SAR衛星とは?ASNARO-2で広がる宇宙ビジネスの可能性

ASNARO-2打ち上げ

2018年1月18日。イプシロン3号機によってASNARO-2(アスナロツー)が打ち上げられる。ASNARO-2は経済産業省が推進する「小型化等による先進的宇宙システムの研究開発」(ASNARO:Advanced Satellite with New system Architecture for Observation)プロジェクトの2号機で、NECが開発から運用まで担っている。すでに1号機は2014年に打ち上げられ観測が継続中である。今回はこのASNARO-2の特徴を紹介する。

ASNARO-2のCG
Image Credit:経済産業省
機体公開時のASNARO-2
Image Credit:NEC


雲の下を見る合成開口レーダー:SARとは

衛星のセンサーについて以前の記事で紹介しているが、今回のASNARO-2が搭載しているのは、合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)という電波を使うセンサーである。1号機は光学センサーを搭載している。1号機と2号機のセンサーの特徴を簡単にまとめると以下のようになる。

1号機の光学センサー
・太陽の光に照らされた地球を観測する
・高解像度で観測が可能
・雲や夜には観測ができない

2号機の合成開口レーダー(SAR)
・電波を発射し地上から跳ね返ってきた電波から地上を観測する
・解像度は光学センサーに劣る
・雲や夜でも地表を観測できる

1号機と2号機の観測方法の違いのイメージ
Image Credit:sorabatake

光学センサーは高解像度での観測が可能だが、どうしても悪天候時や夜間に観測することができない。光学センサーで観測できない部分を合成開口レーダーで観測する。地球をくまなく観測するにはどちらの観測方法も必要だ。
従来の合成開口レーダーを持つ人工衛星は1~2t級の質量を持っていたが、ASNARO-2は質量約570㎏の小型衛星である。小型であっても大型の衛星に匹敵する解像度1mの高精度で地球を観測することができる。
さらにASNARO-2は、以下の3つの観測モードを使い分ける。

・スポットライトモード・・・・解像度1 m、観測幅は10 km
・ストリップマップモード・・・解像度2 m以下、観測幅は12 km以上
・スキャンSARモード ・・・・・解像度16 m以下、観測幅は50 km以上

ASNAROが切り開く小型衛星のビジネスの可能性

ASNAROプロジェクトは日本の宇宙産業の競争力を強化と利用拡大を目標に、短納期・高性能・低価格の衛星開発プロジェクトである。
人工衛星の構成は電源、通信、姿勢制御、熱制御など動かすために必要な機能である本体部分(バス部)と、その衛星の観測センサー部分(ミッション部)の2つに大きく分かれるが、ASNAROの1号機と2号機は本体部分が同じものを使っている。

ASNARO1号機、2号機は、本体部分(バス部)は同じでセンサー部分(ミッション部)が異なる
Image Credit:NEC

衛星開発を担当しているNECは、この本体部分を「NEXTAR(NEXT GENERASION STAR)」として衛星の標準プラットフォームとすることで、センサー部分を組み替え、短納期・低価格の衛星開発を可能にする。
宙畑では以前宇宙ビジネス業界マップを作成した。ここからわかるように、宇宙ビジネスは宇宙機や衛星の開発、衛星の運用、衛星データの利用など多岐にわたる。NECはASNAROプロジェクトでNEXTARを利用した衛星の開発、運用を担い、今後は衛星のデータの利用までパッケージとして提供すること目指している。これにより小型衛星ビジネスが活性化され、多くの衛星が開発されること、衛星データの利用が拡大することを願う。

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参考URL
http://jpn.nec.com/ad/cosmos/asnaro2/contents/index.html
http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/201708/20170803.pdf