宙畑 Sorabatake

Tellus

【SDGs×宇宙ビジネス】地方創生に向けて自治体の課題と宇宙産業にできること

世界規模の課題と定義されているSDGsに対し、日本の多くの企業もこの課題に取り組み始めています。どの課題に対して企業としてどのように取り組むか、ビジネスとイノベーションという視点でも注目されています。まだまだ解決しなくてはいけない課題が多い今だからこそ、宇宙産業にできることを見つけるチャンスかもしれません。

9月1日に開催した「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」のCLOSING EVENTでは、「Space Biz For SDGs×Tellus SDGsに対して宇宙産業ができることとは」と「Tellus SPACE xData Fes.-Online Weeks 2020-を受けて、これからのTellus」のトークセッション2本立てでした。

今回は、1本目の「Space Biz For SDGs×Tellus SDGsに対して宇宙産業ができることとは」の内容を紹介します。

持続可能な開発目標=SDGsとは、発展途上国のみならず、先進国も含むすべての国が取り組み持続可能な世界を目指す国際目標です。

発展途上国が抱える貧困や教育に関する問題の解決だけではなく、先進国を含め社会経済を発展させるために、多くの企業もSDGsと連動したビジネスに取り組み始めています。

また、今年改正された宇宙基本計画では、技術発展のほか民間企業との連携したビジネス創出も明記されることによって、SDGsを意識したビジネス創出が求められていくことが期待されるようになっていきます。

今回のトークセッションは、この「SDGsと宇宙産業」をテーマに以下の3名を登壇者に迎えてディスカッションをしていきます。

・慶應義塾大学 大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授 /
 宇宙政策委員会 基本政策部会 委員 白坂 成功 様
・一般社団法人SPACETIDE 代表理事 兼 CEO / A.T.カーニー株式会社 プリンシパル /
 宇宙政策委員会 基本政策部会 委員 石田 真康 様
・さくらインターネット株式会社 フェロー / 京都芸術大学クロステックデザイン教授
 小笠原 治

【本イベントのポイント】
・慈善事業ではなく利益を生み出す取り組みとしてのSDGsに宇宙産業も貢献するためにSpace Biz For SDGsという活動が立ち上がった

・今までビジネスを生み出すことがなかなかできなかった宇宙産業が、SDGsをテーマに他業界と一緒に取り組みやすいタイミングが来ている

・社会情勢としても地方創生に注目が集まっているなかで、衛星データは地上センサーが配置されてない地方を見るのに適している

・「宇宙」と言うと大きな課題をチャレンジしようとし過ぎている。小さな課題でもやってみることができるようにハードルを下げていく必要がある

1.Space Biz for SDGsとは?

司会:早速ですが「Space Biz For SDGs×Tellus SDGsに対して宇宙産業ができることとは」を始めてまいりたいと思います。

それではまず石田様より「Space Biz For SDGs」について、宇宙産業の方針をまとめた宇宙基本計画と今後の宇宙産業を見据えたSDGsに対する取り組みについてご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。

石田:石田です。皆さんよろしくお願いします。
「Space Biz For SDGs」という活動の背景を簡単にご説明したいと思います。

宇宙基本計画って、そもそも何かっていうと、日本の国としての宇宙開発戦略の全体像をまとめたものです。
国として10年、20年かけて中長期的にやっていく内容がこの宇宙基本計画にまとめられています。

石田:この宇宙基本計画というのが、去年の10月ぐらいから今年の6月ぐらいまで、8ヵ月か9ヵ月間かけて議論をしてきて、ちょうどそこに白坂先生と僕も参加をしていました。

宇宙基本計画をまとめるにあたって、宇宙産業全体のトレンドってどういったものがあるんだっていうのをまとめたのがこちらの大きく7個ぐらいですね。

これは日本だけではなくて、世界全体のトレンドとして、こういったことが起きているという議論になったものです。

石田:衛星データプラットフォームであるTellusの活動に関係あるところでいくと、2個目にある「社会の宇宙システムへの依存度の高まり」というのがありますけど、僕たちが普通に生活するにあたって、衛星のデータとか衛星技術っていうのは、気付かないだけでとても重要なものになっているという話ですね。

また、上から5個目にある、まさにさくらインターネットさんが宇宙ビジネスに入ってきたところに代表されるような、民間の活発化が起きているところですね。
こういったところが今回の宇宙基本計画を検討する中でも、だいぶ議論はされてきました。

その宇宙基本計画の中、日本の宇宙政策の目標とは?というのが改めて定義をされたんですが、一言で言うと「多様な国益への貢献」となっています。

宇宙ってなんとなく「ワクワクする」とか、「夢がある」という、僕もそういう側面が大好きで、当然いいことではありますが、やはり政策目標で言うと、やっぱり役に立つものでないといけない。
そして、国の役に立つっていったいどういうことかというのを定義したものが4つあります。

石田:1個目が、まず「安全保障」が大きなことですね。
昨今、国際情勢が非常に難しくなってきている中で、宇宙は安全保障の役に立つのが1個目です。

今回の話に関係あるのが、2個目とか4個目なんですけれども、2個目にあるのは、「災害対策・国土強靭化」と「地球規模課題への解決」となっています。

これはここ数年、非常に耳にするようになったかなと思います。
3個目は、まさに宇宙開発といえる地球外の探査に関するところですが、4つ目がけっこう面白いですよね。経済成長とイノベーションに宇宙が貢献しましょうとなっています。

ここで言っている経済成長っていうのは宇宙産業が大きくなることではなくて、日本のGDPが成長していく、あるいはより新しいサービスとかビジネスが生まれていくのに宇宙が貢献しましょうと定義をされています。

その中で、白坂先生と僕とか、周りのメンバーとみんなで議論してきたのが、改めて今までできている宇宙ビジネス、日本だと宇宙ベンチャーと言われる40社か50社ぐらい、さくらインターネットさんのように他の業界から参入してきている100社くらいある会社にがどのように貢献していけるかです。

石田:各社が取り組んでいることを見てみると、衛星とかロボットとか、食とか、エンターテインメントとか、1個1個が全部ワクワクすることなんですけど、こういった宇宙ビジネスの取り組みが、実はいろいろな社会経済課題の解決に役立つんじゃないのかと思っています。

もうまさにこの社会経済課題の解決っていうのを大きく目標立てて、もっと宇宙ビジネスって役立っていくというのを1つの大きな流れにしていくと、もっともっとこの業界の市場が広がるんじゃないのかなと思うんですね。

そういったところから、この「Space Biz For SDGs」を考えていきました。

石田:SDGsだけではなくて、第四次産業革命で言うIndustry4.0とか、日本の将来の社会像でいくと今Society5.0という政府が掲げている大きな目標があります。

ただ、宇宙技術で直接的にSDGsやSociety5.0に貢献できることって限られていて、大事なのは他の技術とか他の分野とつながりながら貢献をしていくことになります。

宙畑メモ
「Society5.0」とは、経済発展と社会的課題の解決を両立するために、科学技術基本計画に制定されている政策。
IoT(Internet of Things)などで全ての人とモノをつなげ、仮想空間と現実空間を融合し、今までにないイノベーションを生み出ししていくことを目標としています。
参考:内閣府ホームページ「Society 5.0とは」

石田:そして、今回活動として立ち上たのが「Space Biz For SDGs」です。

宇宙ビジネスを起点にいろいろな社会経済課題を解決させていくために、官と民が連携してものごとを動かしていけないかと考えています。

大事なのは「Biz」っていうところが赤くなっているのが魂がこもっているところです。

やっぱり社会課題を解決するのって、なんとなくCSRとか慈善事業っていう形で捉えられる節があるんですけれども、これからは本業をやりながらその結果として経済活動、社会活動両方を生んでいくっていうのが求められていくことになります。

そういった企業の取り組みで企業価値が高まっていく時代で、最も大事なのが、事業者が中心であるというのが何よりも大きな位置づけであります。

ただ事業者だけだとできること、できないことがあるので、宇宙側の政策っていうのを考えていく政府機関とか、SDGsの政策を作っていく政府機関の方々にも入っていただいています。

あと、新しい市場ができたあとに、新しい資本が流入していくっていうのがすごく大事です。

実は世界的に見ると日本ってそんなにまだSDGsなどに対する事業が進んでいないところもあって、機関投資家とか民間のVCさんとか、政府ファンドの資金の流れも、こういった活動をきっかけに変わっていく流れができるといいかなと思っています。

やっぱりこういった活動をやるからには、日本列島だけに閉じていても、あまり大きなビジネスにならないので、日本だけではなくて、アジア太平洋と夢は大きく、この市場を捉えながらやっていきたいなと思っています。

この活動の中で、ビジネスアイディアを考えていくだけではなくて、需要を作っていきたいと思っています。

本当の需要を作って、その結果として資本が流れていく、それを促すために政策が連携していくことができるように今回この活動を立ち上げて、これから頑張って中身を埋めていかなきゃいけないというところです。

2.地方創生における宇宙産業の役割について

司会:ありがとうございました。

このあとは、SDGsでまとめられているさまざまな課題の中でも、「地方創生について、宇宙産業の役割ができることは何があるか?」というテーマでディスカッションをしていただきたいというふうに考えております。

よろしくお願いいたします。

白坂:慶応大学の白坂と申します。
一緒に石田さんとSDGsのやつを立ち上げたので、私からもなんでこれをやろうとしたのかをちょっとだけご説明します。

大学、大学院も宇宙の研究室を出て、そのまま三菱電機で人工衛星の開発をずっとやってきたので、もう完全に宇宙産業側の人間です。

私も「Biz」にすごい想いがあるんですけど、宇宙業界の人間ってよく「宇宙ってこんなことにも役に立つとか、あんなことにも役に立つ」と言うんですよね。

でも、その中で本当に回っているものってごくごく一部で、あれもこれもできますと言うわりには、現実的に「じゃあどこまでそれが社会のために立っているの?」「それが継続的にやられているの?」って言うとけっこう疑問なんですね。

東北の震災があったときにも、「日本の人工衛星ってどれだけ役に立ったの?」「どれだけ人の命救ったの?」という指摘に対して、我々ずっと宇宙業界の人間は、「災害が起きた後に役に立つんです」と言い続けていたんですね。

じゃあ日本の人工衛星が初動でどれぐらい役に立ったかって言うと、やっぱり活用しきれていないというか、活用できる状態にもっていけていなかったんですよね。

なので、なんとか我々としても、国からお金をもらって生きるだけではなくて、ちゃんと社会に価値を還元していかないといけないと思っていて、それを継続的にやろうと思うと、もうビジネスで回すしかないです。

SDGsであっても石田さんが言ったみたいにちゃんと利益が出て、その利益で次が回っていくという仕組みにしないと、本当に役に立つものにならない。

まさにSpace Biz for SDGsというところに、私も「それしかない」と思って、石田さんと最初の段階からお話させていただいています。

宇宙業界の人間は、同じような想いを持ちながらもなかなかうまくできていないところに歯痒い思いがありまして、やっぱり他業界と組むしかないんですよ。

宇宙業界の人間だけでいくら考えたってやっぱりダメで、他の技術との掛け合わせや、いろいろな業界と組み合わせて初めて価値に転換できるはずです。

そういったときに、こういった枠組みというものが役に立つはずだという認識のもと、参加したという形になります。

小笠原:宇宙に関わっている方って、すごくピュアな方、いい人が多いですよね。

石田:めちゃくちゃ多いですね。

小笠原:ただそれが事業を立ち上げるときって、すごい馬力が必要なのに、いい人だと馬力が出し切れないとか、予算は取れるんだけど、ガッと広げるところがやりづらいとかどうしてもあるように思います。

宇宙の研究って本当はもっと遊びの枠があって、仮説を立てる想像領域があって、失敗しても研究なんだからそれは失敗するよね、という前提でやるんですけど、事業になったら途端に「失敗しないようにちゃんとやらなきゃ」ってすごくいい人モードになる方が多いなと思っていいました。

事業も同じように「失敗する可能性もある」のは当然で、本当は研究とかと一緒なんだけどなと思っていたところに、今回石田さんからSpace Biz for SDGsをやりますっていうことだったんで、すぐ手を挙げちゃったんです。

宇宙業界の皆さんが思っている想いとか、そういうのがちゃんと役に立つよっていうところまで持っていきたいですよね。

石田:「宇宙とSDGs」「宇宙と地球規模課題」っていうことだけだと、たぶんこれは20年前ぐらいからずっと宇宙業界は取り組んできていているんですよね。

けどこれは僕は良し悪しがあると思っていて、各国が持っている政府の衛星データとかアセットをお互いに交換して、国の発展とかお互い助け合うとやってきたこと自体はすごい素晴らしいことだと思うんです。

でもビジネスとして回していないがゆえに、付加価値を突き詰めきれていないと思うんですよね。

ビジネスってやろうとすると、やっぱりコストが出てくるから利益を生まなきゃいけない。
ビジネスという意味合いが付いたことによって、宇宙業界にとっては昔からやっているようで新しいチャレンジなんじゃないのかなという気がしています。

白坂:確かに昔から国の衛星を使ったSDGs的なアクティビティってけっこう多いですよね。

貧困地域を見つけ出してそこに対策を打とうとか、あるいはマラリアの発生するところを見つけようというのを衛星データを使って調べたり、森林の違法伐採を見たりとかはずっとやってきたわけです。

でも結局、皆さんおっしゃるとおり、純粋にそれをやっているんですけど、今度はビジネスにしようっていうのと、宇宙のテクノロジーを使おうっていう、両方をやらなきゃいけないじゃないですか。

ここの掛け算をやるためには、やっぱりいろいろな人たちと組んでいくしかなくて、なのでそこをうまく持って行きたいなと思っているんですよね。

小笠原:きっかけとしてもSDGsって、なんとなく皆さんに伝わる言葉になってきたこのタイミングだからこそっていうのもありますよね。

さっきのマラリアとか、例えば山火事とかでもいいんですけど、個別事象に対してはあったんですけど、持続性というところでSDGsっていう全体の枠に対して取り組まなきゃいけなくなってきていると思います。
今のタイミングで、宇宙産業の役割を考えるってすごくいいタイミングだと思うんですよね。

石田:SDGsの中でも「地方創生」っていうキーワードはすごくいいような気がしています。

2つの意味があると思っていて、もともとやっぱり宇宙って、都市部よりは都市部から離れたいろいろなものが届かないエリアになっていくと、たぶん地上のインフラに投資するよりも、やっぱり空のインフラに投資したほうがたぶん投資効率って絶対上がっていく。

そういう意味では、かつてからずっと地方とか、新興国とか、貧困地域とかでたぶん衛星技術って使われてきたという相性の良さが1つあると思います。

あとはコロナの影響でで、人々の生活のスタイルが本当に大きく変わっていく中で、都市の変化もあるとは思うんですけど、近郊とか地方における新しい生活のあり方みたいなのがちょうど今、議論がすごいホットになっているタイミングだと思います。

地方に新しい市場というか経済が生まれていくという意味で、僕はこの掛け合わせはいいんじゃないのかなという気がしています。

白坂:タイミングがいいのと、あと宇宙業界って実はニーズとシーズのマッチングを昔からずっとやっているんですよ。

ニーズを持っている人と、シーズ=宇宙業界側でマッチングするんですけど、うまくいかないんですね。

でも、SDGsがすごくいいのは、ある意味ターゲットを設定してくれているので、例えば「地方創生」って言ったときには、我々は行くところは東京都ではないとなると思います。

どのへんのステークホルダーを掘ればいいのか、全世界のすべての人ではなくて、「地方創生」という切り口で話す相手は誰なんだろうと考えやすくなります。

なので、ゴールとステークホルダーをセットで用意してくれて選びやすくしてくれているというのは、宇宙業界側のシーズを持っている人間が、ニーズを探そうっていうときに、すごくいい切り口でテーマ設定しやすいなと思っているんです。

小笠原:できることは何があるのかをやっと探せるというか、このSDGsというキーワードによって、ターゲティングできるタイミングに来ることができましたよね。

石田:本当にそう思います。

3.地方自治体が抱える課題

司会:ありがとうございます。
実は今回、トークセッションを開催するにあたり、さくらインターネットでつながりのある3つの自治体様に事前アンケートを取らせていただいております。

アンケートの内容は、以下の4つでした。

・地方創生に取り組む中で課題に感じていることはありますか?
・課題解決をするためにどのようなことが必要と考えていますか?
・今までに衛星データの利用を検討したことはありますか?
・もし利用されていない場合、理由があれば教えてください。

ご協力をいただいた自治体の皆様ありがとうございました。
ここからは、このアンケート結果に基づいて、改めてディスカッションいただければと思います。

衛星は人が測りに行けないところも、点ではなく面でとらえることができるIoTセンサー

小笠原:地方創生に取り組む中で、各行政が課題に感じていることということですが、人口減少は衛星ではたぶんなんともできないので、「人口が減少したときに役に立つこと」みたいな感じの問いに変えたほうがいいですね。

白坂:人口減少という課題に対して、人工衛星を使って人口増やせと言われてもなかなか単純にはいかないですね。

まさに小笠原さんおっしゃったみたいに、人口減少の解決策って、人口を増やすことっていうのは直接的な解決方法ですけど、結局なんで人口減少が課題かっていうところですよね。

例えば、人口が減少すると住民税の財源が減るんですと言うんだったら、じゃあ財源が減ったら何が課題かって、収入と支出のバランスが合わないんですという話であれば、今度は支出側を減らすという手段でもいいはずです。

なので、人口の減少を止めなきゃいけないという解とは限らないとすると、支出を減らすのであれば効率化とか、あるいは少ない人数で回せるようにするってことであれば、人工衛星は活用できる可能性ありますよね。

例えば人口減少を課題と回答していただいている石狩市だと、けっこう市の範囲が広いと思うので、「森林を管理しなきゃいけない。でも全部見に行けない」という課題をお持ちだとしたら、人工衛星を使って遠隔で見ることができると思います。

ほかにも、道路が広く広がっているのをメンテナンスしなきゃいけないっていうんだったら、合成開口レーダーとかを使うと地面のミリ単位の変動を求めることができるので、その変動幅が大きいところを目途に見に行って本当にメンテナンスの必要があるかどうかの優先度をつけることができそうです。

そういう人数が少なくても回せるように、効率化をするためにデータを使う。その使うデータが人工衛星のデータであるみたいなのはできそうですよね。

小笠原:基本的には人口の減少は、今から増やしたところで少なくとも15年~20年は労働人口が増えないので、その間にできることと考えたとしてもやっぱり効率化ですよね。

最近デジタルトランスフォーメーション(DX)化という言葉も出てきていますが、DX化というのはそもそもいろいろな情報をデータ化するところが重要だと思っているので、そのデータの1つとして衛星データというのは十分活かしていけるはずです。

IoTという点のデータと、衛星データの面のデータみたいなところを合致していくっていうのはコストパフォーマンス的にもいいように思いますよね。

白坂:さっきの道路とか橋でもいいんですけど、ちょっと地盤がズレているっていうのは、測ろうと思うと点で測るしかないですよね。

でも道路って面なので、その途中がどうなっているのかも重要です。
川もそうですけど増水も点で測っていると、測った点のところがどうなっているかはわかるけど、測ってる点の途中で川の底になにかあったことによって流れが変わってるかもしれないという可能性もあります。
点ではなく面でちゃんと見ようとすると衛星っていうのはすごく役に立てると思いますね。

観測衛星における人工衛星って所詮、IoTのセンサーが宇宙にあるだけですよね。

宇宙に飛んでいるIoTセンサーだと思ってもらえれば、それが点じゃなくて、動いているんで面で見られるんだと思ってもっとみんないろいろ使ってもらえないですかね。

小笠原:本当にそうですよね。
今、宇宙も結局インターネットつながっていっているじゃないですか。そういう意味では、まさにInternet of Thingsそのままですよね。

白坂:ちょっと高いかもしれませんけど、一緒です。地上センサーと。

小笠原:例えば沖縄にしても石狩市にしても、海に面していますが、海上のデータを取ろうとすると、地上のIoTってやりにくいわけで、だったら宇宙からのIoTでデータを取る方法がありますと言えますね。

今思い出したんですけど、Tellusの最初に、委員会に呼んでいただいたのって、まさに「IoTをやられていますよね。衛星も、いわゆるセンサーなんです」と言われました。

今なら宇宙空間でインターネットにつながり始めているので、IoTの1つと見てもらうというのはわかりやすいかもしれないですね。

一次産業で利用が進む衛星データ

石田:3自治体の共通で見るとやっぱり雇用の確保と地域経済牽引事業、やっぱり経済に関するのところが多いですよね。

僕は、過去4年間ぐらい内閣府さんがやっている衛星データの利用実証の委員をやって、全国津々浦々からいろいろな応募があるのを見ているんですけど、やっぱり一次産業と衛星の掛け合わせを考えていらっしゃる方はすごく増えてきているような気がしています。

農業分野で作物の発育状況がわかるっていうのは、もう30年ぐらい前からやられている話ですけど、農業だけじゃなくて林業も増えているし、あとはやっぱり漁業ですね。

漁業と衛星データの掛け合わせ、衛星技術の掛け合わせを考えているアイディアってここ最近増えているなと思ってますし、あとは鉱業とかの安全確保にデータを使うとかというのもあります。

地方の経済って一次産業が重要だと思うので、レベルアップと言うとちょっとおこがましいんですけど、さっき小笠原さんが言ったように生産労働人口が減っていく中でどういうふうに効率的にやっていくかというところで役に立てると思います。

5年くらい前の講演で伊藤園さんがいらっしゃって、茶葉を摘むタイミングを衛星のデータで判断できるかみたいなところの研究を発表されていました。

匠と言われる人でしか判定ができないものをどう形式化していくのかという取り組みの中で、さっきおっしゃられたDXとかIoTの中に衛星で見てみるとどうかという議論が入っていくという感じでした。

小笠原:確か、ここ何十年かで農業従事者って1,200万人から200万人ぐらいにまで減っているんですよね。5分の1から6分の1ぐらいになってしまっている。

それだけ労働人口が減った業界で、生産量を上げていこうと思うと、ちょっと効率よくなったくらいではダメで、人間がやらなくていいことは全くやらないくらいの変化をしないといけない。

そのためにはどうしたらいいかって考えると、やっぱりデータドリブンにやっていくしかないのかなと思っているので、一次産業は特に農業、あと漁業なんかと衛星データの組み合わせというのはめちゃくちゃいいと思っていますね。

ニーズとシーズを繋げるアイディアが必要

白坂:別の質問で「衛星データの利用を検討したことありますか?」とか「利用されていない理由を教えてください」と聞いていますが、まあ普通ないなと思います。

小笠原:わからないですもんね。

白坂:そうなんですよ、わからないんですよ。
我々、宇宙業界側も良くないところもあったのかもしれないですけれど、衛星データを見せて「何かに使いますか?」って言って絶対誰も使えるって言えないはずですよね。

「データ」と「情報」という言葉を意図的に使い分けしますが、単なる「データ」を見せてもやっぱりそこからどんな「情報」が捉えられて、それを自分たちの何に使えるかなんていうのは簡単に分かるはずがない。

石田さんにも内閣府の委員会では、「ニーズとシーズが遠いんだ」ということを言っていただいたんですけど、結局は衛星データから得られる単体の情報だけではなくて、それと何かを組み合わせるとさらにこんな情報になるとか、その情報がわかるとこんなことがわかるというように情報を転換していきながら、そこでニーズとのマッチングをする必要がありますよね。

オービタルインサイトのすごく有名な石油の備蓄量を推定する事例も同じですね。
石油の備蓄タンクって中身に応じて屋根が上がり下がりするんですけど、そうすると下がっていっているときの影の大きさを捉えると、影の面積から高さがどれぐらい下がっているかがわかるので、それを毎日比較していくと、どれぐらい石油が残っているかがわかるっていう理論ですが、写真を見せられた人がいきなりそこには到達できるわけがない。

人工衛星で「写真を宇宙から見られますよ」って言われたときに「だったら、この備蓄タンクの影がわかるから、そこから高さがわかって、それを毎日見ると変動わかるから、それ石油の予測ができるんじゃないの」みたいな、そんなステップがいきなり頭の中でつながる天才はいないわけですよね。

単純にすぐに使えるデータなんて、もうみんな世界中で考えていて、考え終わって使われていたり、役に立つんだったら広まっていたり、そこで戦おうとすると競合は多いはずです。

そうじゃなくて、データからわかることをを変換していくと何がわかるのか、さらにどんな価値につながっていくか、どんな課題が解決できるかっていうところに持っていかないと勝てないですよね。

小笠原:これ本当にそうで、データっていろいろなことを考えている方、特にそのデータだけに固執していない方が、いろいろなアイディアを出さないといけないんです。

例えば、今アフェリエイトってインターネットの世界では当たり前に使われていますが、これって誰かが紹介してくれたら、その紹介で来てくれた人が誰かわかって、それによってどの商品が買われたかわかって、それによってアフェリエイトという形で報酬が払われますって仕組みですけど、データからパッと思いついたわけじゃないと思うんですよね。

僕ら世代は覚えていると思いますけど、最初インターネットを触わりはじめたころって、Yahooって人力でURL集めてきて、このサイトはどのジャンルだって手動で分けていましたよね。

だからデータというより、みんなの作業の成果で、URLをクローリングしてデータとして持って、それを独自のページランクと言って、URLに意味を持たせた会社が今世界でも有数な会社の1つになっているんですよね。

なので、衛星データってどんなものがあるかを知ってもらう、それをすぐに触れるという状況を作るだけで、大化けすると思っているんですよね。

要するに、このQ4の「利用されていない」って、結局「わからないから」ということを言われているという話だと思っていて、だから触れられるようにしないといけない。
かつ、それをSDGsというテーマに対して何かを考えて見てもらいたいと思っています。

地方で労働力が減って、今まで日本の食料自給率を支えてきたような林業、農業とか、そういうところがこのまま行ったらどうなるか?という、もうわかりきっている課題がある。
その課題にチャレンジするって、すごいわかりやすくていいですよね。この答えを見てそんなことを思っていました。

白坂:小笠原さんのイメージではすごく大きいチャンスがあるはずだというイメージですよね。

小笠原:はい、めちゃめちゃ思っています。

白坂:SDGsというテーマがあり、地方創生に課題があるってわかっている人たちもいっぱいいて、その課題いかにつなげていくかさえ考えついてしまえばいいということですね。

小笠原:日本の地方創生ができると、SDGsという文脈で、アジアの地方創生に日本の衛星は関われるんじゃないのか、けっこうマーケットでかいなと思っているのもポイントの1つだったりします。

もう宇宙は夢として困るところではない

白坂:確かに今の衛星ビジネスって昔インターネットの創成期に近いというか、インターネットビジネスが広がり始めた時期にすごく近いとおっしゃる方が多いですよね。

小笠原:実は僕、もう1つ前かもしれないと思っています。
インターネットの創成期というかAppleとかが出てきたようなパソコンの時代かなと。

今はまだ衛星自体が昔の大型コンピューターみたいなもので、作るのも打ち上げるのもけっこう大変だけど、超小型が出てきて、パソコンみたいなイメージになってきている感覚ですね。

でも前提としてインターネットがある。使いやすいものがあるから産業にも結びついておもしろいと思うんですよね。

課題と向き合いやすいというか、ここまでに来るまで宇宙業界の方々の多大な努力というのがあってというのは理解しているんですけど、今ちょうどいろんな人に使ってもらえるようになる変革期だなと思っています。

白坂:そういう人に入ってきてもらわないといけないですね。
私はもともと宇宙って子供の頃から好きだったから、どちらかと言うとワクワクとか、そういう「夢」を感じてで業界に来ているじゃないですか。

でも最近、宇宙のビジネス系の紹介をするときに、「いやぁ、夢がありますね」と言われるとちょっとムッとするんですよ。

もうそこじゃない。夢というところでは困っていない。その先で困っているといつも思うんです。

なので、「夢がありますね」と思っている人に、夢があるといったふわふわしたものではなく「これはもうビジネスチャンスが山のようにある」と現実的なものとわかってもらえるように必死で説いているんですけどね。
死ぬほどビジネスチャンスがあるんですという説明をやったあとに「いやぁ、宇宙ビジネス、夢がありますね」と言われちゃうんですね、やっぱり。

小笠原:私は白坂さんの話を聞いていて夢だと感じたことはなくて「そっちいかれるんですね」という感じでしたね。

ただけっこう険しい道。単に険しい道というか、これを乗り越えたらすごいと、もうわかっているみたいなタイミングなんだなと感じていましたね。

石田:僕も宇宙に関わるようになって5年とか6年ですけど、やっぱり作り手側の産業だったんですよね。

宇宙に行くのがとにかく大変だから、宇宙産業の人たちってみんな結局は物理法則と重力と戦ってきて、それが今でもコストになっている面もあると思います。

だけどそういうのがだんだん変わってきていて、お客さんサイドの声がこの業界を牽引するようになりつつあると思っています。

僕もSPACETIDEという宇宙ビジネスカンファレンスを主催する立場でいつも思うんですけど、宇宙をやっている側がパネリストに立って、さっき先生が言ったように「なんでもできます」「いろいろなことができます」みたいなことを言うパネルが多いんですよね。

そろそろ逆のパネルをやったほうがいいんじゃないかと思っていて、3~4年前にアメリカで見たパネルが本当に面白かったんですけど、衛星データをちょっと使っているぐらいのユーザーがパネルに立つんです。
衛星作っている側とか衛星データを売っている側がオーディエンス側に座らされているんですよね。

ユーザーが宇宙業界に「これが使いにくい、あれが使いにくい」「なんでもできるって言うけど、こんなこともできないだろう」とか、すごい実践的な課題を言っていくんです。

実ビジネスとはいえ議論はすごく地味で、ものすごく意味あるパネルなんですけど、人気は出ないのでカンファレンスはなくなっちゃったんですよね。

なくなってしまいましたけど、そろそろこういう議論をするステージに来ている気がしていて、やっぱり作り手側が「いろいろできる」と言うよりは、お客さんが抱えている課題というのをもっともっと聞き出しながら、むしろ作り手側がもっと耳を傾けて、接点を見出していくというステージに行く必要がある気がしますよね。

大きいお金ではなく、小さくていいのでいろいろやってみる

小笠原:宇宙ビジネスの今をネット業界に例える人が多いところですごくよく理解できるのが、やっぱり当時30年前とか25年前のインターネット業界って「わからない」ってよく言われていたんですよね。

例えば、さくらインターネットでも「サーバー貸します」って、借りたい人がいるだろうけど、そんなに市場がスケールするなんてその当時は思っていないのに、うちの田中はそれで起業しているわけですよ。

だって当時「ネットにクレジットカード番号入れるなんて」とかありえなかった時代でしたからね。
例えば、DMMは20年前に動画配信サイトとしてできていますが、あのとき、たぶん周りはあり得ないと思っていたと思います。

でもやっぱりそこに張る人が今も徐々に増えてきて、産業化できそうな気が実感としてはあります。
わからないからやるんだというのが許容される土台がちょっとできてきた気が、今宇宙系に関わっていて思いますね。

みんながわかることをやってもしょうがないんですよね、こういうときって。みんながわかって評価されて「よくできました」「すごい」って言われても、何も産業なんて生まれないんです。

白坂:みんなが分かるようなものって、もうすでにいろいろな人が入り込もうとしていたりしますよね。

小笠原:それよりも、ある仮説に対して1つなにか望みがあるかもしれないということに賭けて挑戦してみる。そこにリスクマネーが入ってくる。

100やったときに1つでも2つでもうまくいって、それが結果として1,000とか10,000につながるっていうのは、それがいわゆるネット業界の初期と似ていると言われるポイントだと思っています。

農業でも漁業でも地方創生でも、とにかくいろいろな施策をやるべきなんですよ。

大きいお金じゃなくて、小さいお金をたくさん作って。とにかくこういう仮説があるんじゃないか、というのをしっかりやる。
そのときに仮説の実証とか、その仮説において大事なポイントとしての面のデータというのが衛星データですよね。

石田:そうやって考えると、これ今Q3が皆さん「いいえ」になっているじゃないですか。
これってパッと見ると「いいえ」って残念に思うのかもしれないですけど、裏を返すとこれだけポテンシャルがあるって話だなと思いました。

あとは宇宙ビジネスの熱気をここ数年感じる一方で、意外と東京とか首都中心なのかなという気がしたんですよね。

宇宙にいる人工衛星のデータが地上に返ってきてつながるからこそ衛星って意味があると思います。

でも、返ってきた地上との接点が経済価値を生んでいるかということを考えたときに、ビジネスの機運をつくるという意味では東京はすごい大事だとは思うんですけど、それって東京のような経済の中心地だけに返ってくるとかっていうよりは、実際の現場に経済価値が生まれるとすると、むしろ地域とか地方のところにたぶん可能性があるはずなんですよね。

東京で感じる熱気と理解と、こういったアンケートの間にギャップがあるっていうのは、裏を返すとものすごいチャンスがあるという感じがちょっとしました。

小笠原:ポテンシャルですよね。

石田:むしろこれが全員「はい」になっていて使われていないほうがよっぽど悲しいわけであって。

小笠原:「はい」になっていて今のような状態だったら、ちょっとやめておこうかって感じになりますね。

石田:だからそこのギャップをちゃんと埋めにいかなきゃいけない。そういうコンソーシアムとかあってもいいですよね。

小笠原「宇宙」「衛星」って言うと、みんな大きい課題にチャレンジしようとしすぎている気がしています。

もっとわかりやすい「WebサイトでECを1店舗作りました」ぐらいのライトなものであっていいと思っているんですよね。

最近ネット業界の流れで言うとノーコードといった、プログラマーじゃなくて一定サービスアプリのプロットだったり、初期段階ぐらいなら作れちゃうようなものがでてきているという流れがあるので、できればノーコードと衛星データとか地方とかをつなげられると、チャレンジする人が増えるんじゃないかなとと思っています。

白坂:ハードルを下げて行かないといけないですね。
まさに衛星データの処理ってめちゃめちゃ大変なので、衛星データ処理をやらなきゃいけないと言った瞬間に、もうほとんどの人は触ってくれないですよね。

小笠原:そうですよね。だからそれこそZapierとかAdaloとかAPPSHEETとか、ああいうのにTellusがあって、選ぶとデータを持ってこれるようになっていてサンプルでテンプレがあったりすると、自分の家の周りが地盤沈下していないかどうか見られるアプリを作ろうとかなったりしやすくなると思います。

白坂:例えばどこに住もうかを考えるときには必ず見るとか普通にあってもおかしくないですよね。

石田:防災マップとかって見ますよね、実際。

小笠原:見ますよね。
例えば、僕が引っ越すときに、不動産のデータと、植生データで杉が周り5キロ圏内にないところに住みたいとかって言えたりしてもいいじゃないですか。

そういうのが作れる状況を作れば、こうやって行政の方たちにも提案をする人が出てくると思います。

石田:確かに小笠原さんのおっしゃるように大物を狙い過ぎているのかもしれないですね。こういう利用の出口を探そうとしたときに。

小笠原:90年代だって「インターネットで国のシステム作ろう」なんてみんな言っていなかったので、もっと身近な下世話なことでいいと思うんですけどね。

石田:それは確かにそうかもな。

小笠原:利用される後ろには、データを取るために衛星がしっかり地球にデータを返してこれるシステムが必要ですが、そこは今まで通り専門の人が頑張ればいい。

今までの宇宙村の確固たる技術だったり、正確さだったり、いろいろな国との協力関係、パートナーシップだったりということでいいと思うんですよね。

4.今後の意気込み

司会:時間になりましたので、最後に改めて一言ずついただければと考えております。
まず白坂先生からお願いをしてもよろしいでしょうか。

白坂:今の宇宙業界って本当に、これまで技術の世界だったものが、利用側に大きく舵を切り始めたタイミングなんですよね。

先ほどからずっと議論があるように、利用側に行ったときに我々宇宙業界にいた人間ってどっちかというとシーズ側から来ているので、ニーズ側がつかめないというのがある。

そういったときに、でもSDGsってニーズに対するゴールを設定してくれている。世界中この課題で困っているというゴールを設定してくれています。

ビジネスのターゲットとして最適なものがもう世の中にあるので、皆さんがこの業界に「このニーズの人たちだったら自分がつかめる」とか「自分がコンタクトできる」とか「自分の周りにいる」とか「自分だ」とか言う人たちが間に入ってくれて、衛星側のシーズと、そのニーズ側の間を埋めるというのをやっていけば、SDGsはグローバルですからね、日本だけの課題でもないので、世界中でそれを使うようにもっていけるというチャンスなんですね。

なので、是非宇宙業界に、宇宙のビジネスの業界のほうに興味を持ってもらって、何かできるんじゃないかなというのを少しでも考えてもらえれば、もしかすると皆さんも大化けする会社をつくれるかもしれないです。

さらに言うとSDGsってその大化けする会社でうまく価値を提供できると、世界中で困っている人たちの課題を解決できるんですよね。

なのでやっぱりこれもすごく大きくて、世界の人たちの役に立つという、これを連立できるすごくいいチャンスなので、是非このSDGs×Spaceというのを皆さんも自分ごとに捉えてみてもらって、「俺だったらこのSDGsのゴールいけるかも」という見方で入ってみてもらえればと思います。

是非これからもこの宇宙の分野を見捨てずに、皆さんもコンタクトしてください。

以上です。ありがとうございました。

司会:先生ありがとうございました。続きまして石田さん、よろしくお願いします。

石田:僕も自分でカンファレンスをやっているし、Tellusさんでもプラットフォームをやっているから、僕はやっぱり宇宙側と逆の視点でのパネルディスカッションとかどんどんやりたいですね。

全く使ったことがない人だと議論もできないから、ちょっと使ったことある人がたぶん1番良くて、何が使いにくかったとか、ちゃんと聞いていくところから、次の一歩行けるような気がします。

そこで確かに一歩でも先に突破できると、白坂先生が言ったようにSDGsって、とにもかくにも1番いいのは世界共通言語であることだと思うので、どの国の人でも理解されるし、別に宇宙に興味ない人でもみんな知っている言語になっているから、宇宙が役立つことができたら可能性が広がっていくと思います。

そして、間違いなく人間社会にとって良いことにもなっていくと思うし、企業の価値だって上がってしかるべきだと思うんですよね。

多くの人と議論をしながら、これを考えていかなきゃいけないと思うので、まだなんのWebページもなく、この「Space Biz For SDGs」の活動はできていないんですけど、頑張ってPR活動をしていくので、ちょっとでも使って何か不満がある人がいたらむしろ全部教えてください。

それをどんどん投げ込んでいただいて、それを白坂先生と小笠原さんが解決してくれるはずです。

本当にそれを投げ込んでもらえないと、僕たちやっている意味もなくなっちゃうので、是非お願いします。

司会:ありがとうございました。では、最後に小笠原さんからお願いします。

小笠原:僕ら世代はよくインターネットの初期に似ているとか言っちゃうんですけど、若手にとっては知ったこっちゃないという話だと思うんですよ。

新しい世界観だと思って僕らはおっさんたちを巻き込むために、納得させるためにも、いかに似ているか、再現性があるかを言っていくと思います。

でも若手のみなさんにとっては、いわゆる宇宙と思わなくてもいいと思っていて、「SDGsだ」と思って入ってきてくれていいと思っています。

もう少し下世話な話をするとSDGsがテーマのファンドだって今世界中に山盛りあります。
みんながSDGsで起業したいと思ったときに、その助けになるお金というのは世界中に今、わりとあり余っています。

日本と世界とでSDGsの課題感も違うんですよね。それでもSDGsっていう1つのテーマでしっかり取り組んでいけば、その先はグローバルにつながるというのは、本当に先ほどお二人が言われたままなので、衛星とかインターネットではない形での入口としてのSDGsというのは推していけたらいいなと思っています。

今日はありがとうございました。

司会:ありがとうございました。
それでは、1部「Space Biz For SDGs×Tellus SDGsに対して宇宙産業ができることとは」に関しましては、こちらで終了したいと思います。

改めまして白坂さん、石田さん、小笠原さん、ありがとうございました。

5.まとめ

宇宙産業がSDGsに対してどのように貢献できるのか、まだまだ具体的なイメージを持てる人は少ないかもしれません。
「Space Biz For SDGs」の取り組みも立ち上がったばかりで、何ができるかの検討もこれから進めていく段階です。

今回、SDGsの中でも地方創生というテーマでディスカッションをしていきましたが、地方創生という1つのテーマの中でも、各自治体のアンケート結果から多数の課題が上がってきています。

すべての課題に貢献できるというほど、宇宙産業が万能であるということではありませんが、その中で何かしらの課題を解決する方法はあるはずです。

こんなことわかるんじゃないかな。こんなデータどこかにないかな。と思ったときにTellusを含め、プラットフォーム事業が課題解決のきっかけになり得るという意味では、プラットフォーム事業の役割は今後のビジネス創出やSDGsの取り組みにも大きな貢献が期待できるかもしれません。

みなさんもまず触ってみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

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