ISSの民間開放、成果の第一歩【週刊宇宙ビジネスニュース8/20~8/26】

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今週は大きな動きが少ない週でした。

【今週(8/20~8/26)のピックアップ】
1.アジア地域を対象とした衛星データ活用アイデアの募集
2.民間移行後初となるISSからの衛星放出を受注
3.軌道上サービスの発展が生み出したリスク

1.アジア地域を対象とした衛星データ活用アイデアの募集

ASIA-PACIFIC KICK-START

インフラがまだ十分には整っていないアジア地域ですが、現在、欧州企業の進出などによって急激な経済成長を続けており、今後ますます人口は増え、都市化が顕著に進むと言われています。

この進出の後押しに、そしてアジアでの生活を豊かにするためにどのように衛星情報を利用できるか?アイデアが求められています。

当然、急激な経済成長や都市化が進むと、様々な環境問題も生じます。このような環境問題に対処するのに、衛星情報がどのように寄与できるか?という観点からのアイデアも募集されています。

赤道付近の国々の場合、雲で覆われていることも多く、可視光で観測する衛星だけで単純にサービス展開することは難しいとも言われており、合成開口レーダ(SAR)を始めとした、他の観測方式や地上データとうまく組み合わせてサービスを検討する必要性がありそうです。

欧州では、衛星情報の利用促進のため、このような動きがたびたび見受けられます。応募資格には、ESAに関連する国に所属することが求められてはいますが、良いアイデアを思い付いた方で各国に知人のいる方は相談を持ち掛けてみてはいかがでしょうか。

2.民間移行後初となるISSからの衛星放出を受注

宇宙スタートアップのスペースBD、衛星放出を受注: 日本経済新聞

超小型衛星の放出の様子
Image Credit:JAXA/NASA

国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟暴露部(JEM)では、2012年から超小型衛星の放出が年に何度か実施されており、累計200機以上の超小型衛星が放出されてきました。

今まではJAXAが管理※1し、主に宇宙開発後進国のCubesat放出が中心に行われてきました。
しかしながら、

JAXAでは「きぼう利用戦略」(平成29年8月第2版制定)に基づき、「きぼう」の利用事業について、民間等による事業自立化(民間への開放)を目指しております。今回、その第一弾として、超小型衛星放出事業の事業者を選定しました。

に示されているように、ISSの民営化に向けて、民間による利用促進のため、2018年の5月に民間2社をISSからの衛星放出事業者として選定しました。
この2社に選定されたのが三井物産(株)とベンチャー企業であるSpaceBDです※2。

今回は、JAXAから「民間への開放」後、初めて衛星放出を受注した、という話題になります。

ISSからの放出については、運用可能な期間が短くはなりますが、ロケットによる打ち上げよりも技術的な敷居が低いと言われています。

また、放出から約半年で地球大気圏により衛星は燃え尽きることから、技術実証をする機会としても魅力的です。

ISSから超小型衛星を放出する事業については、アメリカのNanoracks社が2014年から実施し、Planetを始め多くの民間企業の衛星を放出してきました。

SpaceBDはNanoracks社と2018年初頭にMOUを結んでおり、今後ISSの利用活性化に向けて、どのような展開になるのか注目です。

2社で協力し、今後もISSからの放出を利用する(新規)事業者が増え、民間による宇宙利用がますます広がっていくことを期待します。

※1...ISSからの超小型衛星放出を国内で実施していたのはJAXAだが、SpaceBDや三井物産に先駆けて2014年よりアメリカのベンチャーであるNanoracksがISSからの放出事業を実施している
※2...「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出事業民間事業者の選定結果について記者会見を開催:「きぼう」での実験 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA

3.軌道上サービスの発展が生み出したリスク

DARPA hopes for budget compromise on satellite servicing mission - SpaceNews.com
Growing U.S. satellite vulnerability: The silent 'Apocalypse Next' - SpaceNews.com

先日に宙畑でも話題として取り上げた、軌道上サービスの話題です。

DARPAは軌道上サービス実現に向けて、燃料補給や修理実現に向けたロボット技術実証に動き始めています。

このようなポジティブな話題が出てきている中で出てきたのが、ロボットを破壊・無力化する技術(anti-satellite systems (ASATs))についてのネガティブな話題です。

衛星に接続し、燃料を補給する技術が完成することを裏返すと、燃料を抜き取る技術が完成した、とも言えます。

また、衛星を適した軌道に戻す技術が完成したということは、適した軌道にいる衛星を他の軌道に遷移させることができるようになる、ということです。

現在は宇宙の平和利用の原則を、各国紳士的に守ってきていますが、今後このような技術が成熟していく中で、中国やロシアにより宇宙活動が妨害されるリスクがあるのではないか、ということがアメリカでは言われ始めているようです。

このような話題も一環となり、アメリカは宇宙軍の設立※3を急いでいるという話もあります。

願わくば、このような技術が悪用されることなく、宇宙が平和に利用され、私たちの生活を豊かにすることにつながってくれればな、と願います。

※3...Trump Says US May Need a 'Space Force' -SPACE.com

【参考記事】
衛星データのキホン~分かること、種類、頻度、解像度、活用事例~
軌道上サービスは宇宙市場の起爆剤か~企業、市場規模、需要と課題~