Microsoftが提供するAzure Spaceがアップデート。AirbusやKSATとの共創で様々な地理空間機能が利用可能へ【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月27日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
Microsoftが提供するAzure Spaceがアップデート。AirbusやKSATとの共創で様々な地理空間機能が利用可能へ
米国の大手IT企業Microsoft Corporation(NASDAQ:MSFT)が、地上局サービスプラットフォームであるAzure Spaceに新たなパートナーシップと機能が追加されたと発表しました。
Azure Spaceとは、Microsoftが2020年10月に発表した、自社クラウドであるAzureを活用したGSaaS(Ground Segment as a Service)サービスです。Azure Spaceは、低軌道通信コンステレーションサービスであるStarlinkを提供するSpaceXとパートナーシップを締結し、Starlink衛星を利用してデータセンター間をインターネットで接続する予定です。詳細はこちらをご参考ください。(MicrosoftがSpaceXと提携し、Azure Spaceの展開を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/10/19〜10/25】)
今回発表された新しいパートナーシップと機能は以下の通りです。
- ・Azure Orbitalのプレビュー版提供開始
- ・Airbusとの提携により高解像度衛星画像が解析プラットフォームを通して閲覧可能に
- ・ST Engineering iDirectとのパートナーシップによる仮想モデムの提供
- ・Esri、Blackshark.ai、Orbital Insightとの提携により地理空間情報と衛星データ分析機能の強化
- ・雲に覆われていない衛星画像を生成する機能「SpaceEye」の追加
- ・衛星データの解像度を高める「プロジェクトTuring」機能の利用開始
Azure Orbitalのプレビュー版として、顧客がAzure Orbital APIやAzure Portalを通して、MicrosoftとKONGSBERG SATELLITE SERVICES(以下KSAT)が保有する地上局アンテナを用いて衛星と通信が可能になりました。今後、地上局パートナーであるViaSatやUSEIのサポートが追加され、2022年以降さらに拡大予定です。
また、仮想モデムについては、衛星と地上ネットワークを接続するモデムをはじめとして、様々な地上系サービスを展開しているST Engineering iDirectを地上セグメントパートナーとして迎え、通常は物理的なモデムを設置しなければ衛星と地上系を接続できない中で仮想的に接続できるようにする仮想モデムサービスをAzure Orbitalの顧客に提供します。
今回の発表に関して、KSATのCEOであるRolf Skatteboe氏は以下のコメントを出しています。
Over the past year, we have worked hard here at KSAT to continue our collaboration with Azure Orbital integrating our worldwide satellite ground network with Microsoft to provide seamless, global support for transporting, processing, and storing space-based data. Through this partnership, our goal is to continue to provide our customers with the most technically advanced solutions for their missions.
(訳:この1年間、KSAT ではAzure Orbital とのコラボレーションを継続し、当社の世界規模の衛星地上ネットワークとMicrosoftのネットワークを統合し、宇宙からのデータの転送、処理、保存をグローバルにシームレスにサポートすることに力を注いできました。当社はこのパートナーシップを通して、お客様のミッションに向けて最も先進的なソリューションを提供し続けることを目指します。)
Amazon Web Services(AWS)、インフォステラ、Leaf Spaceなども取り組んでいるGSaaS事業。Microsoftが今後、様々な企業と連携し衛星事業者の課題を解決するプラットフォームをどのように構築していくか、引き続き目が離せません。
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