4県22自治体で衛星データを活用した農業行政効率化実証事業開始。LAND INSIGHTは2月にも業務負担30%の削減を実現
衛星データを活用した農業行政効率化実証事業を福島・宮城・茨城・栃木の4県22自治体で開始されました。その内容と期待される効果とは?
6月24日、INCLUSIVEの子会社で衛星データを活用して第一次産業などにおける地域課題を解決する事業を開発することを目的に2022年4月に設立されたLAND INSIGHTは、衛星データを活用した農業行政効率化実証事業を福島・宮城・茨城・栃木の4県22自治体で開始したことを発表しました。
同社は2024年2月に、福島県南相馬市と圃場整備の業務負担軽減を目的とした衛星データの利用実証で、現地作付け作物の確認作業(品目は飼料用米、イタリアンライグラス、大豆、小麦)を約30%削減し、コストを15%強削減する成果を上げています。
今回の実証に参加を発表しているのは以下の4県22自治体です。
・福島県:郡山市、いわき市、白河市、相馬市、田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯舘村
・宮城県:亘理町、山元町
・茨城県:高萩市、北茨城市
・栃木県:那須町
実証事業での具体的な取り組みとしては以下の4つを挙げています。
・人工衛星から得られたデータを解析して作付け作物を判定
・自治体による現地調査の結果と比較して判定の精度を評価
・判定精度に基づいて衛星を活用した調査費用を算定、費用対効果を評価
・各自治体の現地調査業務の現況やデジタル化の取り組みに関する調査と各自治体への共有を実施
上述の福島県南相馬市の実証成果のリリースによると、高齢化が進む中での作付け作物の確認作業は業務負荷が高いことに加えて、8月の暑い最中に実施されることから調査員の作業中の安全性(熱中症や脱水症のリスク)の管理という観点からも業務負担の作業が重要と考えられています。
少子高齢化が進み、地球温暖化が進む現代社会において衛星データを活用した様々な業務の人的工数削減は今後も期待されるところです。
また、リリースでは「現地調査結果を学習データとして活用し、解析手法を改善することで、判定精度の向上と解析対象作物の拡大を目指します」と今後の予定についても述べられていました。