発表時のプレスリリースで「軌道上データセンターの要件がシステム全体の形状と機能を決定づける、ブランクシート(白紙)からの設計」と説明しています。
衛星とロケットを別々に開発する従来モデルでは、両者のすり合わせや、外部の打ち上げ事業者のスケジュールへの依存といった制約が生じます。
Cowboy Spaceは打ち上げから宇宙空間上でのデータセンター運用までを自社で垂直統合することでこうした制約を回避し、システム全体の最適化と、市場需要に応じた展開ペースのコントロールの両立を目指しています。
同社は公式サイトでも「打ち上げのたびにStampedeの電力・計算能力が拡大する」と説明しています。Stampedeは衛星1機目から商用運用を可能とする設計です。需要や技術の進展に応じて、段階的に規模を広げていく柔軟な展開モデルを目指しています。
FCC申請書類によると、Stampedeは高度700~1,000kmの薄明帯太陽同期軌道(dawn-dusk SSO)に展開されます。
宙畑メモ:薄明帯太陽同期軌道(dawn-dusk SSO)とは
「dawn(夜明け)」「dusk(夕暮れ)」の名前が示す通り、地球の昼と夜の境目付近をなぞるように周回する太陽同期軌道です。衛星が地球の影に入りにくく、太陽光をほぼ連続的に受けられるため、発電量を確保しやすいのが特徴です。
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データ処理部分には、NVIDIAのSpace-1 Vera Rubin Moduleが採用される予定です。
Space-1 Vera Rubin ModuleはNVIDIAが2026年3月に発表した、宇宙空間に高性能GPUデータセンターを構築するためのAI計算モジュールです。
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衛星間や衛星-地上間の通信には、光通信を用います。光通信によるデータ伝送は、通常の通信衛星なら確保が必要な広い周波数帯を占有せずに済み、既存の電波帯域を圧迫しない設計です。
Cowboy Spaceが公表している今後の事業の流れは以下のとおりです。
◆2026年後半:最初の実証衛星で、宇宙から地上への電力伝送を実証
◆2027年初頭:GPUクラスタ(複数のGPUを束ねた演算ユニット)による高性能計算と宇宙-地上間の光通信実証を行う第2ミッションを実施
◆2028年末:ロケット上段を1MW級データセンター衛星とする自社ロケットの初打ち上げ
(2)SpaceX・Blue Origin・Starcloudとの違いと、加速する宇宙データセンター競争
10,000機以上の衛星による宇宙データセンター事業を打ち出す主要4社の概要を以下の表に整理しました。
Stampedeの機数は20,000機と、各社のなかでは最小規模です。太陽同期軌道と光通信を主軸とする点は、他3社と共通しています。一方でCowboy Spaceは、ロケットとデータセンターを一体で設計する垂直統合戦略を打ち出しており、この点で独自のアプローチを取っています。
なお、Cowboy Spaceを含む4社は、FCCに対し6年で半数、9年で全機を展開する通常のスケジュール規則の免除を共通して要請しています。光通信中心で電波帯域の占有が少ないことを理由としており、宇宙データセンター業界全体で規制枠組みの見直しが進んでいることがうかがえます。
Cowboy SpaceのStampedeは、ロケットとデータセンターの一体設計という独自路線で宇宙データセンター業界に参戦しました。
SpaceX・Blue Origin・Starcloud・Cowboy Spaceの4社が、わずか半年で数万機から100万機規模のFCC申請を相次いで行いました。この事実は、宇宙データセンターが構想段階を脱し、本格的な事業領域として動き出しつつあることを物語っています。
日本でも宇宙戦略基金が「軌道上データセンター構築技術」を支援テーマに設定しているほか、NTT・スカパーJSATも宇宙データセンター事業を計画しています。
地上のデータセンターが抱える電力・用地・冷却水の制約を宇宙空間で回避できれば、AIの計算基盤を環境負荷の少ない形で拡大することが期待できます。気象・気候予測、災害監視、農業や社会インフラのAI解析など、私たちの暮らしを支える幅広い分野へと広がっていくでしょう。
参考
Cowboy Spaceの宇宙データセンターに関するFCCへの申請内容 (SAT-LOA-20260323-00135 )

