ALEが追加ラウンドによる資金調達を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/02/22〜02/28】
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ALEがシリーズA追加ラウンドでの資金調達を発表
人工流れ星事業に挑んでいる株式会社ALEが、2019年9月に実施したシリーズAの追加ラウンドによる資金調達を発表しました。
今回の追加ラウンドでは、既存投資家であるスパークス・グループ株式会社の子会社であるスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー株式会社が運営する宇宙フロンティアファンド、東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社が運営するTHVP-2号投資事業有限責任組合、その他個人投資家が新たにALEの投資家として加わりました。
また、今回の調達に、既存投資家及び新規投資家を引受先とする追加調達を加え、2022年4月までに総額約22億円の資金調達となる予定です。これで、ALEの累計調達額は2022年4月時点で総額49億円となります。
ALEは、今回調達した資金を、
- ・2023年に技術実証を予定している人工流れ星衛星三号機の開発及び同年のサービス開始に向けた事業開発
・2021年度に技術実証を予定しているEDT(導電性テザー)を利用したデブリ化防止装置の開発
・大気データ取得活動の要素技術開発及びその体制構築
に活用していくとのことです。
ALEの代表取締役社長/CEOの岡島礼奈氏は、今回の追加調達について以下のコメントを出しています。
ご出資いただいた皆様、関係者の皆様、応援してくれている皆様、いつもありがとうございます。このエネルギーで、2023年に皆様に人工流れ星をお届けし、たくさんの方に夢や希望を届けたいです。さらに大気データ取得活動で異常気象や環境問題へのアプローチを、宇宙デブリ化防止装置の開発で安全な宇宙環境の実現を目指します。皆様の応援そして期待のもと、ALEは宇宙の新たな利用、そして持続的な人類の発展に向けて、日本の宇宙業界を牽引する一社として邁進してまいります。
もともと、ALEは2020年に世界初の人工流れ星事業に挑む予定でした。しかし2019年12月に打ち上げた人工流れ星衛星第二号機において、人工流れ星の素となる粒の送り出しを行うための部品の一つに動作不良が発生し、延期となりました。
2023年の人工流れ星の成功を目指すALEの歩みに、引き続き注目です。
軌道上燃料補給サービスに向けて宇宙ベンチャー2社がパートナーシップを締結
無毒な推進剤を活用する小型スラスタの開発に取り組むBenchmark Space Systemsと、軌道上ガソリンスタンド事業に取り組むOrbit Fabがパートナーシップ契約を締結しました。Benchmark Space Systemsの創業は2017年、Orbit Fabの創業は2018年と、比較的若い宇宙ベンチャー同士のパートナーシップとなっています。
2社は今回のパートナーシップを通じて、過酸化水素をベースとした軌道上燃料補給サービスのインフラ開発に取り組みます。
Orbit Fabは、地球低軌道に投入する燃料貯蔵衛星Tanker-001 Tenzingを開発するほか、宇宙空間での燃料移送を可能にするインターフェースのRAFTI(RAPIDLY ATTACHABLE FLUID TRANSFER INTERFACE)を開発します。
Benchmark Space Systemsは、独自に開発する小型スラスタであるHalcyonとPeregrineとRAFTIのシステムを統合させ、Tanker-001 Tenzingへの安定的な燃料供給を実現します。
Orbit FabのCEOであるDaniel Faber氏は、今回のパートナーシップについて以下のコメントを出しています。
We expect the bundled high-test peroxide-based propulsion package will become an essential building block for the in-orbit ecosystem for satellite servicing, national security, and space commercialization. Together with Benchmark Space Systems, we share a long-term perspective and commitment in order to establish a sustainable in-space infrastructure that enables spacecraft to ‘maneuver without regret’.
(訳:我々は、過酸化水素ベースの推進剤パッケージが、衛星サービス・安全保障・宇宙商業化にとって不可欠なサービスになることを期待しています。Benchmark Space Systemsと宇宙船が『後悔のない軌道遷移』を可能にする持続可能な宇宙インフラを確立するために長期的なビジョンとコミットメントを共有していきます。 )
Tanker-001 Tenzingは、2021年6月に予定されているSpaceXの相乗り打ちあげミッション
Transporter 2で軌道投入される予定です。
軌道上サービスに取り組む企業は以下の記事で取り上げていますが、様々なアプローチで取り組む企業が現れています。企業ごとの強みを生かしてほかの企業とパートナーシップを結ぶ動きが今後も増えていくかもしれません。
詳細はこちら(実現間近!? 激化する軌道上サービスの開発競争、その分類と参入企業まとめ)
RedwireがDeployable Space Systemsを買収
昨年から宇宙企業を相次いで買収しているRedwireが、太陽電池アレイをはじめとする宇宙展開構造物のリーディングサプライヤーであるDeployable Space Systems(DSS)の買収を発表しました。買収額を含む具体的な買収条件については公開されていません。
2008年に設立されカリフォルニア州ゴレタに本社を置くDSSは、数々の展開可能な構造物を納品してきました。特許取得済みであるROSA Solar Array(Roll-Out Solar Array)は、DSSの代表的な商品の一つです。
ROSA Solar Arrayは、Maxar TechnologiesやBoeingといった大手宇宙企業と契約を締結中の他、NASAが民間企業と進めるアルテミス計画における月面着陸船(HLS)の主契約者のうちの1社であるDyneticsとも契約を締結しています。
詳細はこちら(アルテミス計画における着陸船開発を担う3社が発表【週刊宇宙ビジネスニュース 4/27〜5/3】)
これらの大型主要契約が進行している中で、DSSがRedwireに参加するのは良いタイミングだと、DSSの共同創業者であるBrian Spence氏は述べています。
Redwire can come in and fulfill some [corporate] functions while we maintain our culture of being innovative and providing disruptive products for our customers. We’re at this critical point in our business that requires a broader vision. That’s what Redwire provides for us.
(訳:Redwireは、我々が革新的な商品を顧客に提供していくのと同時に、ビジネスとして重要な機能を果たしてくれます。私たちのビジネスはより広い視野を必要とする重要な時期にあり、Redwireはそれを加速してくれます。)
今回で7社目の買収に成功したRedwire。過去に買収した企業は以下の通りです。()内は各企業の主な事業です。
・Adcole Space(小型衛星や宇宙機のコンポーネント)
・Deep Space Systems(宇宙探査機の設計や製造、運用など)
・Made In Space(宇宙空間で使用可能な3Dプリンター開発)
・Roccor(太陽光パネルなどの宇宙空間での展開物の開発)
・LoadPath(ペイロードアダプターや宇宙空間で展開可能な構造物の開発)
・Oakman Aerospace, Inc.(デジタルエンジニアリングや宇宙船の設計開発支援サービス)
買収した企業同士のシナジーを生む戦略が、今後Redwireから出てくるかもしれません。
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参考記事
シリーズA追加ラウンドにおいて総額約22億円の資金調達を実施
Orbit Fab and Benchmark Space Systems to partner on in-space refueling technologies
PRESS RELEASE: ORBIT FAB AND BENCHMARK SPACE SYSTEMS
Redwire Acquires Deployable Space Systems (DSS), a Leading Supplier of Space