NASAとESAが気候変動分野でのパートナーシップを強化。COP26に向けて衛星利用を促進か【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/7/12〜7/18】
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7月14日、NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)は、気候変動対策に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。NASAとESAは、これまでも気候変動分野で協力してきましたが、今回のパートナーシップ締結で、協力体制をより強固なものにしていくとのことです。
具体的な協力内容は、地球観測の継続性確保や地球システムと気候変動の理解、公共へのデータと情報、知識の共有促進などがあげられています。
これに対して、NASAの科学ミッション局副長官のThomas Zurbuchen(トーマス・ザーブチェン)氏は、両者の取り組みは世界にとって有益であると説明します。
「NASAとESAは、地球科学の観測や研究、アプリケーションの提供を行うだけでなく、私たちが得たすべての知見は、全世界のために無償で公開されることになります」
さらに、ESA長官のJosef Aschbacher(ジョセフ・アッシュバッハー)氏は、このように述べています。
「気候変動を測定・モニタリングするためには、宇宙が最適な視点であることは間違いなく、力を合わせることもこの地球規模の問題に取り組むための鍵となります。そのため、本協定は非常に重要です。特に、今年末に開催されるCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に向けて、宇宙を気候変動緩和に不可欠な解決策の一つとするためには、タイミングが重要でした」
また、日本ではJAXAが気候変動観測衛星「しきさい」、JAXAと環境省が共同で、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」シリーズを運用しています。
まだ解明されていないことも多いと言われている、地球温暖化。NASAとESAだけではなく、各国の宇宙機関や国際機関の連携が重要となるのではないでしょうか。
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参考
NASA, ESA Partner in New Effort to Address Global Climate Change