ニュース 2020/7/13

Descartes Labsが米空軍の衛星データ利用を支援。広がる衛星データの利用用途【週刊宇宙ビジネスニュース 7/6〜7/12】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新！

Descartes Labsが米空軍との契約を受注

7月8日、Descartes Labs（デカルトラボ）は、米空軍が衛星や航空機などから収集したデータの解析を機械学習やAIによるクラウドベースでの解析を通じてサポートする契約を受注したことを発表しました。

Descartes Labsは、地理空間画像の解析を行うスタートアップ企業で、農業や資源開発、物流、ファイナンス・保険など広い業界にサービスを展開しています。同社は、米国のロスアラモス国立研究所からスピンオフして2014年に設立されました。2019年10月には22億円を調達。現在の社員数は100名を超え、ニューメキシコ州サンタフェの本社のほかにロスアラモス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンD.C.、デンバーにオフィスを構えています。

以前にもDescartes Labsは、車や船舶などの広域追跡や軌跡情報の抽出を行う契約を空軍から受注していて、今回はその続きに当たります。プレスリリースによると契約金は12カ月間で150万ドル。今回の契約は、AFWERXと呼ばれる空軍のテクノロジーアクセラレータプログラムと研究所が後援するSmall Business Innovation Researchの一環です。

日本においても、Descartes LabsのようなEstablished Space出身の人材の動きがベンチャー企業を大きく成長させる鍵となるかもしれません。

ICEYE の画像データがESAの研究者向けに無償提供されることが決定

7月8日、小型SAR衛星の製造開発および運用を行なっている、フィンランドのベンチャー企業・ICEYE（アイサイ）は、欧州宇宙機関（ESA）の「Earthnet Third Party Mission（TPM）」のサポートにより、衛星画像を研究者向けに無償提供することを発表しました。

TPMとは、ESAが管轄していない民間企業が運用している衛星のデータ収集し、国際的な主任研究者に無償で提供するフレームワーク。データは、研究やアプリケーション開発に使用することが可能です。

ESAの担当者は、「成長を続けるICEYEのSAR衛星のコンステレーションは、地球観測業界において画期的なものです。主任研究者にとって、ICEYEのデータの利用可能性を探るのは重要であり、ESAがこのプロセスをサポートできることを嬉しく思います」とコメントしています。

ICEYEは、2019年8月に、100kg以下の小型SAR衛星では初の分解能1mを下回る撮影に成功しています。同社の衛星画像がどのように活かされるのか、宙畑編集部としても楽しみにしたいと思います。

JAXA・NASA・ESAが共同でCOVID-19の解析サイトを公開

6月25日、JAXAは新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響把握を目的にNASAおよびESAと合同で解析サイトをリリースしました。

「Earth Observing Dashboard」トップ画像 Credit : ©JAXA/ESA/NASA

温室効果ガスの排出量や水質、夜間光などのデータの利用が可能です。データの対象地域は、米国、ベルギー、クロアチア、フランス、ドイツ、イタリア、スロベニア、スペイン、日本、中国、シンガポール、バングラディシュ、インド。日本においては、東京のデータが中心で、今後は大阪、神戸、名古屋のデータが追加されるようです。

さらにJAXAは、同日に観測・解析結果を紹介するポータルサイトを併せて公開。ハブ空港や車の交通量の状況変化などの解析結果が掲載されています。