【2019年12月の宇宙ビジネスニュースまとめ】米中を追従する、ヨーロッパの宇宙ビジネス
本記事では、2019年12月に起きた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。
本記事では、2019年12月に起きた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。
12月は、Rocket Labが10回連続で小型衛星軌道投入、SpaceXのファルコン9がドラゴン補給船の輸送に成功するなど、ロケットベンチャーの勢いを象徴するニュースが飛び込んだ一方で、Vectorの破産申請手続きがなされるなど、濃い一か月でした。また、ヨーロッパ宇宙機関が25年ぶりに予算の大幅増加を決定するなど、宇宙の覇権を巡る動きはさらに加速しそうです。
それでは、2019年12月に取り上げたニュースとその要約を9本ご紹介します。興味のある記事や読み忘れていた記事などございましたらぜひご覧ください。
ThrustMeの推進機が軌道投入に成功!
フランスの推進系宇宙ベンチャー・ThrustMeが、自社の推進機構を中国の宇宙ベンチャー・Spacetyのキューブサットに搭載し、無事に軌道投入を果たしたと発表しました。2017年に設立されたThrustMeは、ヨウ素ベースの推進技術の商業化を目指しており、コールドガススラスタと呼ばれる小型衛星用の電気推進機構の開発に取り組んでいます。
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欧州宇宙機関、ISS運用延長の意向か
ヨーロッパ宇宙機関(European Space Agency 以下、ESA)は閣僚理事会「Space19+」で、向こう3年間の予算を従来のおよそ10%増となる144億ユーロにすると可決しました。ESAによる予算の大幅増はなんと25年ぶりのこと。ヨーロッパの宇宙開発も今後さらなる盛り上げりを見せそうです。
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Rocket Labが軌道投入に成功!
Rocket Labが10回目のロケット打ち上げに成功しました。12月6日、ニュージーランドのマヒア島から打ち上げた小型ロケット・Electronは7個の小型衛星の軌道投入。さらに、今回のロケットでは、ロケットの第1段を再利用可能にする技術の試験も組み込まれており、今後打ち上げ頻度の増加を図るため、さらなる改良が行われると予想されます。
なお、こちらのロケットには日本発のスタートアップであるALE社の小型衛星が搭載されていました。ALE社は人工衛星から粒を放出することで人工流れ星を創り出すサービスを提供しようとています。
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ドラゴン補給船が輸送に成功。注目の積載物は
12月8日、SpaceXのファルコン9によって打ち上げられた補給船「ドラゴン」が、ISSとのドッキングに成功しました。ドラゴン補給船が使用されたのは、今回の打ち上げで3回目です。今回は2600kgのペイロードを輸送しましたが、その中には「宇宙ビール」として話題となったバドワイザーも。今後どのような製品を輸送するのか注目です。
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ロケットベンチャーのVectorが Chapter 11を申請
12月13日、小型ロケットベンチャー・Vectorは、アメリカ合衆国連邦倒産法の第11章(Chapter 11)に基づき、連邦破産裁判所に破産申請を行いました。なお、同社が保有する衛星技術資産は、ロッキード・マーチンに売却する方針で、今後の動向に注視したいところです。
日本政府、宇宙基本計画工程表を改定
日本政府は、第21回宇宙開発戦略本部を開催し、宇宙基本計画工程表を改訂しました。宇宙基本計画工程表とは、宇宙基本法の施工に基づいて作成される、日本の宇宙政策のロードマップです。今回の改定では、「宇宙安全保障の確保」など3項目が挙げられております。
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スターライナーが帰還成功。ボーイングが失ったものと手にしたものは
12月23日、ボーイング社が有人宇宙船・スターライナーの実験飛行を行い、無事にニューメキシコ州の試験場に着陸したと発表しました。スターライナーはカプセル型の有人宇宙船で、スペースシャトルの後継として大きな期待が寄せられています。今回の実験飛行は軌道投入に失敗したものの、帰還までの姿勢制御や太陽光パネルの活用、搭乗員用のモジュール環境の維持に成功。今後の開発スケジュールにも注目が集まります。
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中国の測位衛星システムの中核が完成!
中国の宇宙機関である中国国家航天局は、中国南西部の西昌宇宙センターから自国の測位衛星であるBeidou(航法測位衛星北斗)2機を打ち上げて、軌道投入に成功したと発表しました。中国は独自の衛星測位システムであるBDS(北斗グローバルシステム)を保有。この打ち上げにより、BDSは35機の測位衛星を運用することになり、GPSの31機を引き離したことになります。
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SpaceXがパラシュートテストを10回連続で成功!
SpaceXは開発中の有人宇宙船であるクルードラゴンのパラシュートテストを12月22日に実施し、無事に成功したと発表しました。このパラシュートテストはNASAが民間企業による宇宙飛行士の飛行を許可する前に設定した重要なマイルストーン。有人宇宙船の運用に向けてまた一歩前進しました。
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以上、2019年12月に宙畑が取り上げた宇宙ビジネスニュースでした。
次回2020年1月の宇宙ビジネスニュースまとめは、2月中旬ごろの公開を予定しています。
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