ニュース 2019/10/14

NASA、ソユーズの座席購入か。開発の遅れが影響【週刊宇宙ビジネスニュース 10/7〜10/13】

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NASA、ソユーズの座席購入か。開発の遅れが影響

SpaceXと商業宇宙船開発が最優先事項であることに合意

NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、カリフォルニア州にあるSpaceX本社を視察しました。

2011年にスペースシャトルが退役して以来、ロスコスモスのソユーズはISSへ宇宙飛行士を運ぶことができる唯一の輸送手段。NASAは、SpaceXにクルー・ドラゴン、ボーイングにCST-1000 スターライナーの開発・製造を依頼していますが、両社の開発は大幅に遅れています。

その一方でSpaceXは9月末に開発中の大型宇宙船・Starshipのプロトタイプを発表し、ブライデンスタイン長官はSpaceXのコミットメント状況に疑問を抱いているのではないかと考えられる中での視察でした。

視察後の会見にて、ブライデンスタイン長官は、クルー・ドラゴンの開発が最優先事項であることにSpaceXと合意を得たことを説明しました。また、CEOのイーロン・マスク氏は開発の遅延に関して、提供されている開発資金の不足に原因があるとしています。

ソユーズの座席追加購入を検討

さらに、NASAが2020年秋〜2021年春分のロスコスモスの宇宙船・ソユーズの座席を追加購入しようとしていることを、SpaceX訪問後の会見にて、ブライデンスタイン長官は明らかにしました。

NASAがソユーズの座席を購入するプロセスは一筋縄ではいきません。今月4日の会見で、ISSプログラムマネージャーであるカーク・シレマン氏は、イラン・北朝鮮・シリア拡散防止法（Iran,North Korea,and Syria Nonproliferation Act Sanctions、通称“INKSNA”）に基づいて、座席購入には議会での検討が必要であることを指摘しました。

宙畑メモ
NASAはINKSNAによる制限によってロシアから宇宙飛行に関連する商品やサービスを購入することを制限されていますが、2013年に調印された宇宙探査維持法（Space Exploration Sustainability Act,P.L. 112-273）に基づいて、2020年12月31日まで取引きすることを認められています。

ブライデンスタイン長官は、「すべてが計画通りに進んだ場合、ソユーズ席の追加購入必要ないかもしれません」とも述べていて、今回のソユーズ座席追加購入はアメリカ人宇宙飛行士が継続してISSに在籍し続けるための保険的措置であることを訴えました。

Boeing、Virgin Galacticに2000万円を出資

Virgin Galacticのテスト飛行の様子 Credit : Virgin Galactic

今月8日、Boeing（ボーイング）はVirgin Galactic（ヴァージン・ギャラクティック）と戦略的パートナーシップを締結したこと、さらにBoeing HorizonX VenturesがVirgin Galacticに2000万ドルを出資することを発表しました。

Virgin Galacticは民間宇宙旅行サービスの提供を目指していて、今年7月にはSocial Capital Hedosophia Holdings（ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングス）と合併し、年内に新規株式公開（IPO）を計画していることを発表しました。

さらに10日には、IPOに向けて取締役会の候補者にAerospace Corporation・CEOで科学技術諮問委員会・委員を務めていた、ワンダ・オースティン氏、Virgin AtlanticでCEOを務めていた、クレイグ・クレーガー氏とデルタ航空とエールフランスKLMグループで取締役を務めた経験があり財務的な経験が豊富なジョージ・マットソン氏が上がっていることを明らかにしました。

Boeingは前述の通り、宇宙船・CST-1000 スターライナーの開発に取り組んでいて、12月中旬には無人軌道飛行試験を実施する計画を発表しています。