小型衛星開発経験が豊富なTerran OrbitalがSPAC上場へ。衛星製造を加速させ独自のコンステレーション網の構築へ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/10/25〜10/31】
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小型衛星開発経験が豊富なTerran OrbitalがSPAC上場へ。衛星製造を加速させ独自のコンステレーション網の構築へ
これまで80以上のミッションで小型衛星を製造してきたTerran Orbital Corporationが、Tailwind Two Acquisition Corp. (NYSE:TWNT)との買収及び経営統合契約を締結したことを発表しました。
既にニューヨーク証券取引所に上場しているTailwind Two Acquisition Corp.がTerran Orbitalを買収したのち2社は合併し、Terran Orbitalは2022年度第1四半期までにティッカーシンボル”LLAP”としてニューヨーク証券取引所に上場する予定です。
今回の買収及び経営統合契約と併せて、Lockheed MartinやBeach Point Capitalを含む6社が合計1億2000万ドル(約137億円)の投資を行います。合併が完了するとTerran Orbitalは総額4億7000万ドル(約536億円)を獲得し、企業価値は約15億8000万ドル(約1800億円)と算出されています。
Tailwind Two Acquisition Corp.はSPAC(特別買収目的会社)と呼ばれる、自社では事業を持たずに未上場ベンチャーの買収を目的につくられた企業です。近年、SPACを活用した宇宙ベンチャーの上場が相次いでおり、Virgin Galacticの上場を皮切りに、直近の2年で13社が上場を発表しています。
宙畑メモ:SPAC
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。SPACを活用すると、資金調達を行いながら上場が果たせるほか、従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。
ニューヨーク証券取引所に2019年に上場したVirgin Galactic・Spire Global・Blacksky・Redwire・2021年中に上場予定のPlanetや、NASDAQに上場したAST & Science LLC・Momentus・Astra・Rocket Lab・Arqit・2021年中に上場予定のSatellogic・Virgin OrbitもSPACを活用しました。
Terran Orbitalは、軍事機関や民間企業に対し多数の小型衛星を納品しながら、自社のSAR衛星を用いた地球観測衛星コンステレーション構築にも取り組んでいます。
Terran Orbitalは2021年の9月に、約3億ドル(約342億円)を投じて約6万平方メートルの工場を建設する計画を発表しています。完成すれば年間1,000機以上の人工衛星が製造可能な衛星製造施設となる予定であり、今後上場企業として更に衛星製造能力を高めていくTerran Orbitalに注目です。