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衛星データでパイプラインから漏出するメタンを検出。点検作業の効率化を実現【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/3/1〜3/7】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

Sentinelの衛星データで、パイプラインから漏出するメタンガスを検出

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、地球観測光学衛星「Sentinel-5P」と「Sentinel-2」の衛星データを活用して、世界各国のパイプラインから漏出するメタンガスを検出できるようになったと発表しました。

天然ガスの主成分であるメタンの温室効果は、二酸化炭素の21倍。各国でも気候変動対策の一環で、メタンの排出量を規制する取り組みが行われています。

パイプラインのうち、生産物を坑井から処理基地へ運ぶ「フローライン」では、ライン材質の摩耗・ 破裂・腐食やラインの接続不備、製造不良など原因で、メタンが漏洩してしまうことがあります。漏洩を検出する定期点検は、従来はセンサーを持った従業員が上を歩くなどアナログな手法が取られていました。

衛星データによる検出が可能になることで、広範囲をより高頻度に点検できるようになります。

検出ツールを開発したのは、フランスのデータ分析企業Kayrrosです。同社は、2019年から2020年の間に、ロシア・ベラルーシ・ポーランド・ドイツを横断する約4,200kmのパイプラインなどで、メタン漏洩を13件検出。オペレータに連絡し、適切な対応が行われたとのことです。

メタンが検出された地域 Credit : ESA

ヨーロッパの地球観測プログラム「コペルニクス」において、技術的イノベーションにつながった代表的なケースになるのではないかと考えられます。

JAXAベンチャー天地人、衛星データを活用してキャンプ場の候補地選定実施へ

3月1日、衛星データを活用した土地の評価サービスを提供するJAXAベンチャーの天地人は、キャンプ場の企画・運用を手掛けるRecampと業務提携を締結したと発表しました。

天地人は2019年の創業以来、キウイフルーツの栽培および販売を行うゼスプリフレッシュプロデュースジャパン、米卸しで最大手の神明ホールディングスと業務提携し、農作物の栽培に適している場所の選定を支援してきました。

今回発表されたプロジェクトは、衛星データと天地人が持つ耕作放棄地の情報を合わせて、複合的な観点でキャンプ場候補地を探すというもの。例えば、地表面温度のデータを活用することで、現地に足を運んでも確認が難しい、底冷えする地域を特定し、過ごしやすい場所を選定できるのではないかと期待されています。

「天地人コンパス」の画面イメージ Credit : 天地人

本プロジェクトは2020年10月にスタートし、現在は天地人が独自開発したデータプラットフォーム『天地人コンパス』を使って、条件にあった土地をスクリーニングし、選定する段階まで進んでいるとのことです。

QPS研究所、小型SAR衛星2号機「イザナミ」のファーストライトを公開

3月3日、九州大学発ベンチャー企業のQPS研究所は、小型SAR衛星2号機「イザナミ」のファーストライト(初画像)を公開しました。

イザナミは1月25日に、SpaceXのライドシェアプログラムで142機の衛星とともに打ち上げられました。その後、同日に初交信、1月30日にアンテナの展開に成功したことが発表されていました。

イザナミのアンテナ展開前と後の比較 Credit : QPS研究所

イザナミは分解能1.8mの通常モードと分解能1m以下の高精細モードでの撮影が可能です。今回発表された画像は、通常モードで撮影された画像です。

サンフランシスコの高層ビル群(2021年2月19日撮影) Credit : QPS研究所
サンフランシスコ港(2021年2月19日撮影) Credit : QPS研究所

画像が公開された3月3日からは、高精細モードでの撮影も開始するとのことです。CEOの大西 俊輔氏はプレスリリースで

「今後は2025年の36機のコンステレーション構築に向けて、より一層スピード感を持って進めていきたいと思います」

と意気込みを語っています。

QPS研究所は2019年12月に小型SAR衛星1号機「イザナギ」を打ち上げましたが、撮影したデータを衛星内に保存する過程でデータが劣化する不具合が起こり、画像の品質が想定していたレベルに達さずに、公開には至っていませんでした。

イザナミの画像化成功により、画像の販売や画像を利用したソリューションの開発など、事業が大きく前進するのではないかと考えられます。

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参考

Methane emissions events in Russia increased by 40% in 2020

Monitoring methane emissions from gas pipelines

HSE:石油生産現場におけるゼロフレアおよび省エネ化

ガス幹線維持・調査を効率的に行いたい

石油・天然ガス資源情報:パイプライン

キャンプ場候補地を宇宙から衛星で探すプロジェクト始動」JAXAベンチャー 天地人が、キャンプ場の企画開発運営のRecampと業務提携を開始

<速報>2021年3月3日(水) 小型SAR衛星2号機「イザナミ」のファーストライト(※1)画像を公開! 待望の初画像で、小型SAR(※2)衛星としては 日本初アジマス(※3)分解能1.8m、レンジ(※4)分解能0.7mを実現しました!

2021年1月25日(月)に小型SAR衛星2号機「イザナミ」が打ち上げられ、初交信に成功しました!