13年ぶりに日本人宇宙飛行士募集へ、各国の動向は【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/10/19〜10/25】
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13年ぶりとなる日本人宇宙飛行士の募集を萩生田文科相が発表
新宇宙飛行士の募集は2021年秋に開始
萩生田文部科学大臣は、10月23日に実施された会見にて、2021年秋に新たに日本人宇宙飛行士を募集する旨を発表しました。
これについて萩生田大臣は、2020年7月にNASA長官のジム・ブライデンスタイン氏と日本人宇宙飛行士の活躍の機会について確認したことや、アルテミス協定に署名したことなど、国際宇宙探査に向けての機運が高まっていることから、今回の発表に踏み切ったと説明しました。
発表に際し、宙畑編集部では宇宙飛行士の山崎 直子氏にコメントをいただきました。
13年ぶりに日本人宇宙飛行士募集の方針が出たことに、嬉しい思いと、やっとという安堵の思いです。従来、ISS以降の宇宙飛行士の活動方針が定められずにいましたが、アルテミス計画に無人探査と共に、有人探査でも貢献する方針となりました。
新しい宇宙飛行士は、地球周回だけでなく、月周回及び月面を目指し、いずれは火星に行く可能性もあります。人類が宇宙活動を本格的に広げられるかの分岐点です。皆さんはその歴史的瞬間に関わる方々になります。男女共に多くの応募をお待ちしています。 山崎 直子
各国の宇宙飛行士募集状況は
日本では宇宙飛行士の募集は13年ぶりとなりましたが、世界の動向はどうなっているのでしょうか。
現役の宇宙飛行士が最も多いのは、米国のNASAです、アルテミス計画を主導するNASAは、2020年1月に基礎訓練を終えた候補者11名を宇宙飛行士として迎えました。
さらに、宇宙飛行士候補者を2020年3月より募集し、現在は選考が進められています。これまでの傾向から新たに10名程度が選出されるのではないかと考えられます。
次いで多くの宇宙飛行士が所属するのは、ロシアのロスコスモスで、現在は23名の現役宇宙飛行士が所属しています。ロシアは2012年に初の一般公募選抜が実施され、同年と2017年にそれぞれ8名が選出されました。それと比較すると今回の4名という人数は少なく、アルテミス計画への大規模な参画は控える方針を掲げていることもあり、今後の計画に慎重になっているのではないかと推測されます。
一方で、2020年10月に大胆に18名の宇宙飛行士の採用に踏み切ったのは中国です。
中国有人宇宙機関(CMSA)によると、2022年に完成を目指す独自の宇宙ステーションの運用に向けとのことです。ロシアと中国は共同で月開発を行っていく旨を発表しており、この2カ国の動向には注目していく必要がありそうです。
現役の宇宙飛行士の平均年齢は米国は49歳、ロシアは45歳なのに対し、日本人宇宙飛行士7名の平均年齢は51歳で、ISS参加国で最も高齢化が進んでいることも課題としてあげられます。宇宙飛行士の新規採用がなければ、アルテミス計画の有人ミッションや月面開発が本格化する2030年に定年を迎えていない宇宙飛行士はわずか2名となります。
日本においては、今後は一定数の宇宙飛行士を確保するため、5年に1度のペースで宇宙飛行士を募集する計画と萩生田文部科学大臣が会見で明らかにしました。募集にあたり、宇宙飛行士を目指す人たちへ門戸が開くことはもちろん、選抜や訓練などに新たに民間企業の参入のチャンスもあるのではないでしょうか。
ISS ロボット操作での燃料給油ミッションを完了
10月24日、NASAはISSにおいて、ロボット給油ミッション3(Robotic Refueling Mission 通称、RRM3)の2回目の軌道上実証を行い、成功裏に完了したことを発表しました。
冷却剤や推進剤、軌道上の生命維持システム等に使用される、極低温流体を移送するための重要な技術を実証しました。
今年にはMEV-1が静止軌道の通信衛星に対して燃料補給を成功させており、ニーズも多い技術分野です。
この技術により、宇宙船の設計寿命を伸ばせるようになるため、月や火星などの深宇宙探査のハードルが下がることが期待されています。
近い将来、この技術を活かしたビジネスシーンも出てくるのではないでしょうか。
アストロスケールCEO 岡田氏がIAF副会長に就任
スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールの創業者兼CEO 岡田 光信氏が国際宇宙航行連盟(International Astronautical Federation 以下、IAF)の副会長に任命されました。
IAFとは、平和目的の宇宙航行の発展を図り、世界規模での技術情報の配布を進め、研究を促すことを目的に1951年に設立されたNGOです。フランス・パリに拠点を置き、約70カ国から400名の会員が参画しています。過去には、JAXA副理事を務めた樋口 清司氏が2012年10月から2016年9月までおよそ4年にわたりIAFの会長に就任していたことがあります。
日本からもJAXAをはじめ、三菱重工やIHIエアロスペース、日本電気、ispace、インフォステラ、QPS研究所、九州工業大学などが会員となっており、IAFは宇宙に関連するテーマでは世界最大級のイベントである国際宇宙学会(IAC)を運営していることでも知られています。
今回、副会長に就任したアストロスケールの岡田氏は、以下のようにコメントしています。
「今回の選出にあたって私を支持していただいた全ての方々に感謝をしたいと思います。グローバルな宇宙業界において産業界が果たす役割が大きくなったことの表れです。今回、IAF副会長に任命されたことは大きな責任を感じるともにたいへんな光栄です。7年前に創業した時、私は宇宙分野において全くの部外者でした。今回の就任により、自分の経験に基づいた新しい視点をコミュニティに提供したいと考えています。」
プレスリリースによると、岡田氏は長期的な宇宙持続可能性を提唱し、宇宙開発に関わる国家、企業が責任ある行動を果たせるように尽力していくとのことです。
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参考
NASA’s Refueling Mission Completes Second Set of Robotic Tool Operations in Space