Blue Originが有人飛行を実施。環境汚染が懸念される宇宙旅行の今後は【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/7/19〜7/25】
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アポロ11号の月面着陸から52年。ジェフ・ベゾス氏が率いるBlue Originは、7月20日に、自社開発のロケット「New Shepard」で、初の有人宇宙飛行を成功させました。最高高度は107kmでした。
フライトに参加したのは、ジェフ・ベゾス氏と弟のマーク・ベゾス氏、1960年代に訓練を受けたものの、女性であることを理由に宇宙飛行が叶わなかったウォリー・ファンク氏、そしてオークションで参加券を獲得したオリバー・デーメン氏の4名。
82歳のファンク氏と18歳のデーメン氏が参加したことから、宇宙飛行最高年齢と最小年齢の記録を同時に更新したことでも話題を集めました。
Blue Originは2021年内に2回、2022年からは本格的に宇宙旅行の提供を行う計画です。
ジェフ・ベゾス氏とリチャード・ブランソン氏自らが宇宙旅行を体験したことで、ターゲット層へのPRはもちろんのこと、サービスの信頼性向上につながるのではないでしょうか。
7月11日には、同じく宇宙旅行ベンチャーのVirgin Galacticが、創業者を乗せたサブオービタル飛行に成功し、宇宙旅行が一気に現実味を帯びてきています。
一方、米国では、商業宇宙旅行に税金をかけようとする動きが広がっています。米国下院議員のアール・ブルーメナウアー氏は、法案「Securing Protections Against Carbon Emissions (SPACE) Tax Act(二酸化炭素排出に対する保護法)」の提出を予定していると言います。
ブルーメナウアー氏のオフィスは、声明文の中でこのように説明しています。
「普通のアメリカ人が航空券を買うときに税金を払うのと同じように、宇宙に行く億万長者も同じように税金を払うべきです。
宇宙のイノベーションに反対しているわけではありません。しかし、科学目的ではなく、純粋に観光や娯楽のために行われる宇宙飛行は、公共の利益を支えるものでなければなりません」
声明文によると、サブオービタル飛行による、乗客一人あたりの二酸化炭素排出量は、大西洋を横断する旅客機の60倍。本格的に宇宙旅行の提供を始める前に、環境への配慮や国際レジームの検討が注目されそうです。
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参考
Blue Origin safely launches four commercial astronauts to space and back