【2026年3月】衛星データ利活用に関する論文とニュースをピックアップ!
2026年3月に公開された衛星データの利活用に関する論文の中でも宙畑編集部が気になったものをピックアップしました。
2026年3月に公開された衛星データの利活用に関する論文の中でも宙畑編集部が気になったものをピックアップしました。
・Remote sensing-based landslide prediction and risk assessment using a hybrid CNN–LSTM deep learning model
(本論文は、イラン・Kerman州を対象に、衛星画像から読み取る地形(傾斜、標高)と、過去30日間の天気の記憶(降雨、貯水池水位)を同時に学習するCNN-LSTMハイブリッドAIモデルを開発し、地すべり予測精度95.6%、AUC0.98を達成して、従来手法を大幅に上回る性能を実証した)・Temporal attention multi-resolution fusion of satellite image time-series, applied to Landsat-8/9 and Sentinel-2: all bands, any time, at best spatial resolution
(Landsat-8/9(30m解像度)とSentinel-2(10m解像度 = 車1台が見える精度)という2つの衛星画像時系列を、任意の時刻・全スペクトルバンド・最高解像度で統合予測する深層学習手法「TAMRF-SITS」を開発、単一モデルで4つのタスク(ギャップフィリング、バンドシャープニング、時空間融合、熱赤外シャープニング)を解決し、既存手法を大幅に上回る画質(BRISQUE 10-30ポイント向上)を達成)・Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation
(CoAtNet(CNNとTransformerの2つのAI)というモデルを用いて、「地形が見やすいか」(土地被覆タイプ)と「天気が良いか」(環境条件)の2軸から画像品質を自動評価し、ARD(解析準備済みデータ)生成への適性を高・中・低の3段階で瞬時に判定する手法を提案し、全体精度97.32%、不適画像の検出精度98.25%を達成した)・High-Resolution Air Temperature Estimation Using the Full Landsat Spectral Range and Information-Based Machine Learning
(イスラエル全土を対象に、Landsat衛星の全スペクトル(反射帯域+熱帯域)を機械学習で統合し、30m解像度で人間が体感する気温を推定、精度R²=0.95を達成するとともに、従来軽視されていた反射帯域が熱帯域を上回る重要度を持つことを世界で初めて証明した)
宙畑の連載「#MonthlySatDataNews」では、前月に公開された衛星データの利活用に関する論文やニュースをピックアップして紹介します。
本記事を制作するために、これは!と思った論文やニュースをX(旧Twitter)上で「#MonthlySatDataNews」「#衛星論文」をつけて備忘録として宙畑編集部メンバーが投稿しています。宙畑読者のみなさまも是非ご参加いただけますと幸いです。
2026年3月の「#MonthlySatDataNews」「#衛星論文」を投稿いただいたのはこちらの方でした!
Unlocking the global benefits of Earth Observation to address the SDG 6 in situ water quality monitoring gap
https://t.co/ued5AUlyDN #衛星論文衛星データを使えるようにしようというのでワークショップしてみた結果の報告、あとでちゃんと読もう
— たなこう (@octobersky_031) March 19, 2026
それではさっそく2026年3月の論文を紹介します。
Remote sensing-based landslide prediction and risk assessment using a hybrid CNN–LSTM deep learning model
【どういう論文?】
・本論文は、イラン・Kerman州を対象に、衛星画像から読み取る地形(傾斜、標高)と、過去30日間の天気の記憶(降雨、貯水池水位)を同時に学習するCNN-LSTMハイブリッドなAIモデルを開発し、地すべり予測精度95.6%、AUC0.98を達成して、従来手法を大幅に上回る性能を実証した
【技術や方法のポイントはどこ?】
◾️先行研究の課題
・従来の地すべり予測モデルは空間情報(傾斜、標高、土地利用)だけを重視するか、または時間情報(降雨パターン)だけを重視するかのどちらか一方に偏っており、両方を同時に理解する能力が限られていた
・実際の地すべりは、「急な斜面(空間要因)」と「長雨(時間要因)」が組み合わさって初めて発生するため、両方を統合的に扱う必要がある
◾️本研究のアプローチ
・「地形を読み取るカメラの目(CNN)」と「天気を記憶する脳(LSTM)」を組み合わせたハイブリッドなAIモデルを開発する
①衛星画像から地形を読み取る(CNN担当)
・Sentinel-2衛星画像(10m解像度)から植生指数(NDVI)を計算し、「緑の濃さ」で植生の健康状態を把握する
・DEM(デジタル標高モデル、30m解像度)から傾斜角、標高、アスペクト(斜面の向き)を抽出し、「どれくらい急な斜面か」を数値化する
・GIS技術で断層・河川・道路までの距離を計算し、「地すべりが起きやすい場所」の特徴を地図化する
・合計11種類の空間要因(標高、傾斜、アスペクト、地形湿潤指数、河川力指数、岩石タイプ、断層・河川・道路までの距離、土地利用、年平均降水量)を統合する
②過去30日間の天気を学習する(LSTM担当)
・イラン気象機構の地上観測所から日次降雨データ(mm単位)を取得し、「どれくらい雨が降り続いたか」を記録する
・地域水資源当局から貯水池水位データ(m単位、日次)を収集し、「水がどれだけ溜まっているか」を追跡する
・各地すべり発生地点について、発生前30日間の降雨量と貯水池水位を時系列データとして整理する
・この30日間というウィンドウは、「短期的な豪雨」と「長期的な雨の蓄積」の両方を捉えるための最適な期間として選ばれた
③地形と天気を融合する(ハイブリッド構造)
・CNNが抽出した空間特徴(「この場所は急斜面で断層に近い」)と、LSTMが学習した時間特徴(「過去30日間で累積降雨量が多い」)を連結する
・2つの全結合層(128ユニット、64ユニット)で統合処理し、最終的に「この場所で地すべりが起きる確率」を0-100%で出力する
・719件の実際の地すべり記録と、719件の非地すべり地点(1:1バランス)で学習し、訓練セット70%(1,006サンプル)、検証セット15%(216サンプル)、テストセット15%(216サンプル)に分割する
【議論の内容・結果は?】
◾️成果の概要
・CNN-LSTMハイブリッドモデルは精度95.6%、AUC0.98を達成し、従来の最高性能モデル(ランダムフォレスト)を6%ポイント上回った
・実際の地すべり719件のうち86.4%を「高リスクゾーン」として正確に予測し、防災計画に直接活用できるレベルの精度を実現した
◾️詳細
①他手法との圧倒的な性能差
・CNN-LSTM: AUC 0.98、精度95.6%、F1スコア93.5%
・ランダムフォレスト: AUC 0.92(-6%)
・MLP(多層パーセプトロン): AUC 0.90(-8%)
・SVM(サポートベクターマシン): AUC 0.88(-10%)
・決定木: AUC 0.86(-12%)
・従来の機械学習手法と比較して、すべての評価指標で一貫して最高性能を記録した
②地形と天気の統合効果
・CNN単独モデル: 空間パターンは捉えたが、「いつ起きるか」の時間的トリガーを見逃した
・LSTM単独モデル: 降雨パターンは学習したが、「どこが危ないか」の空間的不均一性を捉えきれなかった
・CNN-LSTM統合: 両方の長所を組み合わせることで、「急斜面」+「長雨」という複合条件を正確に検出し、単独モデルでは不可能だった高精度予測を実現した
※Teng, F., Ekraminia, S.S., Zarei, A. et al. Remote sensing-based landslide prediction and risk assessment using a hybrid CNN–LSTM deep learning model. Sci Rep 16, 10687 (2026).https://doi.org/10.1038/s41598-026-43927-5
③最も重要な要因: 「傾斜」と「雨」
・傾斜勾配: 28.4%(地すべり予測で最も重要)
・累積降雨量: 24.7%(2番目に重要)
・貯水池水位変動: 18.9%(3番目に重要)
・標高: 12.3%
・断層距離+土地利用: 15.7%
・上記結果は、「急な斜面に雨が降り続くと地すべりが起きる」という直感的理解を、定量的に証明したものである
④実用的な感受性マップの生成
・研究エリア全体を3段階に分類: 高リスク(24.7%)、中リスク(41.3%)、低リスク(34.0%)
・実際に起きた地すべり719件のうち86.4%が「高リスクゾーン」内に位置し、予測マップの信頼性が確認された
#CNN-LSTM #地すべり予測 #Sentinel-2 #DEM #時空間統合 #深層学習 #ハイブリッドAI #降雨時系列 #貯水池水位 #Kerman州 #イラン #リモートセンシング #AUC #防災
Temporal attention multi-resolution fusion of satellite image time-series, applied to Landsat-8/9 and Sentinel-2: all bands, any time, at best spatial resolution
【どういう論文?】
・本論文は、Landsat-8/9(30m解像度)とSentinel-2(10m解像度)という2つの衛星画像時系列を、任意の時刻・全スペクトルバンド・最高解像度で統合予測する深層学習手法「TAMRF-SITS」を開発する
・単一モデルで4つのタスク(ギャップフィリング、バンドシャープニング、時空間融合、熱赤外シャープニング)を解決し、既存手法を大幅に上回る画質(BRISQUE 10-30ポイント向上)を達成した
【技術や方法のポイントはどこ?】
◾️先行研究の課題
①同じカメラでしか撮れないという制約
・従来手法は、異なるセンサー間で同じスペクトルバンド(色の種類)が存在することを前提としていた
・そのため、Landsat-8/9の熱赤外バンドやSentinel-2のRed Edgeバンドなど、片方にしかないバンドを扱えなかった
②同じ日に撮影された写真が必須という制約
・多くの時空間融合手法は、2つの衛星が同じ日に同じ場所を撮影した「ペア画像」を必要とする
・実際の運用では雲や軌道の都合で同日ペアが常に得られるわけではない
③拡大しても同じように見えるという非現実的な仮定
・バンドシャープニング手法は、低解像度画像を縮小しても高解像度画像を拡大しても同じ関係が成り立つ「スケール不変性」を仮定している
・本仮定は非現実的で、細かいテクスチャの誤推定を引き起こす
④時間予測の精度問題
・従来の超解像手法は時間的な文脈を利用できず、雲によるデータ欠損を補完できない
・時空間融合も2-3時間程度に限定され、長期的な時系列予測ができない
◾️本研究のアプローチ
・複数センサーの衛星画像時系列を統一的に扱う深層学習アーキテクチャ「TAMRF-SITS(Temporal Attention Multi-Resolution Fusion)」を提案する
①空間と時間の目を分離したアーキテクチャ
・空間の目: 残差畳み込みネットワーク(RRDB)が各撮影時刻の画像から地形や植生のパターンを独立に読み取る
・時間の目: Transformer(時系列全体を見渡す俯瞰の目)が、不規則な時間間隔と異なるセンサーを統一的に処理し、任意の時刻の予測を生成
・本分離により、Landsat-8/9(30m、16日周期)とSentinel-2(10m、2機体制により5日周期、最高解像度10m)という異なる解像度・周期のデータを柔軟に統合する
②「穴埋め問題」で学習するMasked Auto-Encoder戦略
・訓練時にランダムにデータを隠し(マスク)、AIに「隠された部分を予測せよ」という穴埋め問題を解かせる
・6種類のマスクパターン(Random, Gaps, No HR, No LR, Forecast, Backcast)を用意し、ギャップフィリング・予測・融合など複数のタスクに対応
・この戦略により、単一の事前学習モデルで再訓練なしに複数タスクを解決できる
③雲を学習しないコントラスティブ損失
・雲やクラウドシャドウは地表面の真の状態ではないため、これらを学習対象から排除する特殊な損失関数を使用
・予測が「雲ピクセル」よりも「時間的に最も近い晴れピクセル」に近づくようトリプレットマージン損失を適用
・上記工夫により、雲マスクに誤検出があってもクリーンな地表面予測を実現
④異なるスペクトルバンド間で鮮明さを転移する空間的損失
・Sentinel-2(10m)の鮮明さをLandsat-8/9(30m)の予測に転移するため、LPIPS(Learned Perceptual Image Patch Similarity)を使用
・LPIPSは放射歪みに強く、スペクトルバンドが完全に一致しなくても高周波成分(細かいテクスチャ)を転移可能
・この損失項により、スケール不変性の仮定なしに鮮明な高解像度画像を生成する
◾️データセット
①LS2S2(Landsat-8/9 to Sentinel-2)データセット
・用途: TAMRF-SITSの訓練と評価
・詳細: 世界各地312エリア(訓練202+テスト110)、各エリア9.9×9.9 km²、合計約2.6万枚の衛星画像(2022-2025年)
・役割: 69種類のKöppen気候区分×土地被覆クラスをカバーし、熱帯から寒帯、砂漠から森林まで多様な環境でロバスト性を検証
【議論の内容・結果は?】
◾️検証結果の概要
・TAMRF-SITSは単一の事前学習モデルで4つのタスク(ギャップフィリング、バンドシャープニング、時空間融合、熱赤外シャープニング)において、タスク特化型の既存手法と同等以上の性能を達成
・特に画質(BRISQUE)で10-30ポイントの大幅改善を実現した
◾️詳細
①ギャップフィリング: 1ヶ月間の雲で隠れたデータを復元
・Landsat-8/9バンドB4(赤)の欠損復元精度: TAMRF 0.022 vs Naive線形補間 0.079(72%改善)
・画質スコア(BRISQUE): TAMRF 21.2 vs Naive 73.3(3.5倍の改善)
・TAMRFは雲マスクに基づく不自然な境界アーティファクトを生じず、滑らかで自然な予測を実現
・農業地帯のNDVI時系列分析では、Naiveが見逃した植生ピーク(最大成長時期)をTAMRFが正確に捉えた
②バンドシャープニング: Sentinel-2の20mバンドを10m解像度に向上
・画質スコア(BRISQUE): TAMRF 14.775 vs DSen2 25.390(41%改善)
・周波数復元スコア(FR): TAMRF 5.3 vs DSen2 4.5(より鮮明な画像)
・TAMRFはDSen2が不可能な雲ピクセルの同時除去を実現し、実用性が大幅に向上
・Red EdgeやSWIR色合成画像で、TAMRFの方が農地の境界や森林の詳細が明瞭に見える
③時空間融合: Landsat-8/9だけで撮影された日のSentinel-2を予測
・予測精度(RMSE): TAMRF 0.014 vs DSTFN 0.033 vs STAIR 0.038(58-63%改善)
・画質スコア(BRISQUE): TAMRF 21.4 vs Deep-Harmonization 44.2(107%改善)
・TAMRFは同日撮影ペアなしで高精度予測を実現し、従来手法の制約を克服
・3つの入力構成(Landsat-8/9のみ、Sentinel-2のみ、両方)すべてで既存手法を上回り、汎用性の高さを実証した
#Landsat-8/9 #Sentinel-2 #衛星画像時系列 #SITS #時空間融合 #超解像 #バンドシャープニング #ギャップフィリング #Transformer #Masked-Auto-Encoder #深層学習 #LPIPS #雲除去 #マルチセンサー融合
Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation
【どういう論文?】
・本論文は、CoAtNet(CNNとTransformerの二刀流AI)を用いて、「地形が見やすいか」(土地被覆タイプ)と「天気が良いか」(環境条件)の2軸から画像品質を自動評価し、ARD(解析準備済みデータ)生成への適性を高・中・低の3段階で瞬時に判定する手法を提案し、全体精度97.32%、不適画像の検出精度98.25%を達成した
Minyoung Jung, Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation(2026). Source : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1226798826000851
【技術や方法のポイントはどこ?】
◾️先行研究の課題
・従来研究は、「雲がどれくらいあるか」「地形が見えるか」といった品質要因を個別にチェックしていたが、実際には両方を同時に満たさないと解析用データ(ARD)は作れない
・例えば、雲が10%しかなくても、海面ばかりで目印になる地形がない場合、位置合わせ(幾何補正)が失敗してARDが作れない
・個別の検出結果を統合して「このシーン全体が解析に使えるか」を総合判定するフレームワークが存在しなかった
◾️本研究のアプローチ
①概要
「地形の見やすさ」と「天気の良さ」を2人の専門家(2つのAIモデル)が独立評価し、両者の意見を統合して最終判定を下す仕組みを開発する
②ブラウザ画像で高速チェック: 「プレビュー版」を使った効率的評価
・KOMPSAT-3/3Aのブラウザ画像(RGB合成、8ビット、コントラスト強調済みの「プレビュー版」)を使用する
・元画像(サイズ可変)を512×512ピクセルに統一し、AIモデルが高速処理できるようにする
・ブラウザ画像は生データほど詳細ではないが、「この画像は使えそうか」を判断するには十分な品質を持つ
※Jaewan Choi, Doochun Seo, Taeheon Kim, Youkyung Han, Jaehong Oh, Changno Lee,
Minyoung Jung, Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation(2026).
Source : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1226798826000851
③ 「地形の見やすさ」をチェック(土地被覆タイプ分類、4クラス)
・沿岸・島嶼: 海面や波ばかりで目印が少ない → 位置合わせが難しい(適性低)
・山岳: 起伏が激しく、季節で見た目が変わる → やや使いにくい(部分的適性)
・混合: 都市、農地、植生など目印が豊富 → 位置合わせしやすい(適性高)
・未分類: 影・雲・雪で地形が見えない → 使えない(適性なし)
④「天気の良さ」をチェック(環境条件分類、5クラス)
・晴天: 地形がはっきり見える → 最適(高適性)
・雲: 地表が部分的に隠れる → 使いにくい(不適または限界的)
・雪: 雪で地形パターンが覆われる → 詳細解析には不適
・雲+雪: 両方あって最悪 → 高度に不適
・未分類: 極端な影などで何も見えない → 不適
⑤上記2つの意見を統合
・高適性(合格): 「地形見やすい(混合)」AND「天気良い(晴天)」
・中適性(条件付き合格): 「地形やや見にくい(沿岸/山岳)」OR「天気やや悪い(雲/雪)」
・低適性(不合格): 「地形見えない(未分類)」OR「天気最悪(未分類)」
【議論の内容・結果は?】
◾️成果の概要
・「地形の見やすさ」評価で精度93.13%、「天気の良さ」評価で精度95.41%を達成し、2軸を統合した最終判定では精度97.32%を実現した
・特に「不合格画像」(低適性シーン)の検出精度98.25%は、実用ARDパイプラインで不適画像を確実にフィルタリングできることを証明した
Minyoung Jung, Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation(2026).
Source : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1226798826000851
◾️詳細
①「地形の見やすさ」評価の性能
・全体精度: 93.13%(100枚中93枚正解)
・κ係数: 0.89(偶然を超えた高い一致度)
・クラス別精度: 沿岸100%、山岳92.70%、混合89.74%、未分類92.98%
・以下画像のように混合クラスで一部誤分類があったが、原因は「森林を含むエリア」のラベリング曖昧性で、モデルの限界ではないと考える
Minyoung Jung, Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation(2026).
Source : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1226798826000851
②「天気の良さ」評価の性能
・全体精度: 95.41%(100枚中95枚正解)
・κ係数: 0.94(非常に高い一致度)
・クラス別精度: 晴天96.61%、雲95.08%、雪98.31%、雲+雪90.91%、未分類93.44%
・以下画像ように、ARD生成に不適な画像(重い雲被覆、シーン全体のヘイズ)は明確な視覚的特徴を持つため、精度100%で完璧に検出することができた
③最終「合格判定」の性能
・全体精度: 97.32%(100枚中97枚正解)
・κ係数: 0.94
・クラス別精度: 高適性93.33%、中適性97.88%、低適性96.55%
・「不合格画像」(低適性)の検出精度98.25%は、ARD生成を妨げる不適画像を確実にフィルタリングできることを示す
・高適性の検出精度82.35%はやや低いが、これは2つのAIモデルが慎重に判定した結果であり、「不合格を見逃す」ことはないため実用上問題ない
※Jaewan Choi, Doochun Seo, Taeheon Kim, Youkyung Han, Jaehong Oh, Changno Lee,
Minyoung Jung, Satellite Scene Classification Using CoAtNet to Assess Suitability of Browser Images for Analysis-ready Data Generation(2026).
Source : https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1226798826000851
#CoAtNet #ARD #解析準備済みデータ #KOMPSAT-3 #KOMPSAT-3A #シーン分類 #品質評価 #幾何補正 #深層学習 #ハイブリッドAI #CNN #Transformer #事前スクリーニング #ブラウザ画像
High-Resolution Air Temperature Estimation Using the Full Landsat Spectral Range and Information-Based Machine Learning
【どういう論文?】
・本論文は、イスラエル全土を対象に、Landsat衛星の全スペクトル(反射帯域(可視光・近赤外・短波長赤外)+熱帯域(熱赤外))を機械学習で統合し、30m解像度(家1軒が見える精度)で人間が体感する「気温」を推定、精度R²=0.95を達成するとともに、従来軽視されていた「目に見える光」が「熱の光」を上回る重要度を持つことを世界で初めて証明した
【技術や方法のポイントはどこ?】
◾️先行研究の課題
・従来の衛星気温推定は「地表面の温度」(Tsurf)を測る「熱帯域(熱赤外)」に依存していたが、実際に人間が体感する「空気の温度」(Tair)とは別物である
・熱の光だけでは、「なぜその温度なのか」(植生が多いから涼しい、都市だから暑い)という原因がわからず、複雑な地形では精度が落ちる
・機械学習モデルが、訓練データのない地域(例: 砂漠)でも正確に予測できるか(空間的一般化性能)の検証が不足していた
◾️本研究のアプローチ
①概要
地表の反射光(植生、水分、都市構造を反映)と地表の熱(地表面温度)を同時に見ることで、気温の値だけでなく原因も理解する
②23年間の長期データで訓練: 多様な気候・季節・時刻を網羅
・Landsat衛星画像1,298枚(2000-2022年)を取得し、イスラエル全土(海岸の湿潤気候~砂漠の乾燥気候)をカバーする
・118地点の気象観測所から25,530サンプルの気温測定値を収集し、衛星通過時刻±1時間以内でマッチングする
③全スペクトル統合: 「地表面の状態」と「温度」を同時に見る
・反射帯域(太陽の反射光): Blue、Green、Red、NIR(近赤外)、SWIR1・2(短波赤外)の6バンドを利用し、植生、水分、都市材料を捉える
・熱帯域(地表からの熱): 地表面温度を直接測定
・植生指数NDVI: 「緑の濃さ」で植物の健康度を把握
・時間・位置情報: 時刻、緯度、経度
・合計11種類の情報を統合し、気温を推定する
④周辺を見る: 「点」ではなく「面」で理解する
・各地点を中心とした7×7ピクセルウィンドウ(210m×210m)を抽出し、周辺の土地利用パターンを統合する
・例えば、観測所の隣が森林か都市かで気温が変わるため、周辺情報を含めることで精度が向上する
⑤2つのAIモデルを比較: RFRとCNN
・ランダムフォレスト回帰(RFR): 100本の「判断の木」を組み合わせて予測し、「どの情報が重要か」を定量化できる
・畳み込みニューラルネットワーク(CNN): 画像認識で使われる深層学習モデルで、空間パターンを自動的に学習する
・結果: 両者の精度は同等だが、RFRは訓練時間が1/10で済むため実用的
◾️技術的特徴(なぜ高精度なのか)
①全スペクトル統合: 「原因」と「結果」を同時に捉える
・反射帯域が「植生が多い」「都市化している」といった気温の「原因」を捉え、熱帯域が「現在の温度」という「結果」を測定する
・両方を組み合わせることで、「なぜその温度なのか」を理解し、予測精度が向上する
②周辺情報の活用: 「暗記」ではなく「理解」を促す
・7×7ピクセルウィンドウで周辺の土地利用パターンを統合し、観測所周辺の森林、農地、都市の影響を反映する
・データ拡張(回転・位置シフト)により、特定のパターンに依存せず、新しい環境でも正確に予測できる「応用力」を獲得する
③特徴量重要度分析: 「何が重要か」を数値化する
・RFRモデルで各情報の寄与率を計算し、「目に見える光」(10.1%)が「熱の光」(7.31%)を上回ることを発見した
・本発見は、将来の衛星ミッション設計(どのセンサーを搭載すべきか)への重要な示唆を提供する
【議論の内容・結果は?】
◾️成果の概要
・3つの評価戦略すべてで的中率R²=0.88-0.95、誤差1.5-2.0°Cの高精度を達成し、特に訓練データのない気候帯でも高精度を維持した
※評価戦略1・・・ランダム分割
※評価戦略2・・・観測所別分割(例:A地点のデータで訓練して、同じA地点の別の日のデータでテストする」)
※評価戦略3・・・地理的分割(例:海岸の気候データで訓練して、一度も見たことのない砂漠の気温を予測する)
・気温を測るには地表の温度を直接測る熱帯域(熱赤外)が一番重要と信じられてきたが、地表の状態を示す反射帯域(可視光・近赤外など)がそれを上回る重要度(10.1% vs 7.31%)であることを世界で初めて証明した
#Landsat #近地表気温 #Tair推定 #全スペクトル #ランダムフォレスト #CNN #機械学習 #Google_Earth_Engine #空間的一般化 #ヒートアイランド #反射帯域 #SWIR #NIR #熱帯域 #イスラエル #データ拡張
来月も「#MonthlySatDataNews」「#衛星論文」を続けていきますので、お楽しみに!

