まさに目からウロコ! 衛星データで見つけた漁場の釣果が凄かった
衛星データから見つけた魚が釣れるだろうポイントまで船を出し、海釣り。その釣果は想像以上の結果となりました。
「衛星データを使って海釣りをしたい!」という思いから、実際に釣りに出た宙畑編集部。
その釣果は宙畑編集部の予想を上回る「デキ過ぎ」な結果となりました。本記事では海釣りの手順と合わせて、当日の釣りレポートをお届けします。
(1)当日のメンバーと海釣りの手順
まず、当日海釣りを行った6名のメンバーをご紹介します。
・衛星データ解析担当 モトムラさん(釣り初心者)
・宙畑編集長 ナカムラ(本記事を執筆、釣り初心者)
・宙畑編集部 イノウエ、オカベ(釣り初心者)
・船長ミゾベさん(釣り歴29年、ほぼ毎週のように海釣りに出られている大先輩)
・サコダさん(ミゾベさんのお知り合い/フィッシングアドバイザー)
海釣りの手順
海釣りの手順は、以下の3工程にざっくりと分けられます。
①船を出すポイントのアタリをつける
②アタリをつけたポイントの垂直方向の情報を魚群探知機で探り、詳細なポイントを決める
③釣りを開始する
①船を出すポイントのアタリをつける
「魚群探知機があるから漁場はすぐに分かるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで魚群探知機は垂直方向の魚の分布を把握できるもの。今回船を出した東京湾の広さが約1380㎢あることに対し、ボートの大きさは20㎡もありません。船の上にいても下にいる魚が見えないとなると、最適な漁場を見つけることは広大な砂漠に咲く一輪の花を見つけるよりも至難の業のように思えてきます。
そこで、今回活用したのが衛星データです。衛星データから取得できる海水面温度の温度傾斜の激しいところ(※)を解析して割り出し、その他データ(海底変化など)と重ね合わせてポイントを絞ります。
※魚は水温変化の激しい「潮境」に分布する傾向があり、人工衛星からその潮境の位置を見つけることで好漁場を予測できるのです。詳しくはこちら
②アタリをつけたポイントの垂直方向の情報を魚群探知機で探り、詳細なポイントを決める
魚群探知機は船から垂直方向に超音波を発射し、その反射の波をとらえることで、魚群や水深、海底の様子などを把握することができます。
もし仮にアタリをつけずに海に出ると、魚が反応しない魚群探知機をずっと眺め続けるという恐怖体験をする可能性も0ではありません……。
③釣りを開始する
魚探を用いて魚が反応するエリアを見つけたら、釣りを開始します。今回は船長オススメのルアー釣りに挑戦。船長のミゾベさんによれば、エサ釣りだと匂いで魚が寄ってきますが、ルアーは匂いがないので、よりシビアなポイント選びが必要とのことでした。宙畑チームは全員ほぼ初心者……果たして釣れるのか!?
(2)出航
制限時間は9~16時までの約7時間。ここからは臨場感を味わっていただくために、出航前に衛星データ解析者のモトムラさんにいただいた一言をご紹介してから、会話形式でお届けします。
では、いよいよ出航です!
◆一投目で美味しいあの魚がヒット!
ーまず向かうのは浦賀水道航路を横断してすぐの場所。東京湾を行き来する様々な船に注意しながら船を目的地まで動かします。
ミゾベ:はい、到着しました。ここで釣り始めていいですよ~
モトムラ:釣れる、絶対釣れる!!
ーと、釣り始めてからまさかの一投目で……
ミゾベ:あ、来たっ……!
全員:(えっ!?)
ミゾベ:釣れました笑。
全員:はやっ!!!
ミゾベ:なかなかこの早さはないですね。かなり幸先良いです。
ナカムラ:衛星データすごすぎる……
モトムラ:衛星データのおかげですね(ドヤ顔) お、自分もさっそく来たかも!
ミゾベ:うーん、これはナカムラさんの糸と絡まってるだけですね……笑
……
ー最初のマダイヒットからさらに約1時間後
ミゾベ:あ、また来たっ!
モトムラ:もしやこれは経験者の差……!? 僕が釣れなくても記事にできますよね?(突然の弱気発言)
ナカムラ:いやいや、海釣り初心者の宙畑編集部が全員釣れてこそですよ……!
ーそんな弱気発言をしている宙畑男性陣を横目に、オカベの竿に魚がヒット!
ーその後、ミゾベさんにもう1匹イナダが釣れたところで、少し南に移動してポイント2に移ります。
◆漁場到着早々、魚群探知機に反応アリ! あの高級魚が……?
ミゾベ:5~10分ぐらいでポイント2に到着すると思います。
モトムラ:次のポイントではなんとかして釣りたい。
ミゾベ:そろそろ到着しますよ~~~
ーピピピピピピッ(魚群探知機が急に反応)
ミゾベ:いるいるいるいるっ!!!
ナカムラ:おお~~~、衛星データすごいじゃないですかモトムラさん!
モトムラ:ふふっ
ナカムラ:(嬉しそう笑)
ーそしてまたもや開始間もない10分後、今度はモトムラさんの竿に反応が
モトムラ:お、これはもしかして釣れてる……!?
ミゾベ:あ、これはしっかり釣れてますよ!
ーマダイか?イナダか?それとも違う魚??
ナカムラ:トラフグって天然で釣れるんだ……
モトムラ:自己暗示が効きましたね!
ミゾベ:フグは免許持ってないと捌けないので、どこか買ってくれる市場に持って行って高く売れないかな……。もったいないですが、最終的にはリリースですね。
ーとトラフグに喜んでいるのも束の間
ナカムラ:小さい魚でしたが、これで6人中4人、過半数が衛星データを用いたポイントで魚を釣りあげることができましたね。
ー魚が釣れていない残る2名はナカムラとサコダさん
サコダ:え、もう12時!? 坊主(魚が一匹も釣れないこと)は嫌だな~~。
ナカムラ:サコダさん、残り4時間。全員で釣って帰りましょう!
ーポイント2は大量と言えるほどは釣れませんでしたが、モトムラさんにヒットがあり一安心。ポイント3に移動します。
◆シロサバフグフィーバー!
ナカムラ:(次こそは絶対釣るぞ…! むしろ釣らなければモトムラさんに申し訳ない……)
ーそしてもはやお約束なのか、釣り始めて早々に
イノウエ:釣れている気がします! あ、魚が見えました!
ミゾベ:フグですね! シロサバフグです。美味しい魚ですが、こちらもトラフグ同様、フグの免許が必要なのでリリースしましょう
ーしばらくシロサバフグが連続で釣れるシロサバフグフィーバーな時間が続き……
ナカムラ:フグってこんなに釣れるんですね。
サコダ:フグは良く釣れるよー。
ナカムラ:(シロサバフグはサコダさんにとってノーカンなのか……やばい、もしかして自分だけ坊主……)
◆編集長ナカムラの竿についにアタリが!?
ミゾベ:シロサバフグは動きが遅いから、付いてこれないように早く巻くのもひとつコツかもしれませんね。あ、来た!
ー続々と釣れる魚たち、じりじりと迫る制限時間。そんな時……!
(グググッ)
ナカムラ:あっ、これは!? ついに!
ナカムラ:釣れたー!釣れました! ついに全員の竿で一度は魚が釣れましたね! モトムラさん、ありがとうございます!
モトムラ:いえいえ、あんな簡単な解析で喜んでいただけるならいつでもやりますよ
ミゾベ:いつもは海底地形や潮汐、風向きなどを考慮して釣り場を検討していますが、この海水温の解析データはポイントの絞り込みにとても参考になります。
モトムラ:簡単なアプリ作っても良さそうですね。
ナカムラ:ぜひ作りましょう!
ーポイント3で釣れたのはイナダ、タイ、シロサバフグ、エソの4目。欲を言えば、更においしい魚が釣りたい。そんな思いをもって、ポイント4に移動を開始する一同
◆食べられる魚を釣って持って帰りたい
ー約15分間、船を走らせてポイントに到着。釣り始める一同。
イノウエ:私も持って帰って食べられる魚が釣りたいな~。
ナカムラ:そっか、小さいエソとシロサバフグだから全部リリースしてるのか。
イノウエ:そうなんです。私もイナダとかタイとか釣りたいです。
ーなんて会話をしていると……
サコダ:アヤメカサゴですね! 刺身や唐揚げ、煮つけなどにするとすごくおいしいですよ!
イノウエ:やったー、食べられる魚だー。
◆巨大魚現る!? 2人のルアーが奪われた末に……
ーそして続けざまにイノウエの竿に反応が
イノウエ:うわ、重い……
サコダ:おおっ、この引きはかなりでかいですよ! たぶん今日イチじゃないですか!?
………
イノウエ:あ、急に軽くなりました
ミゾベ:切られた? あー、これは切られてますね……ルアーごとやられています。
サコダ:今、この付近にすごいでかいやついますね。サワラかもしれませんよ。
ナカムラ:サワラですか! サワラの西京焼きとかおいしいですよね。そういえばサワラの全身見たことないな……どんな魚なんだろう。
ーそれから10分も経たないうちにモトムラさんの竿にも反応が
モトムラ:おぉ、かなりでかい気がします。さっきのやつじゃないですか!?
ミゾベ:ゆっくり上に上げておいて、まだ巻かなくていい。巻かなくていい。
……
ミゾベ:あれ、まさか根がかり?
モトムラ:え、根がかりですか?
ミゾベ:竿貸してみて。あ、根がかってるね。
モトムラ:根がかりか~笑
サコダ:いや、たぶん大きい魚がかかったのは本当で、根に潜られて根がかってしまった気がするよ今のは。
モトムラ:なんとかして釣って帰りたいですね。
ーよほど大きい魚がポイント4にはいるらしい……そして……
ミゾベ:おお、来た来た来た! でかいですよ!
ー格闘すること約5分ほど、徐々に魚影が見えてきて
イノウエ:おぉぉ~~、でかい!
ミゾベ:サコダさん、網もってきてください!
サコダ:これ、網には入らないね……。これをこうして(網に頭を入れて網の棒の部分に魚の胴体をうまくのせて)こうだっ! おりゃっ!
ドンッ!
ミゾベ:サワラは歯が刃物のように鋭く、イワシなどを捕食する魚です。おそらくイノウエさんのラインもこの歯でやられたんじゃないかな。
サコダ:今日の釣り、有終の美が飾れたんじゃない?
ナカムラ:もう記事が1万字くらいになりそうです……! 今日は本当にありがとうございました!
ーポイント4ではサワラ、アヤメカサゴ、イナダ、イズカサゴ、ホウボウが釣れました。果たしてこの釣果は良いのか悪いのか、比較対象がないな、どうしようかなと思いながら港に戻ります
(3)当日の釣果を他の船と比較、驚きの結果に!?
あらためてまとめると当日の釣果は以下の通り。
【釣果】
サワラ:1匹
イナダ:4匹
マダイ:3匹
アヤメカサゴ:5匹
イズカサゴ:1匹
ホウボウ:1匹
エソ:3匹
ヒメジ:1匹
トラフグ:1匹
シロサバフグ:5匹
ー港に戻って本日の釣果をマリーナのスタッフさんに見せたところ、驚きの言葉が
スタッフ:うわ、大漁じゃないですか! 今日、他のお客さん全然釣れてなくてミゾベさんの船だけですよこんなに釣れたの!
ナカムラ:え、そんなに釣れてないんですか? ちなみに何隻出て、どのくらいの釣果があったのでしょう?
スタッフ:今日は9隻出て、4,5隻は坊主。他の釣れた船でも、タチウオが2匹くらいでしたよ。すごい!
ミゾベ:今日は衛星データを使って釣りをするというテーマで船を出したんですよ。始めていくポイントばかりで、それでこれだけ釣れたのはとても驚きです。モトムラさん、衛星データの効果検証すごく良い結果だったんじゃないですか?
モトムラ:もう完璧ですね(ドヤ顔)。ありがとうございます。
サコダ:美しい結果ですよ、これは。
ナカムラ:これはもう何度か実践してみたいですね。できすぎていて作り話だと思われそう……笑
※証拠として、当日の釣果を掲載いただいたマリーナのサイトキャプチャがこちらです
(4)衛星データは他の分野でも活用OK!
釣りの経験はほとんど無かった宙畑編集部でしたが、実地調査を行ったことで、衛星データの力を実感し、その魅力にハマることとなりました。
今回は、衛星データを使うことで、地上のデータだけでは分からない①広範囲で②面的な情報を可視化し、漁場を絞ることに成功。
解析の詳細は「衛星データで漁場を探して、実際に釣りに行ってみよう」シリーズをご覧ください。衛星データは、衛星データプラットフォーム「Tellus」でもご覧いただけます。
※海面水温のデータは現在準備中
このように漁業に限らずとも、他のセンサとは性質の異なる衛星データを組み合わせることで、新たな価値を見つけ出すことができるようになるかもしれません。衛星データで分かることは「衛星データのキホン~分かること、種類、頻度、解像度、活用事例~」「宇宙ビジネスとは~業界マップ、ビジネスモデル、注目企業、市場規模~」をご覧ください。
次回はまた違う海に出るもよし、美味しい農作物を探してみるもよし、美味しい牛肉を探すもよし……。衛星データを使って楽しいと思える記事を公開していきたいと思います。
ぜひ、みなさんの〇〇をしたい!してほしい!という声や、衛星データを解析してみたいという方も絶賛募集中です!
宙畑のお問い合わせよりご連絡いただけますと幸いです。
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