宙畑 Sorabatake

機械学習

【保存版】課題から探すAI・機械学習の最新事例57選

世の中の企業がどのように機械学習を活用しているのか事例を知り、業界全体や自社の目の前の業務で抱えている課題解決に活かせるかを考えるきっかけとなるよう、52種類の事例を紹介します。

近年、AIにおける要素技術のひとつである「機械学習」を活用したニュースを耳にすることが多く、漠然と自社でも活用したほうが良いのではないかと考えている方は多いのではないでしょうか。

世の中の企業がどのように機械学習を活用しているのか事例を知り、業界全体や自社の目の前の業務で抱えている課題解決に活かせるかを考えるきっかけとなるよう、57種類の事例を紹介します。

宇宙ビジネスメディアである本サイト「宙畑(そらばたけ)」では、そんな「機械学習」にインプットするデータの一つとして、俯瞰的・継続的にデータを取得可能な「衛星データ」を提案しています。事例と合わせて、「衛星データ」の可能性にも注目いただけると幸いです。

※2024年1月1日に機械学習の事例を5つ追加、宙畑の関連記事も複数本追記しています

実運用に移行しつつあるAIとそのポイント

実際に機械学習を含むAI を活用した取り組みを進めて、実運用に向けたPoC (Proof of Concept)による技術検証や試験導入をはじめている企業は増えています。

2022年4月に発表されたデロイトトーマツグループによる「AIガバナンス サーベイ」では、AIの利活用を開始している企業は9割を超え、PoCを実施した企業のうち約7割が本番運用できているというデータも出ています。

全体の約9割がAIを活用、その6割がPoC実施までできている Credit : デロイトトーマツグループ

AIを活用したプロジェクトを検討する際に重要なことは大きく分けて2点。

まず、自分たちの業界や目の前の業務で抱えている課題は何かを整理して、この課題を解決したいといった”目的”や、解決後の理想の状態から導かれる達成したい”目標”を明確にし、実運用を意識してAIを活用した取り組みを進めること。

もう一つは、必要となるデータの有無です。データ収集には時間を要する場合も多いため、機械学習を活用することを見据えた“使えるデータ”を定義して事前に収集しておくためにも、何に取り組むかは決めておくことが理想です。

この後ご紹介する事例では、ただ事例を並べるのではなく、「どのような課題を機械学習で解決したのか」「課題解決以外にどのような効果が追加で得られたのか」といった課題解決や効果にフォーカスを当てて紹介しているので、ぜひ様々な事例を見ていただけると嬉しいです。

機械学習とは

まず機械学習というのは、大きくいうと「機械にデータを読み込ませて反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことで、分類や予測などのタスクを実行するアルゴリズムを自動構築する技術」のことです。

入力データの種類によって、画像認識やテキスト解析、自然言語処理、音声認識、時系列データ解析、生成AIなどがあります。

そのなかでも、画像認識では、以下のようなより詳細なタスクがあります。
画像分類:画像が何の画像であるかを識別する
物体検出:画像内の対象物の場所を検出する
異常検知:画像の中から異なる状態を検出する
画像生成:新しい画像を生成する
姿勢推定(骨格検知):画像内の人間や動物などの姿勢を推定する

事例紹介では、各事例における「活用技術」という項目にどういったタスクなのかを明記しています。

※ 事例によっては、画像認識や自然言語処理など複数組み合わせている場合、複雑で詳細な手法がわからないものがあります。その他、手法が公開されていないなど詳細不明な事例に関しては、画像認識などの大きな括りで記載しています。ご了承ください。

機械学習で解決する課題

今回は機械学習の活用事例を、解決したい課題をもとに以下の5つの項目に大きく分類しました。機械学習を活用して業務効率化や自動化を目指す企業は多く、特にコスト削減に寄与することが多い印象です。
(※ 複数当てはまるものに関してはより重要であると判断した項目に分けています。)

①売上向上
経験や勘に頼っていたものを明文化して再現性を高くすることで、売上を伸ばしたい

②コスト削減
費用や時間など発生するコストを出来る限りカットしたい

③信頼性担保
精度を向上させて企業や製品の信頼性や安全性を高めたい

④監視/管理
長時間の定点観測など監視/管理を行いたい

⑤人員不足解消
少子高齢化や人口減少などによる人手不足は深刻であり、省力化や自動化で人員不足を解消したい

機械学習事例一覧

では、実際に5つの解決課題別に機械学習を用いた事例をご紹介します。とても長い記事になってしまったので、以下、解決したい課題の5つのリンクの中から興味のあるものだけをご覧いただくこともおすすめです。
※()内の数字は本記事で紹介している事例の数になります

①売上向上(4):タクシー配車予測、店舗来客分析など
②コスト削減(20):コールセンターの自動化、点検の自動化など
③信頼性担保(5):がんの検出による診断支援、原油の備蓄量分析など
④監視/管理(17):電力の需要・発電量の予測、ドライバーの安全管理など
⑤人員不足解消(11):配達ルートの最適化、レジでの商品自動識別など

①売上向上

タクシー配車予測(交通)

これまでベテランのドライバーが持っていた土地勘や経験で補っていたタクシーを待つ乗客の予測を、AI技術による予測モデルを活用することで、経験に関係なく新人でも高精度でタクシードライバーが乗客がいそうな場所に移動することができ、タクシーの乗車率を向上させ、売上を伸ばすことも期待できます。また、利用者の待ち時間を減らせるなど利用者の満足度を向上させることも期待されています。

【参考事例】
NTTドコモ・東京無線協同組合・富士通・富士通テン:AIタクシーを利用した実証実験参加者(タクシードライバー)が、4か月という期間で売上が平均して1人1日あたり1409円の売上アップに繋がった(※)など実際に実証実験で成果を残している。
※参考:AIによるビッグデータ活用で30分後のタクシーの需要が予測できる!

DeNA:AIを活用したタクシーの需要供給予測をして、ドライバーに対して利用者の多い可能性の高い場所への経路を提案する機能をタクシー配車アプリ「MOV」に導入。

トヨタ自動車、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュア:過去の試験導入で、”システムを利用したドライバーの2月の売り上げが平均で前月よりも1日あたり20.4%増え、ドライバー全体の増加率9.4%を上回る成果”を残している。

タクシー業界では、ドライバーの高齢化や人員不足の懸念もあります。最近では、日産自動車とDeNAの「Easy Ride」をはじめとする、AI自動運転タクシーにも注目が集まっており、公道での無人車両の実証実験も開始されています。

■ 活用技術:複数のデータ解析
■ データ:人口統計データやタクシーの走行データ、気象データ、公共交通機関の運行状況、周辺施設データなど
■ 期待できる効果:売上向上・待ち時間軽減による利用者満足度の向上

 

店舗来客分析(小売)

顧客の動線分析や属性分析などにより今まで取得できていなかったリアル店舗でのデータが可視化されることで、これまで担当者の経験や勘に頼っていた仮説や効果検証が数値ベースでできるようになり、どこに何の商品を配置するかなどの改善施策の成功角度や再現性の向上によって売上を伸ばすことが期待できます。

コンビニなどの小売店舗や飲食店をはじめ、多くの実証実験や導入が既に行われています。

【参考事例】
トライアル:来店客の購買行動を分析し、販促につなげるために、福岡県新宮町の店舗に子会社のRetail AIが独自で開発したAIカメラを1500台導入。これまでの年間売上高60億円を将来的に100億円まで伸ばすことを目標としている。

サツドラ:売れる売り場づくりや、業務の効率化を図るために、Vieurekaというパナソニック製のAIカメラを96台を試験導入。

老舗料理店「ゑびや」:客層に合わせた品揃えやオリジナル商品の開発にデータを使用するだけでなく、来客予測により食品ロスも削減でき、実際に売上高は4.8倍に成長。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:画像データからの来客属性(性別/年代/カートを持参しているかなど)や来客の動きなど
■ 期待できる効果:売上向上・業務効率化・在庫や食品ロスの削減

生産量予測・生育予測(農業)

農作物を出荷する際、生育データやハウス内の環境データ、気象データなどのデータを活用して得られる収穫量や収穫時期などの予測結果を共有し、農作物の生産過程に活かして品質や収穫量を担保するための施策を考えたり、収穫作業に必要な人員や流通先を事前に確保し、良い条件で取引できるようになることで安定した収穫量をキープしたり販売価格を伸ばしたりすることが期待できます。また、作物の価格や需要を予測し、作物の廃棄量削減などの効果も期待されています。

【参考事例】
国立研究開発法人新エネルギー、産業技術開発機構(NEDO)、ファームシップ、豊橋技術科学大学:レタスの市場価格を予測するシステムを共同開発。
”今回開発したアルゴリズムは、野菜のこれまでの市場価格などをAIが機械学習し解析することで1、2カ月先のレタスの市場価格を高精度に予測。これにより栽培事業者における需要の予測精度が高まり、野菜の廃棄や販売機会の損失削減効果が期待できるとしている。”

県スマート茶業実証コンソーシアム:お茶の収穫量を予測するAIを構築予定。傾斜地などに小規模な茶園が点在しており、各茶園への巡回や管理が農家の負担になっている。導入によって生育状況や摘み取るタイミングが事前にわかることで巡回の頻度が少なくなれば、農家の負担軽減や作業時間の短縮につながる。
“今後はAIを活用して新芽の画像から収穫量を予測するツールを導入予定で、「作業時間25%削減、荒茶販売額10%拡大」を目指す。”

富士通、高知県、Nextremer:AIで最長3週間先の生産量を予測するシステムを共同で開発。
生産量を高精度に予測することで、大口予約相対取引の増加につながることも期待できるとしている。”

■ 活用技術:時系列データ解析
■ データ:生育データとハウス内の環境データ、気象データなど
■ 期待できる効果:売上向上(取引条件の向上)、作物の廃棄量削減

需要予測(アパレル/小売)

トレンドの変化が早く、過剰在庫や廃棄量の増加が問題となっているアパレル業界では、流通データなどからトレンドを予測して顧客の購買行動して商品企画や在庫管理などに活かし、売上向上とともに過剰在庫を削減するなどの効果が期待されます。

また、アパレル業界以外にも自動販売機やコンビニなどの小売業界でも活用が進んでおり、需要予測に基づいたAIによる商品発注も行われています。発注時間を短縮し、従業員は接客業務に注力できるようになるなど適材適所により生産性があがることで小売業界の成長に繋がるのではないかということで多くの大手スーパーやコンビニで取り組まれています。

【参考事例】
ニューラルポケット、クオリカ”アパレル流通のデータをまとめて分析し、商品企画から収益、在庫管理まで、アパレル企業の一連の業務の効率化を目指す。幅広い業務を効率化し、過剰在庫を削減するなどの効果が見込める。”

三陽商会、ファッションポケット:ファッションビッグデータ画像からトレンドを予測し、商品企画などに活用。今後は、”期初計画とトレンド分析を通じた需要予測との比較分析から過不足領域を特定し、商品企画の精度向上につなげていく。”

ローソン”ローソンがAIを活用した発注システムを全国の約1万3800店で導入済み。弁当や総菜など約1200品目が対象だ。”

セブンイレブン:”セブンイレブンは千葉県内のフランチャイズチェーン(FC)加盟店と直営店の計1100店規模でAI発注のテストを始める。対象はカップ麺など加工食品や菓子など約2500品目。AIが販売実績のほか、天気予報と実際の天候など13の要素を分析し、最適な発注数を提案する。このデータを踏まえ、店舗の担当者が最終発注する。”

■ 活用技術:時系列データ解析、画像認識
■ データ:流通データ、販売実績データ(POSデータ)、天気情報など
■ 期待できる効果:売上向上、過剰在庫の削減

 

②コスト削減

チャットボットによる問い合わせ対応(事務)

チャットボットには、Webからのお問い合わせへの対応など顧客とのコミュニケーションを円滑にするものと社内のヘルプデスクへの対応など社員とのコミュニケーションを円滑にするものがあります。どちらも自動で行えるようにすることで、カスタマーサポートの負荷軽減や問い合わせにかかる時間の短縮、人的コストの削減などが期待でき、実際に導入している企業は増えています。

【参考事例】
キリンホールディングス、サイシード:消費者の問い合わせ窓口ページにチャットボットを導入。問い合わせにかかる時間を短縮し、利用者の利便性向上を図る。

■ 活用技術:テキスト解析
■ データ:過去の問い合わせ情報など
■ 期待できる効果:コスト削減、オペレーターの負担軽減、時間の短縮、人員不足解消

コールセンターの自動化(事務)

コールセンターの人材確保の課題が深刻化している中で、従来、全て人力でコールセンターを運営していたため営業時間中に限られた人数にしか対応できておらず、電話が集中して繫がりにくい・日中以外でも対応してほしいなどの課題がありました。

音声認識で自動で電話に応答することが可能になることで、営業時間外の対応が可能となり、より多くのお客さんに対応することができるようになりました。コールセンターの人的コスト削減やユーザーの満足度・利便性向上に期待され、様々な業界で導入が検討されています。

【参考事例】
ディノス・セシール、Hmcomm:テレビ通販時の顧客からの注文電話が殺到する際にオペレーターだけでは対応しきれないという課題があった。そこで、顧客からの電話の内容をリアルタイムで音声認識し、注文書を自動作成するための集中呼自動応答受注システム「VContact」を共同開発。

ヤマダ電機、Hmcomm:コールセンターの営業時間外の修理受付が実施できず、営業時間中に電話が集中して繋がりづらいという意見や日中に電話できない方から夜間の受付の要望が寄せられていた。音声自動応答システム「Terry」を導入することで営業時間外の受付も可能となりコールセンターの効率化だけでなくお客さんの利便性向上にも期待できる。

■ 活用技術:音声認識
■ データ:過去の音声データ(詳細不明)
■ 期待できる効果:コスト削減、ユーザーの満足度向上

手書き書類のデータ化・入力の自動化(事務)

従来、人の手で入力していた書類の入力作業を手書き文字を認識して自動入力するシステムに代替することで、作業時間を大幅に削減しています。物流・保険・金融と様々な業界での導入が進んでいます。

【参考事例】
佐川急便、SGシステム、フューチャーアーキテクト:配送伝票の手書き文字を読み取りシステムに自動入力するシステムを開発。繁忙期には1日に100万枚の配送伝票の情報を人の手でシステムに入力していたが、新システムに代替することで、作業時間を月間約8400時間短縮。手書き文字の認識精度は99.995%以上に達しており、高い品質のデータ入力を実現。

オリックス生命保険、EduLab:新契約の申込情報の入力作業の際に、人の手で入力していたが、AI-OCRを導入して文字情報を自動でデジタル化して入力することで業務の9割近くの工数を削減できる見込み。

仙台銀行、コージェントラボ:“AI-OCRを導入し、従来は現場の営業担当行員が手作業で行っていた住宅ローン事前審査申込書のデータ化作業を効率化した。導入前と比較して約30%の業務効率化を実現した。住宅ローン事前審査申込書は入力項目が多く、これまでは確認作業に時間を要していた。”

■ 活用技術:文字認識・OCR
■ データ:手書き文字
■ 期待できる効果:コスト削減、作業時間の短縮

株価予測(金融)

株式投資をするためには、決算データや株価データなどの情報を熟知する必要や金融の専門家に高価な手数料を払って相談する必要があり、踏み出すハードルが高かったのですが、AIによる株価予測が普及すると気軽にはじめることができるようになる可能性があります。また、的確なタイミングで売買することが可能になり、取引にかかるコストの削減が期待できます。

【参考事例】
SMBC日興証券、ネットスマイル:AIを活用し個別銘柄の30分後の株価を予測するシステムを開発。
個別銘柄の株価予想システムを開発。価格ごとの売買注文の株数や、どの価格で売買が成立したかといった株式売買の基本情報である「Tickデータ」をAIが学習し、30分後の株価を予測する。

■ 活用技術:時系列データ解析
■ データ:Tickデータ
■ 期待できる効果:コスト削減

SNS自動投稿(メディア)

複数のデータソースから、自然言語解析エンジンを活用して重要な要素を抽出し要約することで、SNSの運用担当者の作業工数を減らすことができます。

【参考事例】
レッジ、データセクション:番組内容を要約し、適切なハッシュタグを付け、投稿するといったTV番組告知ツイート作業の工数を短縮。テレビ東京番組の公式ツイッターアカウントで実運用されている。

■ 活用技術:自然言語処理(文章生成)
■ データ:EPG(電子番組ガイド)用テレビ番組情報や、オンデマンド配信情報、番組見どころ紹介コンテンツなどのデータソースなど
■ 期待できる効果:コスト削減、作業時間の短縮

文章の自動要約(メディア)

ニュース記事など文章を要約するために時間や手間がかかることや要約のレベルを一定にするために熟練者の採用や作業者の育成などが必要で人員の確保が課題となっていました。

文章を自動で要約できるようになることで、一律の品質を保ちながらコストの削減にも期待できます。

【参考事例】
日本テレビ、NTTドコモ:AIを活用したニュース記事の自動要約システムを開発し、現場担当による性能評価を実施する予定。

■ 活用技術:テキスト解析
■ データ:過去の記事データ
■ 期待できる効果:コスト削減、時間の短縮、信頼性担保

ダイジェスト動画の自動生成(メディア)

従来、試合のハイライトシーンやダイジェスト動画の作成を人力で行っていましたが、特定の選手にフォーカスした動画や見どころや特徴のあるシーンを抽出した動画をAIで自動生成することが出来るようになってきています。制作時間の短縮や人的コストの削減だけでなく、ユーザーも試合後すぐにハイライトを確認することが可能になるなど満足度の向上にも期待できます。

【参考事例】
IBM:テニスのウィンブルドン選手権にてワトソンによる自動ハイライト動画を作成・配信。人力で試合終了の2分後に大量のハイライト動画を作るのは難しかったが、自動編集によって動画の制作時間の短縮とそれに伴いユーザーが速報をすぐに受け取れることを可能にした。

博報堂DYメディアパートナーズ、東京理科大学:石原さとみ主演のTBS火曜ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』にてドラマのダイジェスト動画を生成するシステムを試験運用し、公式サイトやSNSで配信。

他にも、イスラエルのPixellotという撮影から編集まで行えるAIカメラを使用した実証実験が日本でも行われており、制作のコストを10分の1まで抑えることができるとのことです。

2020年東京オリンピックを見据えてスポーツの中継やハイライト動画の作成は今後も盛り上がりを見せそうです。

■ 活用技術:動画解析
■ データ:過去動画(過去の試合の重要なプレーなど)
■ 期待できる効果:コスト削減、制作時間の短縮、ユーザーの満足度向上

点検の自動化(コンクリートのひび割れ検出)(建設・不動産)

1960~70年代の高度成長期までに建設された多く構造物の老朽化が進んでおり、管理している国・地方自治体での点検に割ける職員は限られており人手不足が進んでいることから、目視で点検する作業を効率化する動きが盛んです。

実際にコンクリートのひび割れを自動検出するシステムの試験導入により、作業者の負担軽減だけでなく、作業時間やコストを大幅に短縮した事例も出ています。

【参考事例】
大林組、富士フィルム:従来の技術と比べて、遠距離から自動検出することを可能とし、作業時間は4分の1となりコストも大幅に削減。さらに従来は自動検出が難しいとされていた暗い場所や曲面での自動検出も可能となった。

キャノン:インフラ構造物の点検作業における時間や労力を軽減するサービスの提供を開始。
“人の手で画像からひび割れを探す場合と比べても、500本以上のひび割れがある10m×10mの壁の場合、人間では720分かかった作業を、AIが判断して、それを人間が最終確認するという作業とした場合、90分で完了できることも示されたという。”

※衛星データでも道路の老朽化状況把握や空港の滑走路の監視を行っている事例があります

■ 活用技術:画像認識(物体検出)
■ データ:コンクリート表面を撮影した画像データ
■ 期待できる効果:コスト削減、作業時間の短縮、作業者の負担軽減

路面の劣化診断(コンクリートのひび割れ検出)(インフラ)

上記の構造物の点検と同様、1960~70年代の高度成長期までに作られた道路の老朽化が進んでおり、道路の損傷の判定を自動化するための実証実験などの動きが盛んです。

人の目でも確認が困難な微小なひび割れも検知でき、修繕作業の迅速化と同時に作業時間やコスト削減も期待できます。

【参考事例】
福田道路、NEC:AIを活用し道路の劣化を点検するサービスを開始。
“市販の車載カメラで走行しながら撮影した道路の映像からAIが劣化状況を自動で判定する。従来の目視などによる点検に比べ省力化や費用削減効果を見込める。”

ニチレキ、NTT東日本、NTTコムウェア:地方公共団体が管理する舗装道路のメンテナンスの効率化をはかり、AIによる「局部損傷」診断技術を共同開発。局部損傷診断技術を活用し、路面点検・診断・措置を一貫して低コストで実現するソリューションの提供を目指す。

■ 活用技術:画像認識(物体検出)
■ データ:路面を撮影した画像データ
■ 期待できる効果:コスト削減、作業時間の短縮

倉庫内分析(物流)

倉庫内に設置したカメラから作業者の行動やモノの位置などを追跡、分析することで倉庫内の動線やレイアウトの最適化など倉庫業務の効率化を目指した取り組みが行われています。効率化によるコスト削減が期待されています。

【参考事例】
三菱地所、ニューラルポケット、高末、八神製作所:倉庫内の動線やレイアウトなどの最適化・効率化に向けたコンサルティングサービスの提供を目指して、倉庫内にカメラを設置し作業員やAGV(無人搬送車)の動きを解析する実証実験に取り組んでいる。

ニチレイロジグループ、Automagi:ニチレイロジグループの冷蔵倉庫内の監視カメラの映像をもとに、カゴ車・パレット・フォークリフト・ダンボールを個別に認識し、動きの追跡の分析が可能であるシステムの実証実験を実施。倉庫内のモノの位置や動作を可視化して業務効率化を図る。2019年度中には実用化を目指す。

■ 活用技術:画像認識(物体検出)
■ データ:倉庫内で撮影した映像データ
■ 期待できる効果:コスト削減

ピンポイントでの農薬散布(農業)

従来、害虫を駆除するために圃場全体に農薬を散布していましたが、ドローン・ロボットなどを飛行させて圃場全体を空撮した画像から判定を行い、病害虫が発生している地点にピンポイントで農薬を散布することが可能になりました。農薬の使用量を抑えられることでコストの削減ができ、作業時間も短縮できるという結果が出ています。それだけでなく、農薬の使用量を抑えることで「安全・安心」「有機栽培」といった付加価値を追加でき、単価を上げても消費者にも受け入れられるなど売上向上にも期待されています。

【参考事例】
オプティム:農薬の使用量は従来の手法より10分の1に抑えることができ、労力も残留農薬も軽減。農薬量を抑えることで、25ヘクタール換算で約21万円もの予算を削減が見込めるという。

■ 活用技術:画像認識(物体検出)
■ データ:空撮した圃場全体の画像データ
■ 期待できる効果:コスト削減、農薬量の低減、売上向上

広告クリエイティブ自動生成(広告・クリエイティブ)

広告クリエイティブの制作時間を短縮したいという課題を解決するために、広告効果の高いと予測される広告案を大量に自動生成するようなツール開発や研究が行われています。制作時間短縮によるコスト削減だけでなく、候補案の多様性の向上なども期待できます。

【参考事例】
電通デジタル、電通、データアーティスト:高い鮮度と多様な表現案が大量に求められるバナー広告制作時間の短縮ニーズに応えるため、AIを用いてバナー広告を5秒に1枚のスピードで大量に生成するツールを開発。

サイバーエージェント:広告の制作時間の不足という課題を解決するために、サイバーエージェントのクリエイティブAI研究所では、今まで制作してきた広告を学習データにして、広告を自動生成するAIモデルの開発に取り組んでいる。

■ 活用技術:画像生成
■ データ:過去の広告クリエイティブデータや実際のCTRの値
■ 期待できる効果:コスト削減、制作時間の短縮
 

実在しない人物の自動生成(広告・クリエイティブ)

実在しない人物の全身や顔の自動生成により、著作権や販売権、侵害の申し立てをうけることなく広告や資料、イラストの作成やデッサンの練習などに使用できる写真をすぐに取得することができます。また、素材を探す時間や制作コスト・使用リスクを削減できると期待されています。

【参考事例】
データグリッド:実在しない人物の全身画像生成を行う「全身モデル自動生成AI」を開発。アパレルのバーチャルモデルや広告で活用される予定。

Generated Media:実在しない人の顔写真 10万枚をgenerated.photosというサービス上でフリー素材として公開。(著作権はフリーだが、営利目的は不可。)

■ 活用技術:画像生成
■ データ:実在する人物の画像データ
■ 期待できる効果:コスト削減、リスクの削減
 

アバターの自動生成(ゲーム・クリエイティブ)

ゲーム内のアバターやイラスト制作などにおいて、リアリティを追求したり、ユーザーへのカスタマイズ性や多様性をもたせたりするためにアバターの生成を自動化する動きが進んでいます。手動調整が必要なくなるなどの効果が期待できます。

【参考事例】
NetEase(網易):数十から数百のパラメーターにわたる面倒な手動調整が必要な場合があり、完成までに数時間かかることがあったが、顔の骨の構造を認識し、短時間で写真からアバターを自動で生成。実際に中国のゲームで導入済み。

DeNA:”AIでイラスト制作・アニメ制作支援を目的とした、鮮明な全身のアニメキャラクターの生成と合成・その動きの動画生成技術を開発”

■ 活用技術:画像認識(姿勢推定)など
■ データ:人の顔画像データなど
■ 期待できる効果:コスト削減、時間の短縮
 

世論調査分析(政治)

従来、電話や対面ヒアリング、ネット上のアンケートなど様々な手法で調査が行われてきました。最近では、SNS上のデータを分析することで、より正確な調査ができるようになってきており、調査費用を削減できると期待されています。現在は、選挙の結果予測などに使用されています。

【参考事例】
BPU Holdings:選挙期間中にSNS上のデータを分析して、ユーザーの感情などを把握し、選挙の結果を予測する。既存の電話や対面などによる調査方法とは差別化された正確な調査が可能となり、世論調査会社は費用を削減することができるとされる。

■ 活用技術:テキスト解析(感情分析)
■ データ:SNS上のデータ
■ 期待できる効果:コスト削減

海氷の識別(行政)

過去、流氷による大規模な海難事故が発生して大きな被害が出たことから、海難事故を防止するために、海氷の分布や動向を迅速かつ的確に把握するための海氷観測が行われています。しかし、衛星データから海氷領域を判読するのには専門的な知識を要するため、AIを活用して自動で海氷領域を検知することが期待されています。海氷検知をテーマとしたコンペ(※)も過去に開催されています。

※SIGNATE主催のコンペ結果解説:SARデータを用いた海氷領域の検知

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:コスト削減
 

土地や不動産の価値判断(建設・不動産)

従来、不動産経営判断を行う際、専属の不動産コンサルタントが客観的に不動産の状況を分析・診断していましたが、時間や場所を問わず、気軽にかつ短時間に状況を確認できるよう、AIを活用した不動産の価値を査定するサービスが提供されています。

【参考事例】
大和ハウス工業:AIを活用した不動産価値の将来予測と投資プランシミュレーションが行えるサービス「VALUE AI」を提供。

■ 活用技術:時系列データ解析
■ データ:不動産データ(立地、駅徒歩分数、建物構造規模、築年数など)
■ 期待できる効果:コスト削減
 

生成AIによるパースのレンダリング

従来では図面と簡易的な3Dモデルやパースを作成し、専用のソフトウェアをつかってレンダリング(写実的な表現にする)画像を作成していました。このレンダリングを生成AIによって代替することで設計者の業務を削減することが可能です。簡易にレンダリングされた画像が数分で手に入り、業務スピードが向上することが見込まれます。

【参考事例】
株式会社mign:生成AIを使った図面のレンダリング。

■ 活用技術:生成AI
■ データ:図面
■ 期待できる効果:コスト削減
 

社内情報の検索プラットフォーム

社内マニュアルや組織内の情報は組織の規模が大きくなるほど複雑で大量になってきます。生成AIを活用することでそれらの情報を検索し、効率的にまとめることができます。横浜銀行では生成AIに各種規定やマニュアルなどの組織内の情報を学習させ、行員の業務効率化をはかり、より高度な業務や新たな業務に集中できることを目指しています。

【参考事例】
横浜銀行:規定やマニュアルを生成AIに学習させ、行員の業務効率化を実施。

■ 活用技術:生成AI
■ データ:各種規定とマニュアル
■ 期待できる効果:コスト削減
 

生成AIによる文書作成

自治体は毎年大量の文書を作成する必要があり、横須賀市では年間9万もの文書を作成するそうです。そうした文書作成業務を効率化するために生成AIを活用し、「文章案の作成や要約・校正」「アイデア・案出し」に役立てています。横須賀市は全国の自治体の中で一番早くChatGPTを業務に活用し、ほかの自治体から多数の問い合わせがあるそうです。

【参考事例】
横須賀市:文書生成、アイデア出しを生成AIを使って実施。

■ 活用技術:生成AI
■ データ:自治体の文書
■ 期待できる効果:コスト削減

③信頼性担保

校閲・校正支援(出版)

パンフレットなどの印刷物や広告制作物において、原稿の内容などを特定の担当者が確認して校正しており、確認側のチェックの負担や校正スキルの属人化などが課題となっていました。そこで、AIを活用して業界・企業特有の表記や専門用語を学習して基準に合わせて誤表記を検出して文章の校閲・校正を可能にし、作業者の負担軽減やヒューマンエラーの減少などを実現しています。

【参考事例】
凸版印刷、みずほ銀行:業界・企業特有の表記や専門用語を学習して、企業ごとの基準に合わせて文章の校閲・校正を可能にする「AI校閲・校正支援システム」を開発。

“AIにレギュレーションを学習させた自動チェック機能で、確認部門だけでなく制作部門も初期段階からレギュレーションチェックが可能となり、制作者と確認者間のやり取り回数や修正指示の削減を実現。”

■ 活用技術:テキスト解析
■ データ:業界・企業特有の表記や専門用語
■ 期待できる効果:信頼性担保、作業者の負担軽減
 

原油の備蓄量分析(インフラ)

従来、政府機関などによる経済統計などにより、投資家は投資判断を行っていましたが、衛星データとAIを活用して、原油タンク内の影の大きさから浮き屋根の高さを推定し、タンクの残量(原油貯蔵量)をより正確に推定することが可能になりました。このように投資家はより正確なデータに基づいて投資判断ができるようになっています。

【参考事例】
Orbital Insight“原油タンクの影の大きさなどから残量を割り出す画像解析エンジンを機械学習ベースで開発。” “民間の衛星会社から購入した世界中の衛星写真を分析することで、原油タンクの残量を月次や週次といった高頻度で割り出している。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:信頼性担保

画像の高解像度化(広告・クリエイティブ)

印刷業界では、クライアントから提出される画像の30%が印刷に耐えない低画質であることにより、多くの失注に繋がるなど低画質な画像による課題がありました(※)。
※ : クリエイティブの課題を10秒で解決。最先端のAI技術が簡単に使えるプラットフォーム「cre8tiveAI」が2月18日にリリース。

AIを活用した高解像度化技術により、これまで使用できなかった低画質画像も使用可能になる可能性があります。

【参考事例】
ラディウス・ファイブ:画素数を16倍に高解像度化させる「Photo Refiner」を提供。

“cre8tiveAI上で提供されるPhoto Refinerは、ディープラーニングを用いて、これまでの技術ではできなかったレベルで高解像度化を行えるAI。およそ10秒という速度で、画素数を16倍に高解像度化できます。”

■ 活用技術:超解像
■ データ:詳細不明
■ 期待できる効果:信頼性担保
 

がんの検出による診断支援(医療)

従来、内視鏡検査には医師による病変の見落としの危険性や限られた時間内で大量のWチェックを目視で行うことで医師への負担が危惧されていました。そこで、AIを活用して内視鏡画像から病変を見つける作業を行い、がんの見逃しを防ぎ、医師の負担を軽減する取り組みがはじまっています。

【参考事例】
AIメディカルサービス:内視鏡検査向けのAIを開発。AIが診断をサポートすることで、精度を担保し、医師の工数や負担を軽減することを目指している。

“開発したAIは、6mm以上の胃がんは98%の精度で検出するほか、1画像の診断にかかる時間はわずか0.02秒。つまり、2296枚の画像を47秒で診断できるということになる。”

サイバネットシステム、昭和大学、名古屋大学:AIを活用して大腸内視鏡診断におけるポリープなどの病変検出を支援するソフトウェア「EndoBRAIN®-EYE」を開発し、医薬品医療機器等法に基づき、クラスⅡ・管理医療機器として承認を取得。
“臨床性能試験では感度95%、特異度89%の精度で病変の検出が可能で、内視鏡医の支援に足る十分な精度を達成”

他にも、AIの乳がんの識別能力が医師を上回るという研究結果も出ており、国内外で研究が進んでいます。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:内視鏡画像データ
■ 期待できる効果:信頼性担保、医師の負担軽減
 

生成AIによる衛星画像の作成

衛星データのビジネスへの活用は拡大していますが、AIによる解析には大量のデータが必要であり、ライセンスの課題もあります。そこでsolafuneでは生成AIを活用して低価格でライセンスフリーの衛星データを作成しようとしています。この取り組みにおいてsolafuneはMicrosoftと協業を行っています。

【参考事例】
Solafune:生成AIを使って衛星データの作成。

■ 活用技術:生成AI
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:AIモデルの作成、コスト削減

④監視/管理

食事のカロリー推定による栄養管理(食品)

ダイエットや生活習慣病予防などで、自分の食事を記録しようとしても記録が面倒になって続かない場合は多いですが、食事の写真を撮るだけで、画像からカロリーを推定することが可能になりました。一般向けの他にもアスリートの食事管理などでも試験導入が進んでいます。

【参考事例】
ライフログテクノロジー:画像からカロリーを推定する「カロミル」を提供。複数の食品が1枚の写真に含まれていても、同時に画像判別して自動で栄養計算が可能に。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:食事の画像データ
■ 期待できる効果:監視/管理

電力の需要予測(インフラ)

より高精度な電力需要予測ができれば、事業者は発電所の待機運転を減らすなど効率的な設備運用を行うことができ、各家庭のユーザーにおいても電力利用状況に合わせたプランを提案できるため、AIを活用した電力の需要予測システムの開発に取り組みが行われています。

【参考事例】
マルヰ:AIを活用した電力需要予測システムを開発。
“各家庭の電力使用量の実績や地域の気象データなどを自動で取得し、機械学習を繰り返してパターンを認識。電力利用の特性に合わせた料金メニューの投入などを検討する。”

関西電力:衛星データを活用した、太陽光発電の発電量の推定及び予測を行うシステムを導入。衛星画像から地表面に到達する日射量を計算して太陽光発電による発電量を推定することで火力や水力など他の発電方法と組み合わせた発電量の調整がより精緻となり適切な運用が可能になります(※)。

※参考:衛星データでソーラーパネルの発電量を予測する! その手法と効果

■ 活用技術:時系列データ解析、画像認識
■ データ:各家庭の電力使用量の実績や地域の気象データ、衛星データなど
■ 期待できる効果:監視/管理

顔認証による入場把握(スポーツ)

Jリーグではホームチームへ来場者数を報告する義務がありますが、従来はカウンターで計測しており、来場者の性別や年齢など属性までは把握できない状況でした。スタジアムの入場に顔認証システムを導入することで、来場者の属性などを把握できるようになりました。今後、スタジアムの立地や気温や天気、チームの順位など様々な要因を含めて分析することで、集客予測の実現にも期待が集まります。

【参考事例】
名古屋グランパス、テクムズ:テクムズの開発した顔認証システム「顔パス」を利用して名古屋グランパスは入場者を把握する実証実験を行った。来場者の性別や年齢などの属性も取得しマーケティングに活かす予定。他にもデジタルサイネージの広告の効果検証も実施。ディスプレーの正面に2.5秒以上顔を向けた場合を広告を見た来場者と定義。実際に広告を見たのは133人、そのうち24人が来店し、その割合は18%。広告による来場効果を検証することができた。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:顔写真データ
■ 期待できる効果:監視/管理

顔認証による地下鉄乗車管理(交通)

顔認証システムは様々な場所で活用されていますが、中国では既に公共機関で導入されています。不正防止や利用者の利便性向上などが期待できます。今回の事例は高齢者限定ですが、すべての人がカードやスマートフォンを持たずとも改札を通ることができる日が近づいているかもしれません。

【参考事例】
Tencent:深セン市で顔認証技術を活用した地下鉄乗車サービスを開始。60歳以上の高齢者は顔認証システム搭載の地下鉄の改札機を無料で通って乗車できる。
“顔認証はテンセント独自のAI(人工知能)アルゴリズムに基づいており、顔認証そのものは最短0.3秒で完了。識別率は99.99%に到達するなど、その精度は世界でもトップクラスを誇る。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:顔写真データ
■ 期待できる効果:監視/管理、ユーザーの満足度向上

不正取引・送金検知(金融)

従来、審査担当者が不正取引を防止するために、人手で行っていた株式取引の審査業務を効率化することで、審査担当者はより複雑で高度な不正手口の調査や分析に取り組めるようになり、検知精度の向上も期待されます。

【参考事例】
NEC:不公正取引の審査業務を支援するクラウドサービス「AI売買審査支援サービス」を提供開始。膨大なデータに混在する多数の規則性を発見し、株式取引における「見せ玉」や仮想売買などの不公正取引度合いをAIが高精度に検出するとともに、その判定理由も出力する。SBI証券での採用が決定している。

■ 活用技術:時系列データ解析
■ データ:株式取引データ
■ 期待できる効果:監視/管理

万引き防止・不審な動きの検知(セキュリティ)

万引きによる指定被害額は年間4615億円にのぼるとされ、店舗における経営課題の1つとなっています。そこで、監視カメラなどの映像から不審な動きを検知して万引きを未然に防ぐための取り組みが行われています。これにより万引きによる被害額が抑えられ、万引き犯確保への手間やコストも低減されることが期待されています。

【参考事例】
VAAK:店舗での不審行動や万引行動を検知するシステム「VAAKEYE」を提供。実際に大手小売店舗での実証実験では77%以上の万引き被害額削減、96%以上の万引き対策時間削減という結果が出ており、2018年12月にはサービスによる検知した万引き犯逮捕に繋がるなどの結果も出ている。

NTT東日本:店内のカメラから買物客の行動を観察して不審な行動を検知すると店員のアプリに通知するサービス「AIガードマン」を提供。

ウォルマート:セルフレジとキャッシャーがいるレジの両方で、Missed Scan Detectionという商品のミススキャンや不正がないかをモニターしているAIを導入。不正を検知すると店員に通知。
“2年間で盗難、在庫の紛失、詐欺、スキャンエラーの発生率が減少したと報告”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:不審行動を含む映像データ
■ 期待できる効果:監視/管理、コスト削減

フォーム調整の支援(スポーツ)

ダンスやランニング、ゴルフなどのスポーツ時のフォームの解析が可能になり、専門家やプロのアドバイスを受けずともフォームを改善するなど、適切なトレーニングを手軽に行うことが可能になりました。

【参考事例】
KDDI、スポーティップ、エジソンエーアイ:皇居ランナーのランニングフォームを無料でAI解析、改善点を提示する実証実験を開始。専用のランニングマシンで走るとランナーの歩幅やピッチ、重心などを解析してアドバイスを教えてくれる。

ネクストシステム、エイベックス、アビームコンサルティング:人間の骨格を検出するネクストシステム社のVisionPoseを活用したダンススキル評価アプリ 「Dance COMMUNE」を提供。

■ 活用技術:画像認識(姿勢推定)
■ データ:フォームの映像
■ 期待できる効果:監視/管理、コスト削減

ドライバーの安全管理(自動車)

ながら運転や運転中の居眠りを防止するなどドライバーの安全管理に向けたAI搭載ドラレコや道路に設置されたAIカメラなどの開発・導入が進んでいます。スマートフォンのながら運転による事故が増えていることから、日本でも、2019年12月1日から改正道路交通法によりながら運転が厳罰化されるなどの動きもあり、導入の後押しとなりそうです。

【参考事例】
NTTドコモ、Automagi:ドライバーが居眠りしているかを検知するシステムを開発。居眠りを検知した場合、スマホからブザー音を鳴らして警告する。また、専用端末は不要でスマホに専用アプリをインストールするだけで利用できる。

オーストラリア ニューサウスウェールズ(NSW)州政府:道路に設置したカメラからドライバーのスマートフォンのながら運転を検出するAIカメラの導入を開始。
“NSWの交通当局によると、年初のカメラテストの結果、10万人以上のドライバーがスマートフォンを違法に使っていることを発見したという。AIカメラの設置により、5年間で約100件の深刻な交通事故を防止できるとしている。”

Nauto:ドライバーの危険運転を検知する法人向けのAI搭載通信型ドライブレコーダー。脇見運転やあおり運転、運転時の喫煙やスマートフォン保持の検出、運転後のレポーティングなどの機能を搭載している。
“これまでに海外で400社、国内では100社以上の企業が採用”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:ドライバーの状態などの映像データ
■ 期待できる効果:監視/管理

交通量調査の自動化(交通)

従来、人が目視で行っていた交通量調査をAIを活用した車両や歩行者の検出・トラッキング技術により、車両や歩行者の数を自動計測することで、長時間かつ低コストで実施することが可能になりました。

【参考事例】
Intelligence Design:リアルタイムに交通量調査できるサービス「IDEA counter」を提供。
“従来の交通量調査では必要だった道路使用許可申請も不要だ。また交通量のカウントだけでなく服装や持ち物などのトレンド情報の収集も可能で、マーケティング目的でのデータ取得に用いることもできる。”

フューチャースタンダード:AI映像解析を活用した交通量・通行量サービス「SCORER Traffic Counter」を提供。
“SCORER Traffic Counterのカウント数と従来行われてきた人の目視によるカウント数の誤差が1%未満となり、99.1%という精度の高さを実証”

■ 活用技術:画像認識(物体検出・トラッキング)
■ データ:車両や歩行者が写っている画像データ
■ 期待できる効果:監視/管理、コスト削減、作業者の負担軽減

駐車車両推計(小売)

衛星データから店舗の駐車場に停まっている自動車の数をカウントして来客数の分析を行うことが可能になりました。定点観測を行うことで来客数を予測することもできます。これにより、自社だけでなく他社の状況も把握できるようになるため、どの場所に出店すると良いかなどの分析にも繫がりそうです。

【参考事例】
Orbital Insight:スーパーなどの大型小売店舗の駐車場が写っている衛星データから駐車場にある自動車の台数を画像認識によりカウントし、来客数の分析を行う。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:監視/管理

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船舶検知(行政)

従来、国際条約と国内法で船舶には船舶自動識別装置(AIS)の搭載が義務付けられています。しかし、300総トン数未満の外航船、また500総トン数未満の内航船にはAISの搭載義務がなく、航海当直を配置して人力による見張り作業が必要でした。将来的に自律航行船の実現を目指す上で、見張りの自動化に向けた取り組みが行われています。

【参考事例】
商船三井、センスタイムジャパン:見張りの自動化に向けて、船舶画像認識・記録システムを開発し、にっぽん丸に搭載、実証実験を開始。AI技術を活用して他の船舶などを認識して自動記録される。従来船舶自動識別装置(AIS)では捉えることができなかった小型の船舶や夜間など視界不良な場合でも検知が可能に。

スカパーJSAT、衛星ネットワーク:低軌道衛星画像を用いた「高頻度船舶検出サービス」を提供開始。
“超小型衛星Doveの撮影画像から、船舶情報(位置・サイズ・時刻・船種)をAIが検出。ほぼデイリーに指定領域における船舶の検出が可能となり、船舶の運航管理・物流管理が効率的に。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:船舶の画像データ
■ 期待できる効果:監視/管理

赤潮予測(漁業)

養殖産業は赤潮の影響を受けやすく、死滅を防ぐには赤潮を早期発見する必要があります。そのため、海面の画像データからプランクトンを識別して赤潮を予測するAIの開発や実証実験が進んでいます。

【参考事例】
水産庁:衛星画像を活用して赤潮の発生を予測し、養殖漁業の被害の軽減に役立てる技術開発に取り組む。
“衛星画像上の海面の色から、赤潮の原因となるプランクトンの種類まで判別できるという。”

KDDI、長崎大学大学院工学研究科、システムファイブ、長崎県五島市:ドローンで赤潮を検知する実証実験を行った。
“ドローンを活用し、多地点・多深度での採水を行い、ディープラーニングによる画像解析で有害なプランクトンを判別するほか、空撮映像で赤潮の分布状況を確認したり、クラウド経由で漁業者への早期通知を実施。その有効性が確認された。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ(海面の画像データ)、空撮映像データ
■ 期待できる効果:監視/管理、売上向上

森林管理・違法伐採の検知(行政)

2019年4月施行の森林経営管理法で、森林所有者には森林管理が義務化されましたが、森林管理における人手不足や資産価値向上のための定量的な情報が取得できていないことが課題となっています。そこで、衛星データやドローンの空撮画像などをもとにAIが解析して、森林資源情報を遠隔から得られることで、森林所有者が現地まで調査に行くためのコストや労力を軽減し、森林管理や木材生産の効率化を目指しています。

【参考事例】
20tree.ai:30センチ四方の高解像度の衛星データをもとに、森林資源の状態をディープラーニングで解析して可視化するソリューションを開発。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:監視/管理

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災害状況の把握(保険)

従来、現場まで立会調査を行ってからでないと保険金を支払えませんでしたが、衛星データやドローンからの空撮画像をAIで解析することで、現場に行かずとも正確な災害状況を把握でき、その場で迅速に保険金を支払うことが可能になりました。

【参考事例】
三井住友海上火災保険、アリスマー:ドローンとAIを活用した水災損害調査を開始。AI流体解析アルゴリズムを活用して、迅速かつ正確に被災地域における浸水高の算定が可能となり、立会調査なしで被災状況を把握でき迅速な保険金支払いができる。

東京海上日動火災保険:衛星データに加えて、過去の水災被害での保険金支払い実績や標高データから得られる地表の3次元モデル、雨水が異なる方向に流れる境界である分水界データなどをAIで分析し、水災被害を推測する。保険金支払いの迅速化だけでなく、支払いの払い漏れを防ぐことにも役立った。
“2018年7月の西日本豪雨の際にシステムを試用したところ、保険金を受け取れる対象であるにもかかわらず、避難所に長期滞在していたため請求を勧める電話や手紙が届かなかった顧客を見つけ、無事保険金を支払うことができた。”

■ 活用技術:流体解析、画像認識など複数のデータ解析
■ データ:ドローンの空撮画像、衛星データ
■ 期待できる効果:監視/管理、ユーザーの満足度向上

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疫病監視・予測(医療)

インフルエンザや新型コロナウイルスなど感染症を事前に防ぐために、予測するサービスが開発されています。

【参考事例】
日立製作所、損害保険ジャパン日本興亜:埼玉県さいたま市にて、AIを活用したインフルエンザの流行状況を予報するサービスの実証実験を開始。インフルエンザを含む感染症の罹患者数データを市区町村別にまとめた「ORCAサーベイランス」に基づいた高精度な予報サービスとして提供。

Spectee:SNSの投稿データをもとに新型コロナウイルスによる肺炎の感染の広がりを解析するシステムを開発し関係機関に納入。感染の広がり状況や発生場所を検知するために日々アップデートしている。

■ 活用技術:テキスト解析、時系列データ解析など
■ データ:ORCAサーベイランス、SNSの投稿データ
■ 期待できる効果:監視/管理

作付け把握による農地管理の自動化(農業)

従来、人がわざわざ現地に足を運んで判別・記録し、作物の作付けの把握を行っていましたが、現地に行かずとも衛星データやドローンからの空撮画像からAIが自動判別して作付け状況を把握することができるようになりました。

【参考事例】
パスコ、インドネシア航空宇宙研究所:衛星画像を活用して圃場の広さや作付け状況を把握できる技術を確立。実証実験で得られた成果は、同国の農地マップの更新や水路整備の適正地選定、農地管理の向上支援などに活用していく。”

長崎県五島市、オプティム:作付け状況を把握するため、固定翼ドローン「OPTiM Hawk」とAIによる判別技術を活用した実証実験を開始。
農地の作付け状況をOPTiM Hawkを用いて画像で取得する。その後、取得した画像を確認用のAIエンジンを用いて解析し、作物が間違いなく作付けされているかの判別を対象農地区画ごとに行う。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:監視/管理、作業者の負担軽減

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地図制作の自動化(情報・通信)

災害や感染症や伝染病が発生したとき、どこに援助すべきかを正確かつ迅速に知るために、詳細なマッピングツールが必要です。そこで、複数の地図や衛星データに基づいて人口分布がどのようになっているかを正確にはかれるマップの自動作成を行えるような取り組みが実施されています。災害時に救助部隊が的確に援助して避難でき、医療従事者やボランティアが迅速に災害に巻き込まれた人や流行病にかかった人に連絡をとることができます。

【参考事例】
Facebook、コロンビア大学国際地球科学情報ネットワークセンター:人口データや衛星データにAIを活用して、広大な地域に分布する複雑な構造物をマッピングして詳細な人口密度マップを開発。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:人口データや衛星データ
■ 期待できる効果:監視/管理

⑤人員不足解消

顔認証決済(金融)

中国では、Alibabaが提供する「Alipay」やTencentが提供する「WeChat Pay」をはじめとした顔認証決済が可能なサービスの普及が進んでいます。小売店舗側では、レジ処理時間が短縮され、レジ打ちスタッフが不要となるため、人件費を抑えることができます。また、消費者にとっては、レジで決済する際に、財布もスマホも必要なくレジの前に立つだけで決済が完了し、レジ処理時間が短縮されるため、レジで待つ時間が短縮されます。杭州KFCのKProをはじめ様々な店舗で導入されています。

【参考事例】
ロータス、Alibaba:AlibabaのAlipayを導入。“QRコード決済では1人あたりのレジ処理時間が5.6秒だったが、顔認証専用レジでは2.8秒に短縮した。行列で待たされる時間が短くなる。商店側では、レジ処理時間が短縮され、人件費を抑えることができる。”

■ 活用技術:画像認識
■ データ:顔の画像データ
■ 期待できる効果:人員不足解消、時間の短縮、ユーザーの満足度向上

配達ルート最適化(物流)

物流業界では、Amazonなどオンラインショッピングの普及に伴って、配送件数や頻度が増加し、配送の効率化が課題となっています。そこで、AIを活用した配送ルート最適化による移動時間の短縮やベテラン配送運転者のノウハウの形式知化などに向けた取り組みが行われています。

【参考事例】
オプティマインド、ブルボン:オプティマインド社のAIによる配送ルート最適化クラウドシステム「Loogia」を活用し、配送ルートの最適化に向けた実証実験を開始。配送ルートの最適化により、移動時間の短縮によるメンテナンス精度の向上、作業効率の向上による働き方改革、作業環境の改善、ベテランのノウハウの共有化、移動ルート選択のハードル低減、労働時間の改善による生産性向上などを目指す。

■ 活用技術:時系列データ解析
■ データ:GPS等から取り込んだ実走データ
■ 期待できる効果:人員不足解消

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レジでの商品自動識別(小売)

スーパーやコンビニでのレジ打ちスタッフの不足が懸念されている中、レジを自動化するために商品を自動識別するレジの開発・導入が進んでいます。実店舗ですでに稼働しているものもあり、人的コストの低減や売上向上に貢献しています。

【参考事例】
ブレイン:ベーカリーに特化したAIレジ「ベーカリースキャン」を提供。画像認識技術を使って、パンの種類を自動識別。既に全国300店舗で導入済み。
その導入結果は、「レジの処理速度アップで売上5~10%アップ」「店員2人 × レジ3台 = 6人 → 1人 × 3台 = 3人で人件費大幅削減」「研修期間を1ヶ月から1週間に短縮」「レジ入力時間を1回あたり15秒 → 8秒に短縮」と凄まじい効果があったようです。

サインポスト:センサーや電子タグを使用せず、画像認識技術を活用して商品を自動識別するAI搭載レジ「ワンダーレジ」。JCB内ですでに導入されており、売店利用者の8割以上が有人レジではなく、ワンダーレジを利用し、レジ打ちスタッフの作業コストを大幅削減。また、スタッフ不在でも商品購入できるようになり、売上が約4割増加。JR東日本スタートアップと合弁会社「TOUCH TO GO」を設立し、高輪ゲートウェイ駅構内に、無人AI決済店舗を2020年春オープン予定。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:商品の画像データ
■ 期待できる効果:人員不足解消、売上向上、時間の短縮

顔認証による入店管理(小売)

上記のようなレジの自動化の取り組みだけでなく、そもそもレジを通さずに入店管理時に商品の決済を行う取り組みも進んでいます。

【参考事例】
NEC:商品を手にとった後、レジに通すことなくそのまま退店するだけで決済が完了するレジレス型の店舗をNEC本社内にオープン。顔認証や顧客管理システムなど様々な技術やサービスを組み合わせて実現。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:顔の画像データ
■ 期待できる効果:人員不足解消

野菜収穫の自動化

農業従事者数や就業人口が減少し高齢化が進む中で、肉体的に厳しい収穫作業の自動化に向けたロボットの開発が進んでいます。

【参考事例】
ケンブリッジ大学:レタスのを自動収穫するロボット「Vegebot」を開発。レタスを認識し、認識したレタスが病気を持たず熟しているかどうかを判断して、レタスを傷つけることなく根本からカットして収穫。

inaho:自動野菜収穫ロボットを開発。畑に白い線を設置するだけで設定したルートを自動走行し、走行しながら作物を認識・収穫適期かどうかを判別し、作物を傷つけることなくロボットアームで収穫するという移動、探索、収穫の流れで自動収穫を行う。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:作物の画像データ
■ 期待できる効果:人員不足解消

漁獲量・漁場予測(漁業)

従来、熟練の漁師の経験や勘に頼って良い漁場を探していましたが、技術継承がうまくいっていない・過去とは漁獲量の多い場所が違うなどにより漁獲量を維持するのが難しいという課題がありました。持続的な漁業を効率的に実現するために、衛星データや気象データ、水温、塩分、海面高度といった観測データなどを活用してAIで良い漁場や漁獲量を予測するための実証実験や研究が進められています。

【参考事例】
オーシャンアイズ:衛星データをもとにした海況情報を提供する「SEAoME」や漁場予測を提供するサービス「漁場ナビ」を開発・提供。

ユー・エス・イー、オーシャンソリューションテクノロジー:長年蓄積された熟練の漁師の経験や勘や海洋気象情報をもとに解析して漁場の提案をするサービス「トリトンの矛」を開発。過去の操業日誌に記載された漁場や漁獲量などを参考に知見をデータ化することで生産性の高い漁業の実現とスムーズな技術継承を目指す。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:衛星データ
■ 期待できる効果:人員不足解消

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検品の自動化(良品不良品判別)

熟練作業員でないと検査の精度や時間がばらつくことや長時間の高負荷作業であることが課題でした。そして、できるだけ低コストに労力をかけずに安心安全の信頼を担保していくために、従来、目視で検査していた作業をAIで自動検品するシステムや装置の開発が進んでいます。

【参考事例】
キューピー、グーグル、ブレインパッド:食品の原料に不良品がないかどうかを検査する装置を開発。不良品のパターンが多すぎることや不良品のデータを揃えることが大変だが、良品のデータのみで学習して良品不良品を自動検品することを可能にした。

武蔵精密工業、ABEJA:ギア部品の1つであるベベルギアの側面を検査して、良品不良品の検品を行うシステムを開発。熟練の作業者による目視検査以上の精度や速度を目指す。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:検品したい良品・不良品の画像データ(※良品のみで学習する場合もある)
■ 期待できる効果:人員不足解消、信頼性担保

油圧ショベルでの自動掘削

建設・土木業界では、人手不足や熟練作業者の高齢化の課題があり、工事現場での建機の自動化に向けた様々な技術開発を進めています。そのうち、作業者なしで自動で地面の掘削を行うための取り組みを実施しています。

【参考事例】
フジタ、DeepX:油圧ショベルに設置したカメラの撮影データから、油圧ショベルの状態や姿勢をディープラーニングを用いて推定し、運転席にある操作レバーをモータで適切に動かす。作業効率の向上や人手不足の解消を目指す。

■ 活用技術:画像認識(姿勢推定)
■ データ:油圧ショベルに設置したカメラの撮影データ
■ 期待できる効果:人員不足解消

廃棄物選別の自動化

ごみ焼却施設では、熟練の運転員が目視で安定した燃焼のためにクレーンを操作して撹拌するなど対策してきました。しかし、人手不足や運転員のスキルへの依存などの課題があり、AIでごみの撹拌状況などを識別してクレーンを自動運転するシステムの開発への取り組みや運用が開始しています。

【参考事例】
荏原環境プラント、Ridge-i:ごみの質や内容物をピクセル単位で見極め、ごみの状況を識別してクレーンを自動運転するシステムを開発。

■ 活用技術:画像認識
■ データ:ごみの画像データ
■ 期待できる効果:人員不足解消、監視/管理

工場内のモーターなどの故障予知(製造)

モーターなどの故障を検知するために、現状はベテランの熟練技能者が長い棒をモーターに近づけて耳で異音を聞き分けており、熟練技能者にしかできない属人的な作業になっています。そこで、AIによる異音検出の取り組みが行われています。AIによる異音検出が実現できれば、熟練技能者を育成するためのコストや時間を削減でき、人に依存しない高精度な故障予知検査が可能となります。

【参考事例】
安川電機:故障予知検査の自動化を目指して、AIによる異音検出への取り組みを実施。

■ 活用技術:音声認識(異音検出)
■ データ:モーターの音
■ 期待できる効果:人員不足解消、育成コストや時間の削減

生成AIによる英語学習

生成AIが人間と自然に会話できるように進化した現在、英語学習もAIの協力を得て行う未来が現実化しています。生成AIを活用することで、様々なシチュエーションのロールプレイ形式で学べるようになります。会話練習の後、発音、語彙、文法、イントネーション、リズムなどの分野で個別の指導を受けることができます。AIが教師役を務めることで、間違えることへの恥ずかしさを感じることなく、自由に学べる効果もあります。

【参考事例】
ELSA:生成AIを使った英語学習。

■ 活用技術:生成AI
■ データ:英語、日本語のデータ
■ 期待できる効果:人材スキルアップ

まとめ

本記事では57種類の機械学習の事例をご紹介しました。

まだ実証実験段階のものも多いですが、少しずつ結果が出てきており、業界問わず様々な場面で機械学習の活用が検討されています。

また、宙畑イチオシの「衛星データ」を活用した事例では、漁業への活用や石油の備蓄量の推定など、衛星ならではの【広域】な事例が多く見られました。

アクセンチュアの調査では、グローバル全体で経営幹部の84%がAIの幅広い活用はビジネス戦略に不可欠であると考えており、企業の競争において必要不可欠になると考えられます。

様々な事例をキャッチアップして、自社のビジネスや業務に活かしていきたいですね。

今後とも各企業の機械学習活用動向には目が離せません。

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※本記事は2022年6月に関連記事を追加しました