5500万平方キロメートル以上のエリアを毎日観測可能に。大手宇宙技術企業MDAによるSAR衛星データ事業にICEYEが参画した「CHORUS™」とは【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月20日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月13日から16日にかけて開催されたカンファレンスイベントWorld Satellite Business Weekで、カナダの大手宇宙技術企業MDAが商業地球観測ミッションの詳細を発表しました。
この商業地球観測ミッションは「CHORUS™」と名付けられ、CバンドとXバンドのSAR衛星で構成されます。
宙畑メモ
SARセンサは周波数によって、電波が反射する対象物が異なります。例えば木を観測する場合、Cバンドでは枝、Xバンドでは葉で電波が反射します。
SAR(合成開口レーダ)のキホン~事例、分かること、センサ、衛星、波長~
MDAは、CバンドのSAR衛星「RADARSAT-2」を2007年に打ち上げ、現在も運用しています。また、Xバンドの衛星データについては、小型SAR衛星コンステレーションを運用するICEYEが提供する契約を結んだことが発表されました。
MDAはCHORUSの特徴として、高解像度かつ準リアルタイムのデータ収集を上げています。CHORUSは、船舶検知専用の撮像モードがあり、世界の排他的経済水域(EEZ)の40%に相当する5500万平方キロメートル以上のエリアを毎日観測することが可能だといいます。
サービスの提供先には、安全保障分野や農業、環境保護、災害対策などが想定されているようです。
SAR衛星事業者2社の協業に今後も注目が集まりそうです。
宙畑編集部のおすすめ関連記事
日本進出を発表した衛星ベンチャーICEYEがルクセンブルクに新拠点。機械学習に特化した施設を併設予定【宇宙ビジネスニュース】
フィンランド発のSARベンチャーICEYEが米国アーバインに製造拠点を開設【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/4/12〜4/18】
今週の宇宙ニュース
Rocket Labが宇宙用太陽電池セル・パネル業界大手のSolAeroを買収。加速する垂直統合型ビジネスモデル【宇宙ビジネスニュース】
ミュンヘン工科大学発ロケットベンチャーIsar Aerospaceの初打ち上げにドイツ政府ら7機の衛星が搭載へ【宇宙ビジネスニュース】
新型ロケットの開発を加速する17.7億円をインターステラが調達。メディア事業のINCLUSIVEやサイバーエージェントらが出資【宇宙ビジネスニュース】
参考
MDA ANNOUNCES CHORUS™ AS THE NAME OF ITS NEXT MARKET-LEADING COMMERCIAL EARTH OBSERVATION MISSION
MDA and ICEYE Sign Agreement to Integrate X-band SAR Satellite Into MDA’s CHORUS™ Constellation