宙畑 Sorabatake

特集

新年あけまして、2018年の出来事を衛星データで振り返り

2018年の出来事を衛星データと一緒に振り返ってみました。ひと月に1トピックずつ、衛星データを見ることで新しい気づきも。

新年あけましておめでとうございます。

宙畑では「2018年、宇宙ビジネス業界で何が起こったか~5つの注目ポイント~」と題して、宇宙ビジネスにおける2018年の振り返りを行いました。加えて、本記事では2018年に起きた出来事を、衛星データを通してひと月に1トピックずつ振り返ってみようと思います。

衛星データで何が見え、何ができるのか、ぜひご覧いただけましたら幸いです。

■1月

さっそく、今年も話題になりました。そう、箱根駅伝です。2019年は東海大学が悲願の総合優勝。2018年は青山学院大学が4連覇という偉業を成し遂げてのスタートとなりました。

箱根駅伝のひとつの見せ場といえば、5区の山登りでしょう。実際にどのくらいの山を登っているかというと……。

標高データ(DEM)と箱根駅伝のコース。右上紫からスタートして、5区が緑色。標高が高いほど赤い場所 Credit : sorabatake, original data provided by JAXA
箱根駅伝の高低差マップ Credit : sorabatake

このように、他の区と比較しても、その傾斜は一目瞭然ですね。

今後トライアスロンやマラソンに参加される方はコースの予習に衛星データを利用してみませんか? 

【駅伝、マラソンに関連する記事】

■2月

さて、次はクイズ形式で。

Credit : さくらインターネット

上の画像は、とある地域の衛星が撮影した植生データを見ています。植物のあるところが緑色になるように調整されたデータです。

マーカーが立っている地点は、2018年2月にとある動物の観覧方法が変更になった動物園です。もうほとんどの方がお分かりかもしれません。拡大してみましょう。

Credit : さくらインターネット

はい、正解は上野動物園でした。丸で囲んだ部分がジャイアントパンダのいるところ。2018年2月1日より、ジャイアントパンダ「シャンシャン」の観覧方法が抽選制から先着順に変更となりました。

1日当たりの観覧者数が9500人になったということで、毎日約10,000人もの人に可愛がられるシャンシャン人気、すごい。

上野動物園の周りは植物が少ないようにも感じますが、他の動物園はどうなのでしょう。気になる方はぜひTellusでチェックしてみてください。

【植生データに関連する記事】

■3月

赤い丸で囲んだ場所がウェストミンスター寺院 Credit : EO Browser

ここはアイザック・ニュートン氏やチャールズ・ダーウィン氏など、著名な科学者が多く埋葬されているウェストミンスター寺院。この寺院にまた一人偉大な方の遺灰が2018年に埋葬されました。

「車いすの物理学者」として知られ、量子宇宙論という分野ができるきっかけとなったスティーヴン・ホーキンス博士です。ホーキンス博士は2018年3月14日に、イギリスの自宅で亡くなられました。

一般の方向けに分かりやすく宇宙を解説する著書を複数執筆されているため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。まだ著書を読んだことがないという方は、興味があればぜひ手に取って読んでみてください。

 

■4月

マーカーが立っている場所が岡山城跡 Credit : さくらインターネット

2018年4月、「火垂るの墓」の監督・脚本をされたことでも知られる高畑勲さんが亡くなりました。

生まれは三重県の現在の伊勢市ですが、高畑勲さんの生涯において、父親の転勤で岡山に引っ越し、そこで空襲被害を受けたことが生涯忘れられない強烈な体験となったようです。

上記衛星画像のマーカーが立っているのは岡山城跡。この空襲では当時国宝に指定されていた岡山城の天守閣も被害を受けています。

■5月

左が標高データ、右が衛星データ。衛星データと他のデータを見比べると今まで気にならなかったところが気になり始めます Credit : さくらインターネット

さて、ここがどこか分かりますか?

ここは、2018年に「史上最年少」をことごとく更新し、5月時点で七段昇段の最年少記録を更新した藤井聡太さんの出身地、愛知県瀬戸市。

右側の衛星画像から見ると、市街地に広大な未開の地があるように見えます。左側が標高データなのですが、窪みもあるようです。

何かな?と思って調べてみると、ここは古くから窯業資源などを掘削してきた鉱山の跡地とのこと。そう、この瀬戸市は瀬戸物の発祥の地なのです。

いまだにその鉱山跡地が残っており、この土地をまちづくりと合わせてどのように利用するかの計画もされているようです。

■6月

2018年6月12日、史上初めて、アメリカ合衆国(米国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の両国トップによる直接顔を合わせての首脳会談が行われました。

会談が行われた場所はシンガポール。シンガポールの夜間光を見てみると……

夜間光が明るいほど赤く、夜間光が少ないほど暗い。さすがに海は真っ暗ですね。 Credit : Google Earth Engine

やはり都会なだけあって真っ赤(光が多いほど赤)ですね。

また、会談が行われた場所と宿泊された場所はそれぞれ違うようで、それぞれの首脳が宿泊した2つのホテル間の距離(上画像の中心にあるふたつのマーカー)は、会談が行われた場所までの距離よりもかなり近いことが分かりました。

【夜間光に関連する記事】

■7月

2018年6月23日にタイで、タムルアン洞窟の遭難事故と呼ばれる、洪水の影響により洞窟に少年13人が閉じ込められる事故がありました。

無事7月に全員救出できたということで、7月の出来事としてピックアップ。

洪水範囲を確認するのにも衛星データは有用であると言われていますので、実際に見てみましょう。

まず、光学データで確認してみます。公園の樹木と洪水範囲を視認で確認しにくいので、洪水範囲を見やすくするためにNDWI(Normalized. Difference Water Index)という指標で見てみましょう。

Credit : EO Browser

肝心の見たい時期には雲がかかっており、地表面の様子を確認できませんでした。
※雨が降っているので雲がかかっているのは当然ですね

このような時に有効なのが、SAR画像です。SAR画像は雲を透過した結果が見えるので、地表面の状況が確認できるのです。

Credit : EO Browser

確認してみると、雨季ではない時期には地形(画像)に変化がなかった場所が、6月19日以降には定期的に変化していることが見て取れます。SAR画像の特徴として、自ら発した電波の反射を観測しているために、地形に変化がない限りは同様の画像が見えるはず、というのがあります。

Credit : sorabatake

地形に変化があったのか、念のために確認すると、特にないことが分かります。

そのため、地形(地盤)に変化はなかったものの、何かしらの変化が生じていた、ということが先のGIF画像からは分かります。

ここで、SAR画像のもう1つの特徴として、水域は電波を反射しないために、黒く見える、というのがあります。この特徴と画像が変化している時期を照らし合わせると、何かしら洪水もしくは水流ができているために、画像に変化があったのではないか、ということが読み取れます。

【SAR画像に関連する記事】

■8月

Credit : EO Browser

このタイムラプスをよく見ると、8月に中心にある橋が崩れているのが分かります。これは、8月14日に起きた、イタリアの高速道路の高架橋が崩落した前と後のタイムラプスです。

この事故によって40人以上の方が亡くなられました。原因は諸説あるようですが、橋の構造に問題があり、事故を予見し建て直しを提言がなされていたとの報道もありました。

事故が起こりうる場所をあらかじめ知り、避けて通行することを心がけることも重要な事故防止策かもしれません。

■9月

黄色く色が塗られている部分が土砂崩れが起きたと想定される箇所 Credit : sorabatake

北海道地震が起きたのは、9月6日。土砂崩れの写真を見て日本中に衝撃が走ったことは、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

今回の事故をきっかけに、地震による土砂崩れが起きやすい場所をあらかじめ予見できる精度がさらに上がり、同じような悲しい事故が今後減少することを願っています。

■10月

Credit : EO Browser

これはとある場所の2013年から2018年までのタイムラプス。2014年頃より工事が始まり、2016年には現在の形になっていることが分かります。

2018年10月に正式に動き始めた場所、正解は豊洲市場。2016年5月には「豊洲市場の水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟、管理施設棟の建設工事完了」とのことで、たしかにそのような進捗であることを衛星画像だけでも把握できそうです。

■11月

2018年11月、大阪万博の開催が決定しました。1970年に行われた大阪万博から、大阪の風景は衛星画像から見ても変わっているのか。

1985年と2014年の衛星画像を比較してみると……

1985年の大阪周辺 Credit : Google Earth Engine
2014年の大阪周辺 Credit : Google Earth Engine

明らかに変わったと分かるのは大阪国際空港ですね。海外の方がより大阪に訪れやすくなっています。2025年、どのような盛り上がりを見せるのか、今からとても楽しみです。

■12月

その名称でも話題となった高輪ゲートウェイ駅。

名称の投票が行われたのはつい先日の2018年12月4日でしたが、工事の着工は2017年2月10日より始まっていました。

高輪ゲートウェイ駅の工事の様子は果たして衛星画像から見えるのか?確認してみましょう。

Credit : EO Browser

2016年には特に変化がなかった箇所に、2017年以降、白い箇所が増えているのが見て取れます。

具体的にどのような工事が行われているのか、ということまでは分かりませんが、更地に白く大きな建物ができたことは分かりますね。

建設予定地と比較しても、白い大きな建物が高輪ゲートウェイ駅であることが分かります。それが完成する前にある白い箇所は、工事現場で人が休息を取ったり、設計を確認したりするコンテナでしょうか。

このように、駅ほどの大きさの構造物であれば、大まかな進捗状況が見て取れる、というのも衛星画像の特徴です。

 

以上、2018年に起きた出来事を衛星画像と一緒に振り返ってみました。無理矢理感も否めませんが(苦笑)、衛星画像と合わせてみることで、また新たな視点で出来事を振り返ることができたのではないでしょうか。

2019年も、様々なコトが起こると思います。その時に衛星データ、オープンデータを利用することで、読者の皆様に新しい発見を提供できるよう宙畑も精進したいと思います。