宙畑 Sorabatake

宇宙ビジネス入門・基礎

官から民へ。内閣府「S-Booster」がSPACETIDEに継承され、宇宙ユニコーン創出プログラムとして再始動【宇宙ビジネスニュース】

内閣府の「S-Booster」がSPACETIDEに継承され、宇宙ユニコーン創出プログラムとして再始動した経緯を解説します。

2025年12月8日、一般社団法人SPACETIDEが宇宙ユニコーン創出プログラム『S-Booster 2025』を2026年2月17日に実施すると発表しました。このプログラムは従来内閣府が主催していた宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」を継承したものです。

SPACETIDEは「Unlocking Space for All Humanity/宇宙があらゆる社会と産業を変革し、すべての個人が宇宙と共に生きる未来」をビジョンに掲げ、宇宙業界の中立的な産業ハブとして、業界の共通課題を解決していく活動をしています。2021年には宇宙スタートアップ支援プログラム「AXELA(アクセラ)」を始動。S-Boosterのファイナリスト含む20社のスタートアップを支援してきました。

宙畑メモ:AXELA (アクセラ) とは
SPACETIDEが2021年から展開する宇宙スタートアップ支援プログラム。初期フェーズのスタートアップを対象に、事業成長に直結する伴走支援を提供しています。資金調達や大企業との連携に寄与してきました。

参考記事

S-Boosterは2017年から2024年にかけて内閣府が主催してきた宇宙をテーマとしたビジネスアイデアコンテストです。多くの革新的な発想と起業家を輩出してきました。

参考記事

リリースによると、2025年度からS-BoosterをSPACETIDEが正式に継承することとなり、アクセラレーション、事業共創、投資家および大企業とのマッチングを包括する宇宙ユニコーン創出プログラムへと進化します。

宙畑メモ:アクセラレーションとは
スタートアップ企業の成長を短期間で加速させるための支援プログラム。メンタリング、資金調達支援、ビジネスネットワークの提供などを通じて、事業の急成長を促します。

宙畑メモ:ユニコーン企業とは
創業10年以内にして10億ドル以上の評価額となる非上場のベンチャー企業のこと。宇宙企業ではSpaceX、Sierra SpaceやICEYEなどがあります。

これまでのS-Boosterとの大きな違いは、主催者が国から民間に移行したことです。また、プログラムの性質も変わりました。従来は優れたアイデアを表彰するコンテストでした。新生S-Boosterのイベントは①宇宙特化型アクセラレータープログラム、および②宇宙スタートアップ向けマッチングプログラムで構成されます。

「S-Booster 2025」イベント開催概要 Credit : SPACETIDE

宇宙特化型アクセラレータープログラムとして、SPACETIDEのAXELAの最終成果発表会「AXELA 2025 DEMODAY」として、AXELA 2025に採択された4社によるピッチを行います。採択企業の情報を下記にまとめました。

宙畑メモ:TDI (Time Delay Integration)
像の移動に合わせてイメージセンサ上の信号を移動させながら蓄積することで、動いている被写体を明るくぶれずに撮影できる技術。ディーウェイスペースは、市販のエリアCCDで実TDI撮影を実現する特許技術を保有しています。通常は高価な特殊センサが必要な技術です。民生品でありながら放射線耐性があり、小型・低消費電力・安価という特徴を持ちます。小型人工衛星による地球観測に適しています。

さらに、宇宙スタートアップ向けマッチングプログラムとして、宇宙スタートアップ20社に対してビジネスマッチングを行います。投資家・VC(ベンチャーキャピタル)、金融機関、事業会社、政府機関等、総勢200名規模が参加します。マッチングプログラムにより、様々なステークホルダーとの連携が実現することが期待されます。

内閣府宇宙開発戦略推進事務局長の風木淳さんは次のように期待を寄せています。

「宇宙業界におけるスタートアップ創出の登龍門として、日本の宇宙産業の活性化に貢献してきたS-Boosterを、一層意義深いイベントとして運営していくため、一般社団法人SPACETIDE様に継承しました。新たな形に生まれ変わるS-Boosterが、宇宙ビジネスへの挑戦者や、投資家、経営者、関係機関をグローバルにつなぐ、一大コミュニティへと成長し、世界に羽ばたけるスタートアップを次々に創出してくれることを期待しています。政府としても、引き続き民間企業等の取組を強力に後押ししてまいります。」

SPACETIDE理事兼CSOの佐藤将史さんは次のように意気込みを語っています。

「10年前は10社にも満たなかった日本の宇宙スタートアップは今や110社を超え、上場・海外展開も進んでいます。宇宙ビジネスは今や単に『数』を競う段階を超え、市場でインパクトを示す事業の『質』が問われる時代に入りました。S-Boosterは政府主導の下、宇宙ビジネスアイデア創出の登竜門を担ってきました。SPACETIDEはそのレガシーを継ぎ、グローバルに存在感を示す質の高い宇宙ユニコーンを創出するプログラムとして新生S-Boosterを立ち上げます」

7年の歴史を持つS-BoosterがSPACETIDEに継承され、宇宙ユニコーン創出プログラムとして生まれ変わります。ビジネスアイデアコンテストから、資金調達・事業提携に直結する実践的なプログラムへと進化しました。これが最大の特徴です。

日本の宇宙スタートアップが量から質への転換期を迎えています。200名規模の投資家や事業会社とのビジネスマッチングにより、グローバルに存在感を示す宇宙ユニコーン企業の創出が期待されます。

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