Voyager SpaceがNanoracksと共同で軌道上でデブリを発生させずに金属を切断する実証を開始【宇宙ビジネスニュース】
【2022年6月1日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
Voyager SpaceがNanoracksと共同で軌道上でデブリを発生させずに金属を切断する実証を開始
Voyager Spaceが傘下企業であるNanoracksと共同で取り組む実証プログラムOutpost Mars Demo-1のペイロードが、SpaceXのTransporter 5ライドシェアミッションで打ち上げられました。
Outpost Mars Demo-1は、使用済みのロケットの上段を宇宙居住のモジュールに再構築させるVoyager Spaceの有人モジュール実証プログラムの一つです。本実証プログラムは、NASAの官民共同プログラムである次世代宇宙探査技術パートナーシップ2(NextSTEP-2)のAppendix A: Habitat Systems を通じて資金が提供されています。
持続可能な宇宙利用と宇宙へのアクセスの民主化のため、今回のプログラムではデブリを発生せずにロボットカッターを活用して金属を切断する実証を行う予定です。
具体的には、Maxar Technologiesが開発したロボットカッターを使用し、金属片3つを1時間以内で切断する実験を行う予定です。ロボットカッターには高回転で動作する切削工具が搭載され、金属を溶かし切り口を作るため切り屑が発生せず、デブリを発生させない点が特徴です。今回切断する金属片は、ULAのロケットVulcan Centaurの外殻に使用されている材料と同じ耐食鋼です。
Nanoracksの宇宙システム本部長のMarshall Smith氏は、以下のようにコメントをしています。
We see this Outpost demonstration mission as contributing to NASA’s efforts to go to the Moon, Mars, and deep space. We’re thrilled to support the agency’s goals through this demonstration while promoting the benefits of sustainable technology.
(訳:今回の実証ミッションは、NASAが取り組む月や火星といった深宇宙探査に貢献出来ると考えています。私たちは、今回の実証を通じて、持続可能な宇宙技術の活用を促進できることを楽しみにしています。)
近年、官民共同で様々な有人宇宙探査に向けた取り組みが進められています。今後は、今回の実証プログラムのような持続可能性を念頭に置いた技術開発の推進にも注目です。
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