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宇宙飛行士候補者が決定。募集要項を緩和した効果と5年ごとに選抜を行う重要性は?【宇宙ビジネスニュース】

【2023年3月6日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

2月28日、JAXAは宇宙飛行士候補者が決定したことを発表しました。選抜されたのは、世界銀行で上級防災専門官として勤務している諏訪 理さんと、日本赤十字社医療センターで外科医として勤務している米田 あゆさんの2名です。

米田 あゆさんと、オンラインで会見に参加した諏訪 理さん

13年ぶりの宇宙飛行士選抜、どう変わった?

JAXAは2021年11月に、13年ぶりとなる日本人宇宙飛行士の募集要項を発表し、同年12月に受付を開始しました。

NASAの宇宙飛行士の募集には1万名以上の応募があるのに対し、JAXAが実施した前回2008年の応募者は963名。優秀な人材を採用するべく、JAXAは応募資格を緩和。3年以上の実務経験があることと、医学的特性を満たしていれば応募可能となりました。

文部科学省配布資料より

そういった背景もあり、今回の応募者数は4,127名にまで増加しました。JAXAの理事・有人宇宙技術部門長 佐々木 宏さんは記者発表会でこのように説明しました。

「優秀な方に多数受けていただいたということは、(今回の緩和は)非常に効果があったのだろうと思います。選抜した2人につきましては、総合的に判断をして、医学的な部分、それから色々な操作などの能力、面接も含めたプレゼンテーション能力などを総合的に判断した結果として選ばせていただきました」

また、今回の募集要項の大きな変更点であった、自然科学系の学歴と職務経験を不問としたことでどのような変化があったのでしょうか。

「大体20%ぐらいは自然科学系(出身)ではない方からご応募いただきました。やはり面接では、自然科学系(出身の方)にはない特質を持った方が多数いらっしゃいました」

第二次選抜を合格した10名のなかにも自然科学系の学歴や職務経験を持たない応募者がいたといいます。

「最後に10人が残った段階では、自然科学系ではないバックグラウンド(学歴)を持った方が残っていらっしゃいました。それから職業として、いわゆる研究者や技術者ではない方っていうのも多数……営業をやられている方やコンサルタントをやられている方、様々いらっしゃってですね。かなり多様性のある最後の10人だったという認識です」

「大学での専門が文系(自然科学系以外)は1人。自然科学系の仕事をされていたのは4人いました」

過去の選抜試験では見られなかったような多彩な人材のなかから宇宙飛行士候補者の2人が選抜されたことがうかがえます。

今後の宇宙飛行士募集計画は?

左から佐々木 宏さん、山川 宏理事長、米田あゆさん、諏訪 理さん(オンライン参加)

今回2名以上の宇宙飛行士を選抜する可能性はあったのか、記者が佐々木さんに質問すると、このような回答がありました。

「現在計画として決まっているのが、国際宇宙ステーションの運用が2030年まで。そして、ゲートウェイに1人、それから月面にも1人送ろうということにはなっています。その人数を考えると、現役の宇宙飛行士が6人いますし、(今回選抜した2人という人数は)全体として適正だと考えています。また5年後ぐらいを目処に次の募集をするということで、その頃にはさらに2030年以降の計画が決まってきますので。その時にさらに追加をするという考えです」

JAXAは、今後は5年に1回程度の頻度で継続的に募集を行う計画を発表していました。また、定期的かつ継続的に宇宙飛行士の募集を行うことの重要性について、佐々木さんはこう説明しました。

「やはり今回(の選抜)は受けられなかったという人もいらっしゃいます。残念ながら途中で断念された方もいました。なので、次の機会をちゃんと準備する。機会を、チャンスを、タイミングを増やさないと、優秀な人が受けられないので」

さらに、JAXAの山川 宏理事長は、今回選抜された2人の候補者への期待を聞かれるとこう述べました。

「アルテミス計画で月周回や着陸を目指す前に、ISSや民間の宇宙ステーションに行くという選択肢もあるかもしれませんし、民間と政府がジョイントベンチャー的に進めていくことになるかもしれません。複数のプラットフォームができるようになっていくので、プラットフォームも使い倒していくかたちになります」

今後の宇宙開発や宇宙ビジネスの発展度合いによって、JAXAの宇宙飛行士の活躍の場も広がっていきそうです。

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参考

JAXA宇宙飛行士候補者(2021~2022年度 募集・選抜)の決定について