フィンランド発スタートアップAuroraがデブリ除去技術を実証へ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/8/16〜8/22】
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8月16日、フィンランドのスタートアップ企業Aurora Propulsion Technologies(以下Aurora)は、スペースデブリ除去技術を実証する衛星「AuroraSat-1」をRocket Lab(ロケットラボ)のライドシェアミッションで2021年第4四半期に打ち上げることを発表しました。
「AuroraSat-1」のミッションは、宇宙機の運用を終了する際に、安全に軌道から離脱させられる装置や、水を使った環境に害を及ぼさない推進器を実証することです。
もともと、「AuroraSat-1」はSpaceXのファルコン9とMomentusのロケットから放出された後に小型衛星を特定の軌道まで輸送するサービスを使って、2021年1月に打ち上げられる予定でした。ところが、Momentusが米連邦航空局(FAA)からの承認が得られなかったため、延期されたという経緯がありました。
※FAAによる商業打ち上げの承認については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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AuroraのCEOであるRoope Takala(ルーペ・タカラ)氏は、打ち上げ契約についてこのように語っています。
「打ち上げの計画が頓挫した後、当初の打ち上げ予定日からわずか3ヶ月で、打ち上げ枠を提供してくださったRocket Labを大いに評価しています。Rocket Labの迅速な対応のおかげで、2021年中に我々の技術を宇宙空間で実証し、開発をスケジュール通りに進められます」
なお、AuroraとMomentusは関係を強化する旨と2022年6月に次号機を打ち上げる計画を発表しています。
資金が限られているスタートアップ企業にとって、打ち上げ事業社の選択は重要です。複数の打ち上げチャネルを持つことが、衛星の運用や開発を遅らせないためのリスクヘッジとなりそうです。
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参考
Momentus Announces Move of Launch: AuroraSat-1 Launch Delays
Aurora Propulsion Technologies Expands Relationship with Momentus