元NASA長官のブライデンスタイン氏がViasatの取締役に就任。宇宙環境保護に意欲【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/3/29/〜4/4】
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元NASA長官のブライデンスタイン氏がViasatの取締役に就任
4月1日、米国の衛星通信事業者・Viasatは、取締役として元NASA長官のブライデンスタイン氏を迎えたと発表しました。
ブライデンスタイン氏は、2012年の選挙で当選し、下院議員として政治家のキャリアをスタートさせました。下院科学宇宙技術委員会に所属していたこともあり、2017年にトランプ元大統領の指名を受けて、NASAの長官に就任。3年間にわたり、ISSへの商業輸送やアルテミス計画などで、官民連携を強く推進してきました。
トランプ政権の失脚に伴い、辞任を表明。惜しまれながら2021年1月にNASA長官を退任しました。
辞任した1月からは、航空宇宙や防衛に特化したプライベート・エクイティファンドのAcorn Growth Companiesにシニアアドバイザーとして勤務していて、Viasatの取締役と兼務となります。
プレスリリースでViasatの共同創業者であるMark Dankberg(マーク・ダンクバーグ)氏は、
「ジムは、宇宙環境の保護や軌道上のデブリの抑制に積極的に取り組み、宇宙空間への安全なアクセスを維持することを熱心に支持しています」
と、宇宙環境問題に取り組みたい考えを明らかにしました。大手衛星通信企業が宇宙空間の環境保護に注力することで、業界全体の意識にも変化がありそうです。
JAXAと連携し試験設備の貸し出し事業を行うオリックスが第1号案件を受注
日本経済新聞の報道によると、筑波宇宙センターの環境試験設備貸し出し事業を行うオリックス・レンテックは、大手電気メーカーから第1号の案件を受注したそうです。
同サービスは、筑波宇宙センターの環境試験設備の利用拡大を目的に、2020年6月にJAXAとオリックス・レンテック、施設設備の運用権を持つAESが連携して、立ち上げられたものです。
オリックス・レンテックは、日本初の電子計測器レンタル会社で、全国に営業ネットワークを持っています。このネットワークを利用することで、設備の利用拡大への貢献が期待されています。
JAXAベンチャーSEESEがβ版サービスをリリース
4月1日、環境試験におけるワンストップサービスの提供を目指すSEESEは、環境試験場プラットフォームサービスと宇宙開発スポットコンサルティングサービスのβ版をリリースしたと発表しました。
同社は、内閣府主催の宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-booster 2019」で入賞し、JAXA職員を含むメンバーで構成された「JAXAベンチャー」企業として知られています。
今回リリースした環境試験場プラットフォーム「SEESEテストサポート」は、日本全国に散在している環境試験場をWeb上で検索し、予約できるサービス。β版はJAXAと筑波大学、茨城県産業技術イノベーションセンターが対象になっていますが、全国の試験場が随時追加される予定です。
宇宙開発スポットコンサルティングサービス「SEESEスポットコンサル」は、宇宙開発の経験が浅い企業や個人と、JAXA職員や大学教員をはじめとする有識者をマッチングし、事業を支援するものです。
両サービスは、どういった経緯で誕生したのでしょうか。SEESEの代表取締役である棚田 和玖氏に聞くと、
「今後衛星のサイズや仕様も変化していく中で、逐一対応可能な試験場を探す時間というのは開発速度を遅らせる原因となります。SEESEにより共通インフラ領域を整備することで、『宇宙開発をシンプル』にし、既存の事業者、研究者の開発効率化や、今後参入を考えている方々の一助となれば幸いです。」
と、衛星に求められる機能や技術の変化を見据えてのリリースであることを明かしました。
衛星を打ち上げる回数が増えれば、製造過程で必要になる試験も増えます。特に超小型などの衛星は新興企業や有志団体など、様々なバックグラウンドの企業・団体が製造することも増えてきています。
今後も衛星製造数が増えるかどうかは、その先でエンドユーザ向けのサービスがどれだけ生まれ、継続するかにもかかってきます。発展途上の宇宙ビジネスにおいては、各社が描く市場やロードマップ、シナリオの正確さと柔軟さが事業の命運を左右するポイントになります。
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参考
SEESE株式会社が環境試験場プラットフォーム「SEESEテストサポート」と宇宙開発スポットコンサルティングサービス「SEESEスポットコンサル」のβ版を提供開始
官民連携による、JAXA筑波宇宙センターの「環境試験設備等の運営・利用拡大事業」の開始について~日本最大級の環境試験設備を提供しものづくり産業の発展を支援~