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【2020年10月の宇宙ビジネスニュースまとめ】アルテミス計画に向けて来年度の日本の宇宙開発予算が過去最大に!更に宇宙飛行士の募集も発表

宙畑で2020年10月に取り上げた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。

本記事では、2020年10月に起きた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。

10月は、日本で13年ぶりに宇宙飛行士募集を行うことが発表され、中国でも宇宙ステーション構築に向けた宇宙飛行士が選出されるなど有人宇宙開発に関わる話題が印象的な1か月でした。
今までは政府主導で行ってきた宇宙開発ですが、民間企業が参入し、各国・各企業の強みを活かした連携が生まれ、宇宙業界以外の業種にも宇宙への関心が高まってきているのではないでしょうか。
2020年10月は以下、9本の宇宙ニュース記事を公開しています。各国で進む宇宙開発についてぜひ参考にしてみてください。

中国 宇宙ステーション構築に向け18名を宇宙飛行士として選出

中国有人宇宙機関(CMSA)は、2022年に完成を目指す独自の宇宙ステーションの運用に向けて、新たに18 名の宇宙飛行士を選出したことを発表しました。

この宇宙飛行士の募集は2018年5月に開始し、2,500名の中から選出されています。
選出された18名のうち、7名はパイロット、7名は航空宇宙が専門のエンジニア、4名はサイエンスの専門家で、うち1名が女性とのことです。

独自の宇宙ステーションの運用に向けて宇宙飛行士も決まり、より具体的に宇宙ステーションで行う実験の内容なども決まっていくと考えられます。

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ICONが月面での住宅建設プロジェクト「Project Olympus」を発足

3Dプリンター技術を利用した住宅建設方法に取り組む宇宙ベンチャーICONが、米国の中小企業技術革新研究プログラム(SBIR)の契約を獲得し、月面での住宅建設研究開発プロジェクト”Project Olympus”を発表しました。

月面で住居を建設するためには、地球とは環境も使える素材も異なります。
米国で3Dプリンターを利用した住居建設の実績を持つICONが、月面での環境でどのような住居を作っていくのか、できあがる住居についても気になるところです。

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小型衛星向けの推進機器を手掛けるMomentusが、特別買収目的会社を活用して来年初頭にNASDAQに上場へ

小型衛星向けの推進機器を開発し、ロケットから放出された後に小型衛星を特定の軌道まで輸送する”軌道投入のラストワンマイル”に挑んでいるMomentusが、来年度初頭にNASDAQに上場することを発表しました。

今回の上場は、すでに上場している企業に買収されることで上場を果たすというSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)という方式を取っています。

Momentusが現在開発している小型衛星輸送機Vigorideは、小型衛星を軌道投入するのに1kgあたり約5万ドルほどかかっていたコストを約1万5000ドルまで削減する見込みとなっています。

Momentusが開発する輸送機は12月に打ち上げ予定となっており、この打ち上げの結果にも注目です。

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日本の宇宙開発、来年度予算案は過去最大。月面探査、H3開発、安全保障関連に注力か

政府全体の宇宙に関連する2021年度予算案の概算要求が、過去最大の5,400億円になったことが公表されました。2020年度の予算は3,652億円で、5割にあたる1,778億円が増加したことになります。

予算案の大枠を占めたのは文部科学省で、その総額は2,809億円に上ります。NASAが主導で進めている「アルテミス計画」に810億円、H3ロケットに206億円、先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」に157億円を要求しました。

このほか、衛星画像データの利用、民間企業による衛星データの利用促進を図る環境整備などにも予算が振り分けられ、来年度以降、国内の宇宙開発がさらに盛り上がっていくことが期待できます。

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IAC2020 月面探査ダイジェスト!アルテミス協定に8カ国が署名するも、ロシアは参画控える方針

宇宙に関するテーマでは世界最大級のイベントである国際宇宙会議(IAC)が開催された先週は、国際協力や各国の取り組みなどが発表され、10月13日には、月の資源開発に関する国際協定「アルテミス協定(Artemis Accords)」に米国、日本、カナダ、英国、イタリア、ルクセンブルク、オーストラリア、UAEの8カ国が署名しました。
また、10月27日にNASAは欧州宇宙機関(European Space Agency, ESA)とも協定を結び、各国との体制を強化しています。
一方でロシアは積極的な参画は控える方針のようです。

アルテミス協定には、平和的利用の原則や宇宙飛行士の救助や宇宙物体登録条約への署名が含まれています。宇宙資源に関しては、宇宙条約に準拠して行動することや有害な干渉を防ぐことが定められています。

各国がどのようにアルテミス計画に貢献していくのか、各国の取り組みについても注目です。

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FAAが商業打ち上げに関する規則を改訂。規制緩和で市場拡大を後押し

アメリカ合衆国運輸長官のElaine L. Chao氏が、連邦航空局(FAA)の”Streamlined Launch and Reentry Licensing Requirements(商業ロケットの打ち上げと再突入に関する規則)”を改訂したことを10月15日に発表しました。

今回の改訂は、今まで安全性の確保のために厳重に規制されていた確認項目を緩和する内容となっています。
商業ロケットの開発に取り組む企業にとっては、更に事業を進めやすくなるのではないでしょうか。

改訂のポイントもぜひご参照ください。

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モルガンスタンレーがSpaceXの評価額を発表

米国の世界的な金融機関グループであるモルガンスタンレーが、SpaceX: Raising Valuation Scenarios Following Key Developments というレポートを10月22日に公開し、SpaceXの長期的評価額を引き上げ、同社には少なくとも1,010億ドルの価値があると発表しました。

ロケット打ち上げ事業、通信衛星事業とも順調に打ち上げを成功を続けていることが評価額にも反映されていると考えられます。

11月には野口宇宙飛行士がSpaceXのFalcon 9ロケットにて打ち上げられISSの滞在を行う予定となっており、今後もまだまだSpaceXの市場価値は高まっていくのではないでしょうか。

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13年ぶりに日本人宇宙飛行士募集へ、各国の動向は

萩生田文部科学大臣は、10月23日に実施された会見にて、2021年秋に新たに日本人宇宙飛行士を募集する旨を発表しました。
さらに今後は一定数の宇宙飛行士を確保するため、5年に1度のペースで宇宙飛行士を募集する計画であることも明らかなりました。

発表に際し、宇宙飛行士の山崎 直子氏にコメントをいただいており、今回の宇宙飛行士募集は、今後の日本の宇宙開発に対して大きな意味を持っていると期待されています。
ぜひコメントの内容もご覧ください。

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MicrosoftがSpaceXと提携し、Azure Spaceの展開を発表

Microsoft Corporation(マイクロソフト)がAzure Spaceという衛星通信サービス事業を展開することを発表しました。

さらにMicrosoftはSpaceXと通信衛星大手のSESと提携し、Microsoftが展開するAzureのクラウドを、SpaceXが提供するStarlinkやSESが提供するO3bに接続させることが可能になることも発表しました。

今回の発表されたAzureのモバイルクラウドコンピューティングユニットであるMicrosoft Azure Modular Datacenter (MDC)は、データセンターの機能を持つ運搬可能なコンテナのようなもので、通信環境が構築しにくい場所でも利用が可能となります。

Microsoftのような大企業が宇宙産業に参入し、SpaceXなどの宇宙事業者と連携する動きが増えています。今後も宇宙産業が地上での暮らしにもたらす価値に企業が投資して行くことが増えていくのではないでしょうか。

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以上、2020年10月に宙畑が取り上げた宇宙ビジネスニュースでした。

次回2020年11月の宇宙ビジネスニュースまとめは、12月中旬ごろの公開を予定しています。

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