【あの企業はなぜあの国に?】気になる宇宙ビジネス企業9社の海外拠点考察
宇宙ビジネス企業は、自社の事業を拡大するために海外拠点をうまく利用することが重要になるケースが少なくありません。宙畑気になる9つの企業の海外拠点と、海外拠点を考える際に重要な4つの視点をまとめました。
(1)はじめに
宇宙ビジネスを展開する場合、サービスの提供範囲は世界規模、宇宙規模となります。自国の顧客を見つけることはもちろん、海外の顧客開拓も必須となる場合は少なくありません。
そのため、日本の宇宙ビジネスベンチャーは50社以上ありますが、ベンチャーでありながら、海外に拠点を置く企業がすでに複数存在しています。逆もまたしかりで、海外の宇宙ベンチャー企業が日本に拠点を置くというケースもあり、今後も増える見立てがあります。
では、宇宙ベンチャー企業はどのような視点をもって、海外拠点を置く国や地域を選んでいるのでしょうか。
本記事では、宇宙ビジネス企業を9社ピックアップし、各企業の海外拠点事情の考察と海外拠点を決めるにあたって重要な4つの視点をまとめてみました。
(2)記事内で紹介する海外拠点を展開する9企業の紹介
今回、宙畑が本記事を執筆するにあたり、注目したのは以下9社です。
【ロケット開発】
・SpaceX(海外に拠点はありませんが、アメリカ国内に複数の拠点を持っています)
・Rocketlab
【衛星開発・衛星データ】
・ICEYE
・Spire
・Planet Labs
・Orbital Insight
【インフラ】
・アストロスケール
・インフォステラ
【宇宙探査・宇宙資源】
・ispace
以上、ロケット開発、衛星開発、地上局シェアリング、軌道上サービス、月面探査……とできる限り多ジャンルになるよう9の企業をピックアップしてみました。
(3)各企業の海外拠点まとめ
では、各企業の事業内容紹介と合わせて海外拠点の場所をひとつずつ見ていきましょう。
ロケット開発
①SpaceX
■事業概要
宇宙ビジネス界隈で話題を次から次へとうみだすSpaceX社。同社の事業はロケット開発事業から始まり、現在では宇宙船を開発し、ISSへの宇宙飛行士・物資の輸送をNASAから委託を受けていたり、民間宇宙旅行の実現、通信衛星コンステレーション事業「Starlink」と、事業領域は多岐にわたります。
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■拠点
SpaceXは事業内容に応じて、アメリカの各地に拠点が点在しています。本社はカリフォルニア州ホーソーンにある他、ワシントン州のレドモンド、テキサス州のマクレガーなど、すでに10の拠点があり、今後も拠点の増えたり拡大することが予想されます。
■海外拠点の役割
まず、一番わかりやすいのは、ロケットの打上げ発射拠点でしょう。ロケットを打ち上げる際は、南側、もしくは、東側が開けている方が都合がよく、東側に北大西洋が広がるフロリダ州ケネディ宇宙センターの39A発射施設を主に利用しています。
また、SpaceX社の開発中のロケットが爆発する動画を見たことがあるという方も少なくないでしょう。SpaceXは、ロケット開発をする向上であり、それをテストするための施設として、周辺に住む人が少ないテキサス州のマクレガーも拠点としています。テストを行うために、近隣の農地も購入し、所有する範囲を拡げているようです。
他にも、Starlink衛星を開発するための工場がワシントン州レドモンドにあり増設を進めている他、最近では、Starlinkを利用するための端末を開発する工場を新設するといった動きもあるようです。
②Rocket Lab
■事業概要
小型ロケットを開発し、すでに、人工衛星の軌道投入を複数回成功している宇宙ベンチャーです。2020年にはスタートラッカーやリアクションホイールなどを開発する企業を買収、2021年には、火星ミッションの宇宙船開発契約を受注するなど、その事業領域を拡大しています。
■海外拠点
Rocket Labの本社はカリフォルニア州レイクウッドにあり、海外拠点はニュージーランドにひとつだけ存在します。
■海外拠点の役割
Rocket Labは、本社がカリフォルニア州のレイクウッドにありますが、ニュージーランドに打上げ拠点を持っています。衛星の軌道投入のために理想的な場所に自社の打上げ射場を持つことで、他社との競争優位性を発揮できます。
また、Rocket LabはNASAの所有する打上げ施設も利用できる契約を締結しており、顧客のニーズに応じた打上げの幅を拡大できると発表しています。
衛星開発・衛星データ
③ICEYE
■事業概要
ICEYEは、小型のSAR衛星を開発し、データを用いた解析ソリューションまでも一貫して提供するフィンランドに本社を構える企業です。SAR衛星から取得できるデータを用いて、水害時の浸水高を解析し、保険金支払いの高速化するなど、すでにビジネスの現場にも社会実装されているケースも生まれています。
■海外拠点
ICEYEは、本社をフィンランドにおき、ヨーロッパに4拠点、アメリカのカリフォルニア州アーバインに拠点を持っています。
■海外拠点の役割
最初に本社以外に拠点を設けたのはポーランドで、共同創業者の出身地であり、土地や、そこに住む優秀な人材に精通していたことから、ヨーロッパ市場へのサービス展開の足がかりにしたとプレスリリースから推察できます。
また、ICEYE社は衛星コンステレーションの運用拠点をポーランドに置き、Creotechという企業と衛星の組み立てについて協力することを2018年に発表していました(参考)。Creotech社はEUの政府衛星データプラットフォームCopernicusの一つCREODIASの開発・運用も行っており、ICEYE社の衛星データ形式はこのプラットフォームに準拠しているとのことで、ICEYEは衛星データの提供の観点からもポーランドを選んだと考えられます。
また、ヨーロッパの宇宙企業がヨーロッパの別の国の拠点を増やす理由の一つとしてESAの「Geo-return原則」が挙げられます。「Geo-return原則」とは、ESAの予算を拠出している各国が、拠出した金額に応じてESAの事業を請け負うことができる仕組みのことで、ESAに加盟している国の中で拠点を増やすことで、この原則に従ったESAの事業を受注できる可能性は高くなります(参考)。
アメリカには第二のシリコンバレーと呼ばれるアーバインに製造工場を新設したことを発表しています。製造拠点とするほか、アメリカの顧客とのエンゲージメント向上を目的としているようです。
また、ICEYE社は日本に拠点を新設することを発表しています。その背景には、SAR衛星のデータ利活用が防災や被災状況の把握のアップデートに繋がることが期待されており、自然豊かな半面、災害の多い日本でのサービス展開を行ったうえで、アジアへのサービス展開を見据えていると思われます。
④Spire Global
■事業概要
Spire Globalは、大量の衛星群による電波観測を主軸にサービスを展開している企業です。大きくは3つで、(1) 船舶が発する電波を捉え海上にある船舶の把握を行うもの(AIS)、(2)飛行機が発する電波を捉え上空の飛行機の把握を行うもの(ADS-B)、(3) 電離層を抜けてくるGPSの歪みを捉えて、上空の雲の様子明らかにし気象観測に役立てるものがあります。最近では、SPACを使った上場を行い、事業範囲をさらに広げています。
■海外拠点
Spireの海外拠点は以下の通り、本社はアメリカですが、ヨーロッパに2拠点(ルクセンブルグとグラスゴー)、アジアではシンガポールに拠点を置いています。
■海外拠点の役割
シンガポールはアジアでのサービス展開を行うための拠点と捉えられています。船舶の検出などは、島が多く海上交通が発達したアジアでニーズのあるサービスと言えるでしょう。シンガポールオフィスの求人を見るとAPAC(アジア太平洋地域)の営業マネージャーを募集しています。他にもソフトウェアやFPGAエンジニアなども募集しており、技術開発も行われているようです。
ルクセンブルグオフィスはヨーロッパの玄関口として設定されています。ドイツ、フランス、ベルギー、オランダへ電車でアクセスでき、多言語であることが特徴です。海洋監視のデータ分析チームの拠点にもなっているようです。
グラスゴーにあるオフィスは、スコットランド政府の手厚い支援を受け、気象系サービスの事業開発を行う拠点として開設されました。
現在の求人を見ると、セールス系の人材の求人の他、GNSS(気象解析を行うための測位系の技術)のエンジニアや光通信のエンジニアを募集しています。
また、海外ではありませんがアメリカ国内では、本拠地のサンフランシスコの他、ワシントンとボルダーに拠点を有しています。ワシントンはアメリカ政府系のビジネスの開拓のために設置されました(参考)。ボルダーはアメリカの気象解析系の拠点があるほか、求人を見ると、地上局や衛星運用のエンジニアを募集しています。
WHY CALIFORNIA SATELLITE DATA COMPANY SPIRE CHOSE TO SET UP IN SCOTLAND
https://www.sdi.co.uk/news-features/success-stories/spire
https://spacenews.com/luxembourg-to-invest-in-spire/
⑤Planet Labs
■事業概要
Planet Labsは、現在の事業者の中ではもっとも多い超小型衛星を150機以上打上げ光学センサで、地球上のあらゆる場所を日々観測、衛星画像の提供を行っています。日々膨大な量で増えていく衛星画像をそのまま提供するだけでなく、船の検出や建物の検出などの衛星画像を用いた解析も実施しています。
■海外拠点
Planet Labsの本拠地はサンフランシスコにあり、アメリカ国内では他にワシントンに拠点があります。海外ではヨーロッパはドイツのベルリンに、アジアはシンガポールに拠点を持っています。
■海外拠点の役割
ヨーロッパは求人を見ると、営業職が中心であり、ヨーロッパのサービス展開の拠点としていると考えられます。また、少数ながら衛星運用のエンジニアも募集しており、日夜撮影を行っている衛星コンステレーションの運用のために、地理的・時間帯的に離れたところに衛星運用拠点を置きたい意図もありそうです。
シンガポールオフィスでは、日本語が話せる人を含む営業職を募集しており、アジア、特に日本を意識した営業拠点にしようとしている姿勢が窺えます。
ワシントンは、Spireと同様に政府向けの案件を意識した拠点となっています。
⑥Orbital Insight
■事業概要
Orbital Insightは、衛星データや携帯電話の位置情報データなど、様々なデータを用いて、官民問わず、あらゆる産業の課題を解決する分析結果を提供しています。
例えば、海岸沿いによくある石油タンクの蓋を観測することで、石油の量を把握し、先物取引の指標にしたり、駐車場の車の台数を定点観測することでスーパーマーケットの今期の売上を予測したりと多様な利用事例を持っています。
■海外拠点
Orbital Insightの本拠地はアメリカカリフォルニア州にあり、その他にもアメリカのワシントンD.C.とニューヨークに拠点を持っている他、日本とイギリスに海外拠点があります。
https://orbitalinsight.com/company/contact
■海外拠点の役割
まず、Orbital Insightの本社はカリフォルニア州。カリフォルニア州には、投資家や優秀な人材が多く集まっており、本拠地を置く宇宙ベンチャー企業は多いようです。
また、同じアメリカ内でもニューヨーク、ワシントンD.C.、ロンドン、東京と各国の主要都市に拠点があります。
Orbital Insight社のサービスは、事業概要に説明したような民間企業に提供されるものもありますが、ICEYE社同様、災害時の活用が期待されているものや、国家の安全保障のために活用されるものもあり、重宝されています。各国の安全保障や防災を担当する部署とコミュニケーションを密にできるよう、各国の主要都市に拠点を構えていると考えられます。
インフラ
⑦アストロスケール
■事業概要
アストロスケールは、宇宙空間に散らばる衛星やロケットの残骸「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」の回収を行う企業です。数多くの通信衛星を打ち上げるOneWebとパートナー契約を締結するなど、近年数多くの人工衛星が打ち上げられる中、持続可能な宇宙空間にしていくために注目が集まっています。
■海外拠点
アストロスケールは2013年にシンガポールを拠点として設立、2015年には日本に、2017年にはUKに拠点を設立しています。2019年に東京オフィスを拡張の上、東京を本拠地に変更、同じ年にアメリカオフィス(Astroscale US)を設立しました。
■海外拠点の役割
2017年にUKに新しいオフィスを開設したのは、軌道上サービスの世界市場へ働きかけるためだったとしています(参考)。宇宙デブリ除去事業を行うためには、既存の法制度が追い付いているとは言えない状況で、事業を推進する上での環境整備から始める必要があります。そして、オフィス開設から約4年が経過した2021年3月8日にイギリス宇宙局はアストロスケール社のデブリ除去衛星の実証ミッションの許可を出し、2021年8月には、スペースデブリのドッキングと除去に必要なコアテクノロジーと機能を実証する世界初の民間ミッションが見事成功となりました。
2019年に東京に本社を移転したのは、マネジメント層が全ての拠点にアクセスしやすいこと、また主要な投資家と緊密な連携が取れることを挙げています(参考)。
アメリカに設立したオフィスは、コロラド州デンバーに位置し、政府と民間の両側面で事業を拡大していくとしています。その理由として、デンバーを拠点とする宇宙産業と金融・教育機関へのアクセスをあげ、シリコンバレーの経済発展やコストよりもすぐれていたとしています(参考)。
また、求人を見ていくと東京錦糸町のオフィスを中心に技術系の募集が行われており、衛星開発が東京オフィスを中心に行われていることがわかります。UKでは地上システム周辺のエンジニアの募集があり、地上システムの構築や運用がUKで行われているようです。
デンバーでも募集している職種は、技術職が中心であり開発が行われているようです。
⑧インフォステラ
■事業概要
インフォステラは、人工衛星を運用するために必要な地上のアンテナ設備(地上局)のシェアリングサービスを行う企業です。従来、地上局は衛星事業者が個別に自前で用意をしてきました。しかし、実際に自分の衛星と通信を行う時間は人工衛星がアンテナの上を通るごく一部で、地上局を使い切れていませんでした。そこで、自分で使用していない時間は他の事業者が使えるようにしたのが、地上局のシェアリングサービスです。
最近では、クライアントが持っている地上局だけでなく、インフォステラ自身も貸し出すための地上局を保有するなど、事業領域を広げつつあります。
■海外拠点
インフォステラのは現在、東京本社とイギリスオフィスを有しています。東京本社
〒163-0532 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階
イギリスオフィス
The Garden Suite, 23 Westfield Park, Redland, Bristol, United Kingdom BS6 6LT
■海外拠点の役割
インフォステラは2019年5月にイギリスオフィスを設立しています。
イギリスでは規制関連業務部門を開設し、小型衛星コミュニティーに対して、規制やライセンスへのコンプライアンス促進に特化したサービス(国際電気通信連合(ITU)の周波数調整やライセンス申請や修正サービスを含む)を提供することにより、地上局オーナーや衛星事業者を支援するとしています。
また、ヨーロッパ圏内の営業拠点にもなるようです。
インフォステラが英国に規制関連業務部門を開設、部門長は前OneWeb社政府関連業務担当ディレクターのアンドリュー・フライ氏
https://infostellar.net/ja-regulatory-affairs-division
宇宙探査・宇宙資源
⑨ispace
■事業概要
ispaceは、「宇宙を人類の生活圏にする」をビジョンに掲げ、月面資源開発の事業化に取り組んでいる企業です。2022年には同社初の月面着陸機(ランダー)を打ち上げ予定で、2024年には民間初の夜間も稼働する着陸船を打上げます。
■海外拠点
ispaceの本社は東京にあり、海外拠点は、アメリカのコロラド州デンバー、ルクセンブルクの2箇所となっています。
■海外拠点の役割
宇宙資源産業は、宇宙ビジネス市場の中でも、事業としての売上が明確になっている企業はなく、これからのポテンシャルが期待されている産業です。そのため、現時点で宇宙資源ビジネスの取り扱いについて法整備がされている国や支援を活発に行っている国は多くありません。
その点、ispace社が拠点を置く、アメリカ、ルクセンブルクは宇宙資源法を制定している数少ない国であり、宇宙資源ビジネスを加速させるための企業支援にも積極的です。
※日本も米・ルクセンブルク・UAEに続く宇宙資源法を制定した4カ国目となっています
宇宙資源事業に積極的な各国との連携をより強固にし、必要な人材、技術、資金の調達をすることで、ispaceの事業を前に進めることが海外拠点の役割だと推察されます。
実際に、ispace社とルクセンブルク政府は、2017年に月の資源開発に関する覚書を締結し、宇宙資源開発分野で外国政府と連携する日本初の事例となりました。
(4)どうやって海外拠点を考える? 4つの視点
ここまで、アメリカ国内に複数の拠点を持つSpaceXを除くと8の企業の海外拠点と、それぞれの役割について考察した内容を紹介しました。では、実際に海外拠点はどのような観点で選ばれるケースが多いのか、4つの視点をまとめてみました。
①地理的要因
まず、最も分かりやすいのはロケットを打上げるための条件に合う場所を持たなければならないといった地理的要因でしょう。
その点、日本は東にも南にも海が広がっており、国として、地理的な優位性もあり、スペースポートプロジェクトが各地で進められています。
また、次に述べる顧客の有無とも重複しますが、ICEYE社が日本進出を発表した背景としてあったような、災害が多い国であるといった、その国特有の環境も海外拠点を決めるひとつの要素となっています。
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②顧客の有無
ロケットの打上げのような地理的要因の制約がない際に、海外拠点を決めるうえで最も重要だろう要素は、顧客の有無です。
海外拠点を拡大することを発表する際、プレスリリースでよく見るのは顧客とのエンゲージメント向上という言葉でした。宇宙ビジネスに限らず、顧客との会話機会を増やすことは、サービスのアップデートや売上につながるということは言うまでもないでしょう。
アメリカであればNASA、ヨーロッパであればESAのような国家機関も、新しいことにチャレンジするためのR&Dを行うための契約であったり、その後の国家プロジェクト予算があり、宇宙ベンチャー企業にとっては大きな顧客となります。
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③人材の有無
実際に雇用できる人材の有無も海外拠点を拡大するうえで重要な視点になります。
自国から海外拠点に人材を派遣する場合もあるようですが、ICEYE社のように、経営層の土地勘のある場所にまずは海外拠点を構え、社員を雇用するというケースもあるようです。
④国の方針や法整備
最後の視点は各国の宇宙ビジネスの経済振興を考えるうえでの方針や法整備の状況です。
宇宙資源法の成立にいち早く着手したアメリカやルクセンブルク、また、アストロスケール社のELSA-dミッション運用のためライセンス承認を行ったイギリスなどもその一例でしょう。
宇宙ビジネスは、他産業と比較すると、比較的新しい産業であり、各国でどのように産業を成長させるかの方針が異なる場合も多く、企業が事業を進めやすくなるような法整備もすべての国ができているわけではありません。
各国が他国の宇宙ビジネス企業に対してどのような支援体制を準備されているか、また、自社の事業を推進するための法整備ができているかも海外拠点を拡大する際に必ずみておくべきポイントです。
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(5)まとめ
宙畑が気になる企業9社をピックアップし、海外拠点を置くと決定した決め手の考察と、海外拠点の選地を考えるポイントを4つ紹介しました。
ご覧いただくと分かる通り、宇宙ビジネスといっても、そのジャンルは様々あり、事業内容によって、どこに海外拠点を置くかにも特徴があると分かります。
今後、様々な宇宙ビジネス企業が、新たな海外拠点をを新設し、事業拡大を計ると考えられます。その際に、なぜその企業がその国・地域を選んだのかを考えられると、企業の事業拡大の方向性を知ることができ、面白いのではないでしょうか。