ニュース 2021/6/7

サグリが1億5500万円を調達。耕作放棄地の早期発見及び把握で農業課題の解決に挑む【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/5/31〜6/6】

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耕作放棄地の早期発見及び把握で農業課題の解決に挑む

衛星データとAI技術を活用し農業分野の課題解決に取り組むサグリ株式会社が、総額1億5500万円の資金調達を発表しました。

プレスリリースによると、今回出資した主要引受先は以下となっています。

・リアルテックファンド（リードインベスター）
・みなとキャピタル株式会社
・池田泉州キャピタル株式会社
・株式会社広島ベンチャーキャピタル
・ひょうご神戸スタートアップファンド
・他エンジェル投資家

サグリは現在、農地状況把握アプリ”ACTABA”の開発に着手しており、耕作放棄地の早期発見を通じて農業委員会等による調査の負担軽減や土地の有効活用を目指しています。この度、サグリ株式会社代表取締役CEOの坪井俊輔様に、以下の質問に対してコメントをいただきました。

―衛星データで農業課題を解決するというビジョンの下、耕作放棄地の把握に着眼したきっかけは何だったのでしょうか。

ACTABAの技術はもともと、途上国の農家にマイクロファイナンスをするための信用情報の指標として、現地消費者金融機関向けに開発していました。そんな中、つくば市農業委員会において農地の調査を目視確認で行っていることを耳にしました。農業従事者の高齢化に伴い増加している耕作放棄地の早期発見及び把握をすることで、国内の農業課題の解決に繋がると感じサービス化に至りました。ACTABAは茨城県における”令和元年度いばらき宇宙ビジネス事業化実証プロジェクト”を通じて開発しました。また、農林水産省とも連携し、上記課題を解決すべくデジタル推進の取り組みにも関与しています。

ー今回の資金調達により、国内外含めどのような事業展開を検討されているのでしょうか。

今回調達した資金は、以下の3点に活用させて頂く予定です。

・耕作放棄地を検出するアプリケーションACTABA
・高解像度の衛星データから農地の区画を自動で区切るアルゴリズム
・衛星データから土壌の化学性指標を検出するアルゴリズム

1点目のACTABAのアプリケーションは開発済みであり、今回調達した資金は、今後の要素追加や顧客開拓の資金に活用します。また、弊社はすでに10以上の市町村とのACTABA利活用に向けた実証を進めており、最終的には農林水産省を介して全市町村に展開させていく予定です。

2点目のアルゴリズムは、弊社ではAIポリゴンと呼んでいます。これは今後世界中の農地に情報を届けるためのベースになると考えています。例えば国内であれば、農林水産省統計部が筆ポリゴンと呼ばれるものをオープンデータとして公開していますが、これは年に1回、目視で人が線を引いているものです。また、東南アジアやインド、アフリカといった途上国の農地にはまだ農地の区画（ポリゴン）が存在していません。弊社はアルゴリズムを活用して区画を形成していくことで、あらゆる場所に面的な情報を表示させる手法を提供していきます。

3点目は土壌を衛星データから検出し、炭素量と窒素量を推定するアルゴリズムです。こちらのアルゴリズムの活用で肥料の最適な散布（可変施肥）が可能になり、肥料代の削減にも繋がります。また、バイオ炭(※1)などを通じた炭素の土壌への貯蓄や、肥料の脱窒防止にも繋がります。今後、これらのアルゴリズムをアプリケーションに実装し展開していく予定です。
※1：バイオ炭とは、食品廃棄物などの有機物(バイオマス)を炭素化したもの。温室効果ガスの一つである二酸化炭素を土壌に貯蓄・固定化させる効果が近年注目されている。

ー読者にアピールしたいことはありますか。