MicrosoftがSpaceXと提携し、Azure Spaceの展開を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/10/19〜10/25】
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MicrosoftがSpaceXと提携し宇宙ビジネスに本格参入
Microsoft Corporation(マイクロソフト)がAzure Spaceという衛星通信サービス事業を展開することを発表しました。
同時にMicrosoftはSpaceXと通信衛星大手のSESと提携し、Microsoftが展開するAzureのクラウドを、SpaceXが提供するStarlinkやSESが提供するO3bに接続させることが可能になることも発表しました。
※Azureとは、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームの名称です。
Microsoftの狙いは、多くの衛星がAzureに接続されることを活用して、様々なシナリオでクラウドコンピューティングを活用できるようにし、顧客が衛星データからより多くの知見を得ることだと言えるでしょう。
また、今回のMicrosoftの発表の注目ポイントは、AzureのモバイルクラウドコンピューティングユニットであるMicrosoft Azure Modular Datacenter (MDC) です。MDCは、データセンターの機能を詰め込んだコンテナのようなもので、自由に運搬することができます。
このMDCとSpaceXのStarlinkを掛け合わせれば、例え僻地であっても完全な”独立したデータセンター”を展開させることが可能になります。
Microsoft Azure Globalのコーポレート部長であるTom Keane氏は、MDCは軍事部隊のようなインフラが乏しい困難な環境で活動する顧客を対象にしていると述べています。
Microsoftにとって競合であるAWS(Amazon Web Services)も、2018年にAWS Ground Stationという衛星地上局サービスを展開しています。
AmazonとMicrosoftというIT界の最大手が手掛ける、衛星地上局ビジネスにこれからも目が離せません。
Lockheed Martinが英国からの打ち上げを強化
米国の航空宇宙軍事メーカー大手のLockheed Martin(ロッキード・マーティン)が、英国政府からの承認を受け、スコットランドに位置する射場シェットランド宇宙センターからの打ち上げ業務の展開を発表しました。
シェットランド宇宙センターでは、Lockheed Martinが英国から受託している6UサイズのキューブサットUK Pathfinderの打ち上げが実施される予定です。また、シェットランド宇宙センターでは、2024年までに約605人の雇用を生むと予想されています。
Lockheed Martinは2018年に英国ロケットベンチャーのOrbexと共に、同じくスコットランド北部に位置するサザランド宇宙港(Sutherland spaceport)の顧客になったことを発表していましたが、英国で使用する射場が変わった理由については言及されていません。
英国政府のAmanda Solloway科学大臣は、以下のコメントを出しています。
“We want the UK to be the best place in Europe to launch satellites, attracting innovative businesses from all over the world and creating hundreds of high-skilled jobs. The potential to have multiple spaceports in Scotland demonstrates the scale of our ambition, and I want to support industry by pressing ahead with our plans during this challenging time.”
(訳:我々は、英国が欧州で最も人工衛星を打ち上げる国家となり、世界中から革新的な宇宙ビジネスを誘致し多くの雇用を創出することを望んでいます。スコットランドに複数の宇宙港を持つことは我々の野望の大きさの表れであり、本計画と共に宇宙産業界を支えていく所存です。)
また、Lockheed Martinについてもう一つニュースがありました。
NASAはアルテミス計画の一環としてTipping Point Selectionsを15社に授与したことを発表し、そのうちの一社としてLockheed Martinが8970万ドルを獲得しました。
同社の案件名称は”In-space demonstration of liquid hydrogen in over a dozen cryogenic applications”です。具体的には、軌道上でロケット燃料の補給を行う実証ミッションとなります。
この実証ミッションには、MomentusとRelativity Spaceが参加することも発表されました。Relativity Spaceにとっては、間接的ではあるものの、NASAからの契約を初めて獲得できたことになるため今後の事業の後押しになりそうです。
大手の宇宙企業のLockheed Martinが官需と民需の両方でプレゼンスを発揮していく姿に引き続き注目です。
違法伐採に悩む64ヶ国の熱帯林の画像を無料公開
ノルウェー政府が支援しているNorway´s International Climate and Forest Initiative(NICFI)が、Airbus・Planet Labs・KSATの3社と合計4400万ドルの契約を結び、違法伐採に悩む64ヶ国の熱帯林画像が無料公開されることになりました。過去数年分の画像セットとともに、本データセットは毎月更新されます。
Planet Labs CEOのWill Marshall氏は、今回の画像無料公開に際して、以下のコメントを出しています。
This project will work at the global scale, or the scale of 64 countries – but be local enough that its information can empower local action. We’re trying to get this into a form that is as democratising as possible, so that anyone can use it.
(訳:このプロジェクトは64カ国におよびますが、熱帯雨林の情報は、地域の行動を変えるくらいに十分に地域に根ざしたものになるでしょう。私たちは、これを可能な限り民主化し誰もが利用できるような形にしようとしています。)
JAXAもJICAと協力して、熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)を展開しています。各国が衛星データを利用しながら協力して、違法伐採のような地球規模の課題について取り組んでいます。
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