スカパーJSATの衛星がSpaceXの「Starship」で2024年に打ち上げへ。開発状況や価格等を考慮し選定【宇宙ビジネスニュース】
【2022年8月26日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
8月18日、スカパーJSATが通信衛星「Superbird-9」をSpaceXの大型ロケット「Starship」で打ち上げることを発表しました。Starshipによる衛星の商用打ち上げ契約獲得が公になったのは、今回が初めてです。
通信衛星「Superbird-9」は、2008年に打ち上げられ、現在も運用が続けられている「Superbird-C2」の後継機です。
衛星バスは、エアバスが製造する「OneSat型衛星」を選定したことを2021年3月にスカパーJSATが発表していました。このOneSat型衛星の特徴は、搭載される通信機器がフルデジタル化されていて、宇宙空間においても自由に通信地域や伝送容量を変更できることです。Superbird-9の打ち上げは、2024年に予定されています。
スカパーJSATの担当者は、Starshipを選定した理由について
「弊社(スカパーJSAT)ではこれまで打ち上げサービスを調達する際には、価格・性能・スケジュール・実績などを考慮し選定してきました。
Superbird-9の打ち上げ時期である2024年は、各打ち上げサービスは現在開発中の新型ロケットがベースとなりますので各社の新型ロケットの開発状況、弊社が希望するタイミングで打ち上げられること、価格面などを考慮しSuperbird-9の打ち上げはSpaceX社のStarshipを選定いたしました」
と回答しました。
StarshipはSpaceXが開発中の大型ロケットで、同社のWebサイトでは「(ファルコンシリーズと比較して)打ち上げの限界費用は低くなるように設計されています」と紹介されています。
Starshipについては、ZOZO創業者の前澤友作氏らが搭乗し、月周回旅行を実施する予定であることが2018年に発表されたことでも話題になりました。
また、ベンチャーやスタートアップ企業に期待することをスカパーJSATに聞くと、このような回答がありました。
「日本だけに限らず、全世界で打ち上げサービスをビジネスとするスタートアップ企業が設立されていますが、打ち上げ実績を確立するまでの道のりは大変困難だと思います。
弊社の様な民間の衛星サービス事業者が、今後打ち上げサービス機会を柔軟に選べるように、是非スタートアップ企業にも頑張っていただきたいと思っております」
ベンチャー企業によるロケット開発には、老舗からスタートアップまで、さまざまな衛星事業者が注目しています。