【2020年12月の宇宙ビジネスニュースまとめ】ロケット、衛星だけじゃない。2020年代は「宇宙探査」の時代がやってくる
本記事では、2020年12月に起きた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。
本記事では、2020年12月に起きた宇宙ビジネスニュースをまとめてお届けします。
12月は宇宙探査に関するニュースが多く、政府を中心に宇宙ベンチャーなども参入が進みそうです。また日本の宇宙ベンチャーも、インタステラテクノロジズが衛星ビジネスを手掛ける新会社を設立。またSynspective(シンスペクティブ)は衛星の打ち上げに成功し、新サービスの提供を開始するなど活発な動きを見せています。
それでは、2020年12月に取り上げたニュースとその要約を9本ご紹介します。興味のある記事や読み忘れていた記事などございましたらぜひご覧ください。
Voyager Space HoldingsがISSの商業利用に取り組むNanoracksを買収
宇宙企業の買収を多数実施しているVoyager Space Holdingsが、Nanoracksの親会社であるX.O. Marketsの過半数の株式を取得しました。
X.O. Marketsは、国際宇宙ステーション(ISS)の商業利用事業を進めており、Voyager Space Holdingsは4回目のM&Aになります。コア技術を有するベンチャー企業を傘下に収め、今年中の株式上場(IPO)を目指しています。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/17244/)
インターステラテクノロジズが人工衛星事業に参入
実業家の堀江貴文氏がファウンダーを務めるインターステラテクノロジズ株式会社(以下:IST)が、人工衛星事業を手掛ける完全⼦会社のOur stars株式会社(以下、Our stars )を設⽴。Our starsの代表取締役社長に堀江氏が就任すると発表しました。
Our starsは「ピンポン玉サイズの超⼩型衛星フォーメーションフライトによる通信衛星サービス」「超低高度リモートセンシング衛星による地球観測」「宇宙実験用衛星+回収カプセル」の3つのサービスを予定しており、ISTがロケットビジネスとのシナジーを高めていきます。
輸送業であるロケット事業とロケットの輸送物である人工衛星事業を統合したビジネスを展開させることは、サービスの最適化にも繋がります。海外でもSpaceX社やRocket Lab社が同様の事業展開をしており、宇宙ビジネスにおける垂直統合型ビジネスモデルとして、注目を集めています。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/17227)
創業4年の新興ロケットベンチャーAstraが宇宙空間に到達!
新興ロケットベンチャーであるAstraは、12月15日に打ち上げでロケット第一段の燃焼・第一段の切り離し・フェアリングの分離に成功。創業からわずか4年で宇宙空間に到達しました。
民間企業単独で開発した液体ロケットエンジンで宇宙空間への到達に成功したのは、先ほど取り上げたISTに続いて5番目。宇宙機の軌道投入に向けてはまだ課題が残りますが、競合ひしめく小型ロケット市場に、また新たなプレイヤーが台頭しました。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/17044/)
JAXA「はやぶさ2」がサンプルリターンに成功
12月15日、JAXAは「はやぶさ2」が目視できるサイズの小惑星リュウグウの粒子を地球に持ち帰る「サンプルリターン」に成功したと発表しました。
サンプルリターンを成し遂げた「はやぶさ2」は、12月5日に大気圏に再突入し、翌6日にオーストラリア・ウーメラ砂漠に着陸。カプセルは無事に回収されました。
はやぶさ2が持ち帰ってきたのは小惑星「リュウグウ」由来のもので、今後分析が進み、どのような成果が出るのか世界中が注目しています。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/17019/)
嫦娥5号が月資源のサンプルリターンに成功
そして北京時間の12月17日未明、中国の無人月面探査機「嫦娥5号(Chang’e 5 )」が月の土壌の採取に成功し、地球に帰還しました。
嫦娥5号は、無人の宇宙機でありながら、地球時間で14日間のうちに月面に着陸してサンプルを採取し、地球に帰還するするという異例のスピードでミッションを敢行。中国の宇宙開発技術の高さを世界にアピールし、2023年には嫦娥6号が月の南極点への着陸ミッションに向けて飛び立ちます。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/16701/)
日本発ベンチャー・Synspective社は衛星の打ち上げとサービスリリースで事業を加速
衛星解析によるソリューションの提供を目指す日本の宇宙ベンチャー・Synspectiveは、12月15日に同社初の実証機である小型SAR衛星「StriX-α」の軌道投入に成功しました。
また、地盤変動を分析するサブスクリプション型サービス「Land Displacement Monitoring」と災害時の浸水被害を予測するサービス「Flood Damage Assessment Solution」を提供開始。衛星の製造から、画像の撮影、ソリューションまでをワンストップで提供できるベンチャー企業としての動きにも今後注目です。
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Starshipが高高度飛行試験を実施し、飛行データの取得に成功
SpaceXは、現在開発中の新型宇宙船・Starshipの高高度飛行試験に初めて挑戦。パッドからの離陸には成功し、高度約12.5kmまで到達しましたが、着陸には失敗し爆発しました。
しかし、同社のCEO・Elon Musk氏はTwitterで「必要なデータはすべて得られた!おめでとうSpaceXチーム!」と発言。高速にPDCAのサイクルを回すことができるのがSpaceXの大きな強みです。次のプロトタイプであるStarship SN9にどう活かされるか注目です。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/16810/)
アルテミス計画に挑む宇宙飛行士が発表。米軍出身者から元教員まで多彩な18名
12月9日、NASAは有人月面着陸を目指す「アルテミス計画」に参画する宇宙飛行士18名を発表。「アルテミスチーム」と命名された組織を構成するのは、32歳から55歳までの男女9名ずつで、中には飛行経験がない若手も含まれています。
多種多様なバックグランドを持つ精鋭たちが、月面着陸のミッションを担います。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/16812/)
ispaceが月面サンプル取引プログラムに採択。宇宙資源ビジネスの後押しとなるか
NASAは、月面で採取した月のレゴリス(月面の砂)の販売に関する商取引プログラムに4企業を選出。そのうち2社が ispace Japan と ispace Europe に決まりました。
採択された4企業は月面の任意の場所から50〜500g程度の月面レゴリスを採取して地球に持ち帰り、NASAが回収。月面レゴリスの所有権は、採取場所に関するデータとともにNASAへ譲渡される代わりに、NASAにより総額で25,001ドルが4社に支払われます。
採択された4社が、深宇宙探査の開発にどう貢献するのか注目です。
>>詳しくはこちらへ!(https://sorabatake.jp/16719/)
以上、2020年12月に宙畑が取り上げた宇宙ビジネスニュースでした。
次回2021年1月の宇宙ビジネスニュースまとめは、2月中旬ごろの公開を予定しています。
これまでの宇宙ビジネスニュースはこちら
【25,000字保存版】PESTで振り返る2020年の宇宙ビジネスニュースまとめ
【2020年11月の宇宙ビジネスニュースまとめ】企業の買収や協業が加速する宇宙ビジネス。SpaceXはStarlinkの実用化に向けたインターネットサービスのベータ版を公開。
【2020年10月の宇宙ビジネスニュースまとめ】アルテミス計画に向けて来年度の日本の宇宙開発予算が過去最大に!更に宇宙飛行士の募集も発表
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