宇宙分野でもソフトウェア人材の需要高まる【週刊宇宙ビジネスニュース 10/7〜10/13】
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ICEYE社、東南アジア市場を開拓するべくST Engineering Geo-Insights社と提携
10月7日、小型SAR衛星を開発・運用しているICEYEが、シンガポールに拠点を置くST Engineering Geo-Insights Pte Ltdと提携し、東南アジア市場に参入することを発表しました。
能動的に電波を照射し、その反射を観測するSAR衛星は、雲を透過して地上の様子を観測できるため、雲の多い東南アジア域の観測に向いています。そのため、東南アジア市場への参入は、衛星の特徴を活かす上で非常に合理的な判断と言えます。
同契約により、ST Engineering Geo-Insights社は、ICEYEの画像を東南アジア域へと再販する権利を得えました。特に、エネルギーやインフラ、スマートシティの分野に力を入れて営業をかけて行くつもりのようです。
ICEYEは現在3機、年度末までに更に2機を加えた5機体制で観測網を構築して観測頻度をより高めていくと共に、K-SATと組むことでタスキング(撮像要求)にも柔軟に対応できるようにすることでサービスの質を向上いこうとしています。
衛星データに対する機械学習を専門的に行うデカルトラボ、20億円を調達
10月11日、デカルトラボは20億円の追加調達を発表し、累計調達額を60億円としました。追加の投資により、同社はデジタルツイン(データで構築した仮想的な地球)、つまりはアクセスすることで誰でも解析されたデータをすぐ確認できるようなプラットフォーム、を構築していくのを推し進めていく、とのことです。
2020年には新しいアプリケーションを発表する予定だそうで、どのようなものが発表されるのか、今から楽しみです。
同社の雇用人数は110人ほどになったそうで、衛星データ解析の需要が増えている様子がうかがえます。
ところで、Satellite Innovation conferenceの中でも、宇宙関連企業が今課題に感じていることとして、ソフトウェア人材の確保を挙げています。今まではハードウェア側に課題が多かったことから宇宙特有の人材を募集している企業が多かったのですが、技術の成熟もあり、ソフトウェア側の人材確保に動き始めている企業も多くなっているようです。とは言え、GoogleやAppleなどに優秀な人材が取られてしまうこともあり、希望の人材を見つけるのに苦労しているようです。
ICEYE社を始めとして、Planet社やSpire社など、衛星を開発するメーカが、データのプラットフォームを展開するケースが多くなっています。今までは画像として売るだけでも商売になっていることが多くありましたが、今後は衛星”画像”そのものというよりも、そこから何かしらのインサイト(知見)を見つけ出し、付加価値のつけた情報でないと高価格では売りにくくなっていくことでしょう。そうなると、データを処理/解析できる人材が各社で求められるのも必然のことでしょう。
必要となる人材、という軸で宇宙開発を追ってみるのも面白いかもしれません。
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参考文献
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