NASAの有人月面探査車開発でIntuitive Machines、Lunar Outpost、Venturi Astrolabを選定【宇宙ビジネスニュース】
【2024年4月15日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
4月3日、NASAは有人月面探査車(lunar terrain vehicle、以下LTV)の開発契約をIntuitive Machines、Lunar Outpost、Venturi Astrolabの3社と締結したことを発表しました。
LTVは、アルテミス計画における5番目のミッションで、有人ミッションとしては4番目となる「アルテミスV」から使用される予定です。日本が開発中の有人与圧ローバーとは異なり、与圧されたキャビンはなく、宇宙飛行士は船外活動服を着て搭乗します。
LTVは電力管理や自律走行、最新の通信・ナビゲーションシステムが搭載されていて、宇宙飛行士たちによる月面探査や科学機器の輸送、サンプルの採取などに用いられます。さらに、宇宙飛行士が月面に滞在していないときは、LTVは必要に応じて遠隔操作されると言います。
NASAのLTVサービスプロジェクト契約は、2段階のフェーズで構成されていて、今回は第一段階にあたります。選定された3社は今後13年間にわたってタスクオーダーを授与される可能性があります。
2024年2月に民間初の月面着陸を成功させたことで知られるIntuitive Machinesは、今回の契約で、プライムコントラクターとして3000万ドルを獲得しました。BoeingやNorthrop Grummanを含むパートナー企業とともに、同社の月面着陸船Nova-Dを活かしてLTVを開発し、月面に配備する実現可能性ロードマップを策定するといいます。
Lunar OutpostがプライムコントラクターとなったLunar Dawnチームには、Lockheed Martin、General Motorsらが参加しています。大型の月面ローバー開発などを手がけるVenturi Astrolabは、Axiom SpaceとOdyssey Space ResearchともにLTVの開発を進めます。
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参考
NASA Selects Companies to Advance Moon Mobility for Artemis Missions