ニュース 2021/2/22

衛星ベンチャーのBlackSkyがSPACによる上場の計画を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/2/15〜2/21】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新！

今週は、NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」が火星着陸に成功したニュースが広く話題になりました。着陸から数分で画像を送るNASAの技術に驚かされた方も多かったのではないでしょうか。一方、宇宙ビジネスでは、IPOや人事異動など、企業の経営戦略に関するニュースが相次ぎました。

BlackSkyがSPACによる上場の計画を発表

2月18日、衛星事業者のBlackSkyと特別買収目的会社（SPAC）のOsprey Technology Acquisitionは、上場を目的とした企業合併のための契約を締結し、ニューヨーク証券取引所に上場する計画を発表しました。Ospreyとの合併により、BlackSkyは4億5000万ドル（約470億円）を得る見込みです。

BlackSkyは2014年設立のベンチャー企業です。米国・シアトルとバージニア州に拠点があり、小型地球観測衛星によるコンステレーションの構築を進めています。現在は軌道上に5機の衛星を所有していて、2021年には9機を追加で打ち上げる予定。将来的には、昼夜問わず30分ごとの撮影が可能な体制を目指しています。

同社は、政府向けの事業を拡大しています。国家地理空間情報局（NGA）では衛星データが活用されており、BlackSkyの衛星画像は、MaxarやPlanetの画像とともにNGAの情報システムに加えられました。

CEOのBrian O’Toole氏は、SPACで上場し資金を得ることで、エネルギーや鉱業、運輸など大規模な市場に焦点を当て、今後数年間で事業を拡大するための足場を築くことができると説明しています。

上場プロセスを簡略化できるSPACは、宇宙ベンチャーの間でも活用されるケースが増えています。

ニューヨーク証券取引所で、上場初日の取引開始の鐘を鳴らす前にポーズをとるVirgin Galactic創業者のリチャード・ブランソン氏 Credit : Virgin Galactic

2019年10月に宇宙旅行サービスの提供を目指すVirgin GalacticがSPACを活用して上場を果たしました。また、小型ロケットの開発を進めるAstraもSPACを活用した上場の予定を発表しています。

Astra、元Apple従業員がチーフエンジニアとしてジョイン

2月17日、小型ロケットベンチャーのAstraは、元AppleでiPhoneやiPad、Macのコア技術の開発に従事していたBenjamin Lyon（ベンジャミン・リヨン）氏が、チーフエンジニアとして入社することを発表しました。

Astraの共同創業者兼CEOのChris Kemp（クリス・ケンプ）氏は、Tech Crunchのインタビューで「航空宇宙分野はまだ、従来のロケットの製造方法を大幅に変える、もしくは大きな利益を上げる方法を考え出したことはありません。ですから、他の宇宙関係者に話を聞いても何のインスピレーションも得られませんでした」と答えています。業界の技術者の意見を取り入れていきたいという意欲が窺えます。

同社は、2020年12月に創業から4年という速さで、「Rocket 3.2」の打ち上げおよび宇宙空間到達を成功させています。