Tellusのeラーニングに教材が新たに追加!Pythonを用いて学ぶ「OpenCV基礎」と分野毎「衛星データ解析事例」
2021年3月10日にTellusのeラーニング教材である「初心者向け Tellus 学習コース」に新たに追加された教材「OpenCVに関する基礎講座」と「応用編:地理空間情報解析について」の概要と、学べることの内容についてご紹介します。
2024年10月以降、「初心者向けTellus学習コース」、「Tellus Trainer」の提供は終了しました。
2021年3月10日(水)にTellusのeラーニング教材である「初心者向けTellus学習コース」に新たな教材が追加されました!
これまで公開していた教材内のLesson1~7までを「基礎編:Pythonの使い方について」とし、Lesson8として「OpenCVに関する基礎講座」、Lesson9~13として「応用編:地理空間情報解析について」を追加公開します。
今までの「初心者向けTellus学習コース」を受講し、さらに「Python」による衛星データ解析を学びたいと考えている中級者の方にオススメの内容となっています。
本記事では追加された「OpenCVに関する基礎講座」と「応用編:地理空間情報解析について」の概要と、学ぶことができる内容についてご紹介します。
1.Tellusが提供するeラーニングとは
Tellusでは、2019年度から衛星データを活用した解析ができる技術者を育成し、より多くの方にTellusを利用いただくこと目的として、2つのeラーニング教材を提供してきました。
ひとつは、「初心者向けTellus学習コース」で衛星データプラットフォームTellusの開発環境を利用する上で必要となる、プログラミング言語のPythonの基礎から、Pythonを用いた簡単な画像処理や衛星画像の加工、数値予測の方法などを学ぶことができるeラーニング教材です。
もう一つは、「Tellus Trainer」で、衛星データの基礎知識・フォーマットの理解から機械学習用のデータセット整備の方法、データサイエンス/AIの基礎知識、分析実践、衛星データに対する深層学習の適用方法まで一気通貫のスキルセットを学ぶことができるeラーニング教材となっています。
2つの教材は元々、受講期間を限定した公開をしていましたが、2020年5月に新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を見据え、より多くの方に受講いただけるよう、GitHubページにて公開を開始しました。また、無料公開の開始から約10ヵ月が経過した2021年3月現在までに、2万人を超えるユーザーの皆様に受講いただいております。
今回新たに開発された「OpenCVに関する基礎講座」と「応用編:地理空間情報解析について」は、上述した「初心者向けTellus学習コース」を受講された方からの「分野ごとの具体事例が欲しい」「衛星データ特有のライブラリの解説が聞きたい」という多くの声にお答えし開発されました。
「初心者向けTellus学習コース」の追加コンテンツとすることで、Pythonの基礎を学んだ方が、実践的な衛星データ解析の方法まで通して学ぶことができる内容となっています。
本教材を受講することによってPythonの使い方を学んだ方が、今後衛星データを利用する際にどんな利用が考えられるのかイメージできるようになるのではないかと思います。
2.追加された教材で学べること
今回追加された教材では、画像解析で利用されることが多いOpenCVに関する基礎講座と、衛星データの前処理から、農業・漁業・林業・防災の各分野を対象に、衛星データ解析の手法を事例とともに学習することができます。
なお、本教材は、オンラインプログラミングスクールを運営するキラメックス株式会社と、リモートセンシングに関する研究開発や人材育成等を行う一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の協力のもとで制作されております。
教材の内容は以下のとおりです。
Lesson8では、OpenCVとはそもそも何か?どのように扱うのか?といった基本的な部分から、機械学習などで役立つOpenCVのライブラリをPython上で利用できるようにする準備順義から、画像の色味の調整や加工の方法など基本的な活用方法を紹介しています。
Lesson9では、衛星データのような地理空間情報を含む画像を扱う際に、地理空間情報を考慮した加工が可能なライブラリであるGeospatial Data Abstraction Library(GDAL)の使い方をご紹介します。実際に、地球観測衛星「LANDSAT-8」が取得した観測データを利用してGDALライブラリによる衛星データの加工方法を学習します。
Lesson10~13では、農業分野、森林分野、漁業分野、防災分野とそれぞれテーマを分けてPythonを利用した衛星データ解析についてご紹介しています。
「農業分野」では、pyMODISを用いたMODIS衛星画像処理の方法と、gdal & numpy を用いた画像処理の方法、rasterstat を用いた画像における統計情報の取得を学ぶことができます。本章では具体的に茨城県全体を対象として、2007年から2017年までの10年間のMODISデータを解析して水稲の収量を予測する式を作成し米の収量予測にチャレンジします。
「森林分野」では、同じく茨城県の日立市を対象に、一般的に用いられている植生指標としてNDVIを衛星データから算出し、時系列に可視化させる方法を学んでいきます。植生指数は、森林から他の土地被覆に変化した場合だけでなく季節によっても変化します。そのため、時系列で森林を解析するためには、まず、対象となる地域における季節と植生指標との関係を確認することがとても重要です。ここでは、森林の植生指標の季節変化を可視化する方法を学習できます。
「漁業分野」では、衛星リモートセンシングによる海面水温のデータを用いて、Pythonの様々なライブラリを使った地理空間データのハンドリング・可視化について学んでいきます。また、rasterio 、EarthPyを使ったGeoTiffファイルの操作、matplotlib 、rasterio、Cartopy を組み合わせた衛星データの可視化、GeoPandas を使ったShapeファイル、GeoJSONファイルの操作についても学習することができます。
最後の「防災分野」では、Tellusの公式ツールで2時期の差分を解析する「TelluSAR」を用いた差分干渉解析方法から、差分干渉解析結果に基づく地殻変動の推定など、細かいレベルで学習することができます。
その他、2時期のSAR強度画像を用いたRGB疑似カラー合成画像による浸水範囲の推定(GDALを用いて実装、基礎分野を参照)や、2時期のSAR強度画像を用いたレベルスライス法による浸水範囲の推定(GDALとOGRを用いて実装)なども学ぶことができます。
ただし、本Lessonのみ、TelluSARを利用することからTellusの開発環境が必要となっておりますのでご注意ください。
3.まとめ・受講方法は?
Tellusのeラーニング教材である「初心者向けTellus学習コース」を受講いただいたユーザーのみなさんからのご要望にお応えし、新たに追加されたLesson8~13についてご紹介してきました。
いずれの教材も初心者の方でもわかりやすいように、具体例や具体的な処理・解析方法を記載しております。機械学習や衛星データ解析と聞くと「敷居が高い」「学習が難しすぎる」と思われがちですが、本教材を受講いただくことによって衛星データ解析への苦手意識も緩和されるのではないかと思われます。
受講方法は、以下のページにアクセスいただければどなたでも受講することができます。
開発環境は、Lesson13「防災での衛星データの使い方」以外はTellusの開発環境でなくとも、ローカルの開発環境で学ぶことができます。有料にはなりますがローカルの開発環境を用意する方法などもご紹介していますので、詳しくは以下のGitHubページをご覧ください。
▼初心者向けTellus学習コース
https://tellusxdp.github.io/start-python-with-tellus/index.html
「衛星データ解析をやってみたかったけれどなかなか手を出せずにいた」という方は、ぜひこの機会に「初心者向けTellus学習コース」を受講されてみてはいかがでしょうか。