超小型海洋観測衛星からの、高性能な観測結果が公開へ【週刊宇宙ビジネスニュース 3/25~3/31】
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先日、SeaHawk-1からの観測結果が公開されました。
SeaHawk-1には、主に海洋を観測するカメラが搭載されており、海の色などから、海洋の状態を推測することをミッションとしています。
実際に観測された結果はこちらになります。
海にグラデーションがかかっているのが分かりますね。
このグラデーションには意味があり、例えばNASAのアカウントでは以下のように、過去にNASAが打ち上げた衛星からの観測結果との比較がなされています。
Clear skies greeted the Hawkeye/SeaHawk instrument on March 21 for its first image capture of Earth over Monterey Bay, CA. Congrats to @UNCW, @MooreFound, @ClydeSpace, Cloudland Instruments and @NASAGoddard. Highlights of this journey are here: https://t.co/LeHJo2OVve pic.twitter.com/HpY8P23qLi
— NASA Ocean (@NASAOcean) 2019年3月29日
今回打ち上げられたUNCW(University of North Carolina Wilmington)の衛星の方が、より細かく観測できていることが分かるかと思います。
比較に挙がっているNASAの衛星とUNCWの衛星を比較してみると、以下のようになります。
NASAの衛星に比べて、UNCWの衛星は、重さが1/1000、大きさが1/10000と、かなりコンパクトになっているにも関わらず、観測分解能は倍良くなっています。
その代わり、観測できるバンド数はかなり絞られ、観測幅も1/10になってしまっています。
Aquaが打ち上げられたのが2002年とかなり昔であることもありますが、SeaHawk-1は機能を絞ることで、性能を上げています。
海洋観測衛星の場合、陸域が映りこむことで観測結果が正しく表示されないこともあり、陸域付近の沿岸部では、観測結果が表示されていない場合が良くあります。そのため、観測分解能があがるということはつまり、その分、陸域に近しい沿岸部の撮影が可能になる、という非常に大きなメリットもあります。
観測幅は1/10だとしても、コストは1/1000以下なので、同等の予算をかけても良い場合には、1000機の衛星を打ち上げることができる、つまり観測できる頻度が大幅に向上することになります。
海洋観測をする衛星は、ただでさえ海は広いので、観測可能なエリアが広いことは非常に重要です。
同等規模の予算ではなく、同等規模の観測頻度で良い、とした場合には、必要となるコストが大幅に減ります。これはつまり、1つの衛星データ当たりに必要となるコストが減る、ということです。
言い換えると、私たちが衛星データを入手する際に払う必要のあるコストが減る、ということになります。これはデータを利用したい側からすると、とても望ましいことですよね。
実験的な扱いであった小型衛星が、このように実用的であることがわかってきたため、研究機関のみならず、防衛分野でも小型衛星には注目が集まっています。
大型衛星から小型衛星へ、というシフトは各所で起き始めていますが、果たしてどこまで実際に進むのか、その結果、私たちはどのようにその成果(観測データ)を利用できるようになるのか、注目していきましょう。
今週の週刊宇宙ビジネスニュース
宇宙開発でも問われる「CSR」。インドの衛星破壊を受けてPSLVの不買運動か【週刊宇宙ビジネスニュース 3/25~3/31】
参考
First light image of SeaHawk-1/HawkEye
SeaHawk-1 and SeaHawk-2, Technical Information