衛星データ解析コンテストを開催・運営するSolafuneが資金調達を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/01/18〜01/24】
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衛星データ解析コンテストを開催・運営するSolafuneが資金調達を発表
衛星データ解析コンテスト「Solafune」を運営する株式会社Solafuneが資金調達を実施し、独立系ベンチャーキャピタル ANRI、East Venturesを新たに投資家として迎えたことを発表しました。
沖縄発の宇宙ベンチャーであるSolafuneは、「Hack The Planet.」をミッションに掲げ、衛星データを活用したデータ解析コンテストの開催・運営をしています。2020年10~11月には、JAXAの陸域観測技術衛星”だいち”の光学センサAVNIR-2のデータを用いて空港の利用者数を予測するコンテスト「衛星画像から空港利用者数を予測」を開催しました。Solafuneの初開催となるこのコンテストでは、投稿数は1,520件に及び、118人の参加者が精度を競いました。
今回の資金調達の発表にあたり、Solafuneの代表取締役である上地練様に以下の質問に対してコメントを頂きました。
―今後どのようなコンテストを開催していく予定でしょうか。
「衛星画像から空港利用者数を予測」のデータ解析コンテストはSolafune上で開催された最初のコンテストということもあり、コンテンツやプロダクトを含んだ技術やニーズの検証が開催の主な目的でした。開催準備中のコンテストも含め、今後は企業課題や社会課題の解決を目的に、活用・実装していくことを見据えたコンテストを継続的に開催していく予定です。
―今回調達した資金はどのような事業に当てていく予定でしょうか。
引き続きユーザーの皆さまと共に最高のプロダクトを創っていくこと、企業課題や社会課題の解決に繋がるような意義のあるコンテストを開催していくことにフォーカスします。ロケットの開発や衛星の打ち上げなどと比べると派手さはありませんが、特に国内の宇宙産業に足りないと感じている「事業として成立する」ことを証明していきます。
ー独立系ベンチャーキャピタルのANRI及びEast Venturesを投資家として迎えるに至った決め手はありましたか。
大事を成すために必要なサブセットでした。インターネットの領域で圧倒的な成功を成し遂げた企業へ投資を実行してきた両社をチームの一員として迎え入れたことは、当社はもちろんのこと、宇宙産業全体にとって良い兆しだと思います。宇宙産業に成功の上昇気流を作り出し、産業全体をリードしていく覚悟で取り組んでいきます。
衛星データの利活用が近年盛り上がる中、Solafuneが展開するような衛星データコンテストが増えると、世界中のAIエンジニアが衛星データに触れる機会が増え、衛星データの価値が高まっていくでしょう。次回はどのようなコンテストが開催されるのか注目です。
気球による通信サービスに取り組んできた Loonが解散を発表
2013年の発足以降、気球によるワイヤレス接続サービスに取り組んでいた通信企業Loonが、解散することを公式ブログで発表しました。
Loonは2013年6月にGoogleにおいて、達成が困難な目標に挑む部門として設立された「X」の一つのプロジェクト”Project Loon”として誕生しました。(その後、XはGoogleと同じくAlphabetの子会社へ。)特殊なアンテナを搭載したLoonの気球は上空18~27キロの成層圏を航行し、インターネットへの接続環境構築が難しい地域への接続手段の提供を目指していました。
Loonは2016年には実際の飛行テストを開始し、2018年にはプロジェクトではなくAlphabetの子会社の一つとして独立しました。2019年には、ソフトバンク株式会社の子会社であるHAPSモバイル株式会社と戦略的関係の構築について合意し、1億2,500万ドル(約129億円)の投資を獲得しました。
約7年の実証期間を経て2020年からはケニアの山岳地域でついに商業展開を開始させ、2020年6月下旬のテストでは、ダウンロード速度が18.9Mbps・アップロード速度が4.74Mbps・レイテンシが19ミリ秒という、一般的なインターネット利用で遜色ない回線速度を提供していました。
2020年10月には強化学習を利用したAIの開発により気球の安定的な自律飛行を実現し、過去最高の気球の312日連続飛行に成功したことを発表していましたが、今回、事業の継続は難しいと判断し解散を決定したようです。
また「X」の責任者であるAstro Teller氏は、ブログで以下のようにコメントを出しています。
Sadly,the road to commercial viability has proven much longer and riskier than hoped. So we’ve made the difficult decision to close down Loon. In the coming months, we’ll begin winding down operations and it will no longer be an Other Bet within Alphabet.
(訳:残念ながら、商業的実現への道のりは想定以上に長く、リスクが高いことが証明されています。そのため、私たちはLoonを解散するという苦渋の決断を下しました。今後数ヶ月の間に私たちは事業の縮小を開始し、AlphabetにおけるOther Bet(収益化前の野心的な事業)ではなくなるでしょう。)
今後数ヶ月の間に、Loonの従業員の大半がX、Google、持株会社のAlphabetなどに異動になり、現在上空にある気球は回収作業に入るとのことです。また、Loonのために開発した高帯域幅の光通信リンクなどの幾つかの技術は、Xの別のプロジェクトに引き継がれるようです。
ケニアの山岳地域でのサービスは2021年3月1日までに終了するとのことですが、接続性の改善及び、現地の非営利団体や民間企業を支援するために、1,000万ドル(約10.3億円)の資金を提供するとのことです。
SSCが光通信地上機器に関するMOUを締結
衛星地上局サービスを展開するSwedish Space Corporation (SSC) と、Airbusの子会社であるAirbus Defence and Space Netherlands (Airbus DS NL)が宇宙地上間の光通信地上局についてのMOU(覚書)を締結したことを発表しました。今回の契約により、両社の技術的強みを活かし、商業利用を目的とした光地上局の開発が加速すると見られています。
宇宙空間での光通信は、オランダのベンチャー企業のHyperion Technologiesが実証実験を開始させたほか、日本の宇宙ベンチャーのWARPSPACEや研究機関の情報通信研究機構(NICT)も取り組んでおり、大容量データ伝送が可能であり干渉や傍受の心配がなく、周波数のライセンス取得などの申請請手続きが不要になるといったメリットがあり近年注目されています。
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